
「夜中も何度も呼ばれて、ほとんど眠れなかった」
「少し休みたいけれど、私がやらなければ……」
在宅介護をしていると、昼夜を問わず見守りや介助が必要になり、十分に休めないことがあります。
介護する人が無理を重ねて体調を崩してしまうと、在宅介護そのものを続けることが難しくなる場合もあります。
大切なのは、すべてを一人で背負うことではありません。利用できるサービスを取り入れながら、介護する人の休息時間も確保していくことです。
この記事では、在宅介護を続けるなかで、介護者の心と体を守るためにできる5つの工夫をご紹介します。
①「一人で抱えない」|短い時間でも介護から離れる時間をつくる
在宅介護では、「家族なのだから自分がやらなければ」と思ってしまいがちです。
しかし、介護する人が休むことも、在宅介護を長く続けるために必要なことです。
本人の状態や希望に合えば、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどを利用することで、介護者が家事や通院を済ませたり、休息を取ったりする時間を確保できます。
利用を考えたいサービス
- デイサービスで日中を過ごしてもらう
- 訪問介護で必要な身体介護や生活援助を受ける
- ショートステイを利用し、介護者がまとまった休息を取る
- 自治体独自の家族介護者支援がないか確認する
利用できるサービスや回数、自己負担額は、本人の要介護度やケアプランなどによって異なります。
「週に1回だけでは意味がない」と感じるかもしれませんが、介護から離れられる時間があらかじめ決まっているだけでも、気持ちの支えになることがあります。
まずは担当ケアマネジャーへ、「介護する家族の休息時間も必要です」と率直に伝えてみましょう。担当ケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターへ相談できます。
【関連記事】訪問介護とデイサービスの違いは?福祉用具レンタルも含めて使い方を解説
②「体の痛みは我慢しない」|腰痛・肩こりを放置しないで
介護では、中腰での作業や移乗介助などにより、腰や肩へ負担がかかることがあります。
それが蓄積すると、慢性的な腰痛・肩こり・腱鞘炎につながります。
負担を減らすために検討できること
- ベッドや車いすの高さを調整する
- スライディングシートや介助ベルトなどを取り入れる
- 入浴用いすや手すりを利用する
- 移乗方法を介護職や福祉用具専門相談員に確認する
- 痛みが続く場合は、無理をせず医療機関へ相談する
福祉用具には、介護保険でレンタルできるものと、購入費の支給対象になるものがあります。
たとえば、介護用ベッドや移動用リフトなどは貸与の対象になる場合があります。一方、入浴用いすなど、直接肌に触れるものは購入の対象になるのが一般的です。
対象になる用具や利用条件は、要介護度や本人の状態によって異なります。自己判断で購入する前に、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談してみましょう。
③「短い休憩」を取り入れる|数分でも座れる時間をつくる
「まとまった時間は休めない」という場合は、本人の安全を確認したうえで、数分でも座れる時間をつくってみましょう。
取り入れやすい休み方
- 本人がデイサービスへ行っている時間は、家事だけで終わらせず休息にも使う
- 本人が安全に過ごしている間に、温かい飲み物を飲む
- すぐに必要のない家事は後日に回す
- 家族に頼めることを一つだけ具体的に伝える
- ケアマネジャーに、介護者の休息を目的としたサービス調整について相談する
「休みなさい」と言われても、それが難しいのが在宅介護です。
だからこそ、長時間しっかり休むことだけを目標にせず、短い休憩を積み重ねる方法も考えてみましょう。
④「誰かに話す」|感情を一人で抱え込まない
介護をしていると、“誰にも話せない”孤独が一番つらくなります。
家族にも相談しにくく、友人に言えば“愚痴”になってしまいそうで…。
そんなときは、一人で抱え込まず、安心して話せる場所を持つことも大切です。
相談できる場所の例
- 担当ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
- 自治体の高齢者福祉・介護保険担当窓口
- 地域の家族介護者の会や介護者カフェ
- 家族介護者を支援する団体の電話相談
名前や詳しい事情をすぐに話すことに抵抗がある場合は、相談の最初に「どこまで話せばよいですか」と確認しても構いません。
地域包括支援センターは、高齢者本人だけでなく、介護する家族の相談先にもなります。
「話す」ことは、自分のつらさを整理し、必要な支援につながるための一歩です。
【関連記事】介護サービス相談員とは?ケアマネ・地域包括支援センターとの違いをわかりやすく解説
⑤「罪悪感から自分を解放する」|“できない”日があっていい
「今日は無理だった」
「つい声を荒げてしまった」
そんな日は、誰にでもあります。
でも大丈夫。
介護は、“毎日100点”をとる競技ではありません。
介護者にも必要な「ケア」の話
介護を受ける人の体調や生活が優先され、介護する人自身の不調は後回しになりがちです。
しかし、眠れない日が続く、食欲がない、気分が落ち込む、涙が止まらない、何もする気になれないといった状態が続く場合は、我慢を重ねないことが大切です。
まずは家族やケアマネジャー、地域包括支援センターなどへ、現在の状況を伝えてみましょう。心身の不調が続いている場合は、かかりつけ医や専門の相談窓口へ相談する方法もあります。
介護する人が休むことは、わがままではありません。
本人と家族の生活を守るためにも、限界になる前に助けを求めることが大切です。
今すぐ誰かに話したいときは
「消えてしまいたい」「もう限界」と感じるほどつらい場合は、一人で抱えず、専門の相談窓口へ連絡してください。
厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSで利用できる相談窓口が案内されています。
・こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
・よりそいホットライン:0120-279-338
受付時間や利用方法は窓口によって異なります。
よくある質問
介護に疲れたときは、どこへ相談すればよいですか?
担当ケアマネジャーがいる場合は、まず現在の負担を率直に伝えてみましょう。担当者がいない場合や相談先がわからない場合は、地域包括支援センターへ相談できます。
「介護を続けるのがつらい」「眠る時間が取れない」といった家族側の悩みも相談して構いません。
家族が休むためにデイサービスやショートステイを利用できますか?
本人の状態や介護認定、ケアプランなどによりますが、介護する家族の休息を目的としてサービスを利用することもできます。
デイサービスの回数を増やしたい、ショートステイを利用したいと考えたときは、担当ケアマネジャーへ相談してみましょう。
介護サービスを利用することに本人が反対している場合はどうすればよいですか?
家族だけで説得しようとすると、本人との関係が悪化する場合があります。
ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談し、本人が受け入れやすいサービスや伝え方を一緒に考えてもらいましょう。最初は見学や短時間の利用から始める方法もあります。
まとめ|介護する人の休息も大切に
在宅介護では、毎日すべてを完璧に行うことは難しいものです。
疲れて思うようにできなかった日や、つい強い口調になってしまう日もあるかもしれません。
そのようなときに、「自分はだめだ」と責め続ける必要はありません。できなかったことだけでなく、それまで続けてきたことにも目を向けてみましょう。
介護する人が倒れてしまう前に、
- ケアマネジャーへ負担の大きさを伝える
- 地域包括支援センターへ相談する
- デイサービスやショートステイを検討する
- 家族に具体的な役割を頼む
- 心身の不調が続く場合は医療機関へ相談する
といった方法があります。
自分を大切にすることは、わがままではありません。
介護を一人で抱え込まず、本人と家族の双方が無理を重ねない方法を探していきましょう。


