
「親の介護は、できるだけ自分でしたい」
「知らない人が家に来るのを、親が嫌がりそう」
「まだ自分が頑張れるのに、頼んでもよいのだろうか」
介護サービスのことは知っていても、利用するとなると、ためらう気持ちが出てくることがあります。
親が「家にいたい」と話していると、その希望をかなえようと、家族だけで頑張り続けている方もいるかもしれません。
そんなときに知っておきたいのが、自宅に来て生活や介護を支える「ホームヘルパーさん」です。
介護サービスには、自宅での暮らしを支えるものもあります。この記事では、ホームヘルパーさんの役割や頼めること、親の気持ちを大切にしながら支援を取り入れるための考え方をご紹介します。
介護を頼むことに、ためらいがあっても大丈夫です
親の介護を誰かに頼むとき、すぐに気持ちが整理できるとは限りません。
「これまで育ててもらったのだから、今度は自分が」
「人に頼んだら、親が寂しく感じるのでは」
「家族に、楽をしていると思われないだろうか」
そうした思いがあると、相談の電話をかけるだけでも迷うものです。
まずは、その気持ちを無理に打ち消さなくても大丈夫です。親を大切にしたい気持ちと、誰かに手伝ってほしい気持ちは、同時にあってよいのです。
すべてを任せると決める前に、「どんな手助けがあるのか」を聞くことから始められます。
ホームヘルパーさんとは?自宅での暮らしを支える介護の専門職
ホームヘルパーは、制度上「訪問介護員」と呼ばれる方です。
訪問介護では、ホームヘルパーさんが利用者の自宅を訪れ、食事や排泄、入浴などの介助や、掃除・洗濯・調理などの生活の支援を行います。
目的は、本人ができる限り自宅で、自立した日常生活を送れるように支えることです。
何でも代わりに行うのではなく、本人ができることも大切にしながら、必要な部分を支えます。「家で暮らし続けたい」という希望を考えるときにも、相談できる選択肢の一つです。
※この記事では、高齢者の介護保険による訪問介護を中心に説明しています。
ホームヘルパーさんに頼めること
支援は、大きく「身体介護」と「生活援助」に分かれます。
| 種類 | 主な支援の例 |
|---|---|
| 身体介護 | 食事、排泄、入浴、着替え、移動などの介助 |
| 生活援助 | 本人の生活に必要な掃除、洗濯、買い物、調理など |
ただし、この表にあることを、希望すればすべて自由に頼めるわけではありません。
本人の状態や生活環境、家族が支援できる状況などを確認し、ケアプランに沿って必要な支援を組み立てます。
例えば「入浴を手伝うのが身体的につらい」「親の食事の準備が難しくなってきた」など、困っている場面を具体的に伝えてみましょう。どの支援が適しているかを、ケアマネジャーなどと一緒に考えられます。
家族全員の家事や、何でも頼めるサービスではありません
介護保険の訪問介護は、利用者本人の生活を支えるサービスです。
家族のためだけの調理・洗濯や、来客への対応、大掃除、庭の草むしりなどは、原則として対象になりません。
医療的な対応が必要な場合も、ヘルパーさんだけに任せようとせず、主治医やケアマネジャーに相談しましょう。
保険で頼める範囲と、保険外のサービスで対応できる範囲を分けて確認しておくと、利用後の行き違いを防ぎやすくなります。
同居していても、最初から諦めずに相談を
「家族が一緒に住んでいるから、ヘルパーさんには頼めない」と思っている方もいるかもしれません。
生活援助には利用条件がありますが、同居家族がいることだけを理由に、一律に利用できないと判断するものではありません。
家族の健康状態や仕事、本人の状態など、実際の生活状況を伝えて確認してください。「自分が何とかするしかない」と結論を出す前に、相談してみましょう。
親が「知らない人に来てほしくない」と言ったら
自宅は、親にとって安心できる場所です。そこへ知らない人が来ることに、不安や抵抗を感じる場合もあります。
まずは「どうして嫌なのか」を、急いで説得せずに聞いてみましょう。
- 家の中を見られるのが恥ずかしい
- 自分でできることまで、取り上げられそう
- 身体に触れられることに抵抗がある
- 費用が心配
- 家族が来なくなるのではと不安
心配の内容がわかると、説明することや相談することも具体的になります。
「嫌がる親をどう慣れさせるか」よりも、「どんな関わり方なら、本人が受け入れやすいか」を考えてみてください。
少しずつ手を借りるための、4つの進め方
1.困っていることを、一つだけ書いてみる
最初から介護全体を整理しなくても構いません。
「お風呂の介助で腰が痛い」「買い物に行く時間が取れない」「親と口論になることが増えた」など、今気になっていることを一つ書いてみましょう。
何のサービスを選ぶかがわからなくても、困りごとが相談の入り口になります。
2.親が続けたいことも、一緒に伝える
困りごとだけでなく、「家で暮らしたい」「料理は自分でしたい」「朝はゆっくり過ごしたい」など、本人の希望も伝えましょう。
支援を取り入れるときには、本人が大切にしている生活を知ってもらうことも必要です。
3.初回の関わり方を相談する
親が不安に感じているなら、初回に家族が同席できるか、事前に担当者から説明を受けられるかなどを相談してみましょう。
必要な支援の中で、どの内容や時間帯なら取り入れやすいかを話し合う方法もあります。
ただし、介護保険では、単に人に慣れるための訪問や話し相手だけの利用を自由に設定できるわけではありません。本人に必要な支援を前提に、利用方法を確認してください。
4.利用後の様子を伝え、必要なら見直す
利用を始めたあとも、本人の反応や家族の負担を担当者に伝えましょう。
「時間帯が合わない」「説明がよくわからなかった」「この手伝いは助かった」など、小さなことでも構いません。
気になることがあれば、ケアマネジャーや訪問介護事業所へ相談してください。担当者や時間、内容の調整には、事業所の体制や地域の状況による制約もありますが、まず伝えることから始められます。
親への伝え方は「一緒に続けるために」
介護サービスの話を切り出すとき、正しい言葉を探しすぎて、言えなくなることもあります。
例えば、次のような伝え方を、自分たちの状況に合わせて考えてみてください。
「家での生活を続けるために、困っているところを手伝ってもらえるか、話を聞いてみない?」
「お風呂を手伝うとき、私の腰がつらくなってきたんだ。安全にできる方法を一緒に相談したい」
「来てもらう人や、お願いすることを、あなたの希望も聞きながら考えたい」
無理に明るく言ったり、事実と違う説明をしたりする必要はありません。親の希望を聞くことと、家族自身の困りごとを伝えることの両方を大切にしましょう。
家族だけでは話し合いが難しいときは、そのことも相談先に伝えて構いません。
どこに相談すればいい?利用を決める前でも相談できます
すでに担当のケアマネジャーがいる場合は、今の困りごとや、サービス利用をためらっている理由を伝えてみましょう。
まだ介護認定を受けていない、相談先がわからない場合は、親が住む地域の地域包括支援センターや、市区町村の介護保険窓口に相談できます。
「親が嫌がりそうなので、利用できるか迷っています」
「自分も人に頼むことに抵抗があり、話だけ聞きたいです」
そのままの言葉で大丈夫です。
介護保険の訪問介護は、基本的に要介護認定を受けた方が対象です。要支援の方などには、市区町村の総合事業による訪問型サービスといった選択肢があり、内容や条件は地域によって異なります。
利用までの手続きや、費用、頼める内容は、相談先で確認しましょう。相談することと、利用を決めることは別の段階です。
ヘルパーさんだけに限らず、合う支援を考えてよい
自宅への訪問に抵抗がある場合や、訪問介護だけでは必要な支援を補えない場合には、デイサービスやショートステイなど、別の選択肢を相談することもできます。
必ずホームヘルパーさんから始め、そのあと施設へ進むという順番があるわけではありません。
本人の希望や必要な介護、家族の体調、地域で利用できるサービスを踏まえて、その家庭に合う方法を考えていきます。
今すぐ大きな決断ができなくても、「ほかにどんな支えがあるか」を知っておくことは、これからの暮らしを考える手がかりになります。
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家族の関わり方を大切にしながら、支えを増やしていく
介護の手助けを受けても、親を思う気持ちや、家族としての関わりまで手放す必要はありません。
介助の一部を手伝ってもらいながら、親の話を聞く、一緒に食事をする、好きなことを楽しむ。そんな関わり方も考えられます。
頼り始めたあとも、ためらいや罪悪感が残ることはあるでしょう。気持ちがすぐに変わらなくても、自分を責めなくて大丈夫です。
「親がどう暮らしたいか」と「家族がどんな暮らしなら続けられるか」。その両方を相談の場に持っていってよいのです。
まずは、今困っていることを一つ話すところから。自分たちに合う支えを、少しずつ探してみませんか。


