介護中、思っている以上に困るのが、ベッドやマットレスに残る尿の臭いです。
シーツやパッドは洗濯できても、厚いマットレスや介護用ベッドは、簡単に丸洗いできません。
すぐに拭いたはずなのに、部屋に入るとまだ臭う。消臭スプレーを使っても、しばらくすると再び臭いが戻ってくる……。
このような場合、表面だけでなく、マットレスの縫い目や内部、ベッドのすき間などに尿が残っている可能性があります。
この記事では、洗えない介護用マットレスに尿がついたときの対処法や、時間がたってから臭いに気づいた場合の掃除方法、今後の尿漏れを防ぐ工夫について分かりやすくお伝えします。
介護用ベッドから尿の臭いが消えないのはなぜ?
尿が漏れた直後は、それほど強い臭いを感じないこともあります。
ところが、時間がたつと尿に含まれる成分が変化し、ツンとしたアンモニア臭が目立つようになります。
さらに、次のような場所へ染み込むと、表面を拭いただけでは臭いが取れにくくなります。
- マットレスの縫い目や裏側
- マットレスとベッドの間
- ベッド柵の取り付け部分
- ベッドフレームのつなぎ目
- 床や壁際
- 掛け布団や枕
- ベッド周辺のカーテンや衣類
「マットレスを拭いたのに臭いが残っている」というときは、臭いの発生源が別の場所にあることも珍しくありません。
まずは窓を開けて換気し、シーツや寝具を外した状態で、どの部分から臭っているのか確認してみましょう。

尿がついた直後に行いたいこと
尿漏れに気づいたら、できるだけ早く水分を取り除くことが大切です。
時間がたつほど内部へ染み込み、臭いやシミが残りやすくなります。
1.シーツや防水シーツを外す
最初に、濡れたシーツ、ベッドパッド、防水シーツなどを外します。
尿で濡れたものを重ねたままにしておくと、その下にあるマットレスまで湿気が広がってしまいます。
洗濯するものは、ほかの衣類と分けておくと扱いやすくなります。
2.乾いたタオルで水分を吸い取る
マットレスに尿が染みている場合は、乾いたタオルやペーパータオルを押し当て、水分を吸い取ります。
このとき、強くこするのは避けましょう。
こすると汚れが広がったり、尿がマットレスの奥へ押し込まれたりすることがあります。
タオルの乾いた面を何度か替えながら、上から押さえるように吸い取るのがポイントです。
3.薄めた中性洗剤で拭く
水分を吸い取った後は、製品の取扱説明書を確認し、お手入れが可能な場合は薄めた中性洗剤を使います。
中性洗剤を入れた水にタオルを浸し、固く絞ってから、汚れた部分を軽くたたくように拭きます。
洗剤をマットレスへ直接かけると、中まで染み込んで乾きにくくなるため、必ずタオルに含ませて使いましょう。
その後、水だけで濡らして固く絞ったタオルで、洗剤分が残らないように拭き取ります。
介護用エアマットレスなどは、内部に水が入ると故障につながる可能性があります。メーカーによってお手入れ方法が異なるため、取扱説明書を優先してください。
4.風を当てて十分に乾かす
掃除後のマットレスを、湿ったまますぐにシーツで覆うのは避けましょう。
水分が残ると、臭いだけでなくカビの原因にもなります。
窓を開けて換気し、可能であればマットレスを立てたり、壁との間にすき間を作ったりして風を通します。
扇風機やサーキュレーターを使うと乾かしやすくなりますが、暖房器具やドライヤーの熱風を近くから当てるのはおすすめできません。素材の変形や劣化につながることがあります。
時間がたった尿臭にはどう対処する?
尿漏れにすぐ気づけず、翌朝や数日後に臭いが残っていることもあります。
この場合も、最初に薄めた中性洗剤で汚れを拭き取ります。尿の成分が残ったまま消臭剤をかけても、臭いを一時的に覆うだけになりやすいためです。
汚れを落とした後もアンモニアのような臭いが残る場合は、介護用品として販売されている尿臭対応の消臭剤を使う方法があります。
ただし、一般的な芳香タイプのスプレーでは、尿臭と香りが混ざって、かえって不快に感じることがあります。
選ぶときは「尿臭用」「排泄臭用」「無香料」などの表示を確認するとよいでしょう。
尿臭が気になるときは、香りで隠すタイプよりも、尿や排泄物の臭いに対応した介護用消臭剤が使いやすいでしょう。マットレスに使用できるか、必ず商品の用途と注意事項を確認してからお使いください。
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消臭剤を使用するときも、マットレス全体が濡れるほど吹きかける必要はありません。
目立たない部分で変色などが起きないことを確認し、商品の説明に記載された量と使い方を守りましょう。
クエン酸や重曹は使っても大丈夫?
尿臭対策として、クエン酸や重曹を使う方法が紹介されることもあります。
時間がたった尿から発生するアンモニア臭には、酸性のクエン酸が役立つことがあります。ただし、介護用マットレスにはウレタン、防水加工されたカバー、エアセルなどさまざまな素材が使われています。
家庭にあるものだからといって、すべてのマットレスに安全に使えるとは限りません。
素材によっては、変色や表面加工の劣化、内部に水分が残る原因になります。レンタル品の場合は、自己判断で使用せず、福祉用具貸与事業所へ確認した方が安心です。
また、塩素系漂白剤と酸性のクエン酸や酢を一緒に使うのは大変危険です。有毒なガスが発生するおそれがあるため、絶対に混ぜないでください。
何を使ったか分からなくならないよう、一度に複数の洗剤や消臭剤を使わないことも大切です。
介護用ベッド本体にも尿が流れていないか確認する
マットレスの掃除だけで臭いが消えない場合は、介護用ベッド本体も確認してみましょう。
特に尿が流れ込みやすいのは、次のような場所です。
- マットレスを支える板やフレーム
- ベッド柵を差し込む穴
- 高さ調節部分のすき間
- キャスターの周辺
- ベッドの下の床
- 壁とベッドの間
電動介護ベッドを掃除するときは、安全のため電源プラグを抜き、モーターやコード、操作部分に水分が入らないよう注意します。
ベッドフレームは、固く絞った布で汚れを拭き、その後乾拭きします。
消毒液や洗剤を使用できる範囲は製品によって異なります。直接スプレーするのではなく、取扱説明書を確認したうえで布に含ませて拭きましょう。
マットレスだけでなく、おむつ交換後の部屋全体に臭いが残る場合は、こちらの記事も参考にしてください。
▶使用済みの大人用おむつが臭う|捨て方・保管場所・ゴミ箱のニオイ対策
レンタルの介護用マットレスが臭う場合は?
介護用ベッドやマットレスを介護保険でレンタルしている場合は、無理に丸洗いしたり、強い薬剤を使ったりする前に、福祉用具貸与事業所へ相談してください。
レンタル品は、利用者が自由に洗浄や分解をしてよいとは限りません。
尿が内部まで染み込んでしまった場合や、何度拭いても臭いが取れない場合は、専門的な洗浄やマットレスの交換について相談できることがあります。
交換できるかどうかや費用の扱いは、汚れの状態やレンタル事業所との契約によって異なります。
「汚してしまったから言いにくい」と感じるかもしれませんが、介護中の尿漏れは珍しいことではありません。臭いや湿気を我慢して使い続けず、まずは担当者へ状況を伝えてみましょう。
尿がマットレスの奥まで染みたときは無理をしない
次のような場合は、家庭での拭き掃除だけでは臭いを取り切れないことがあります。
- マットレスの広い範囲に尿が染みている
- 何度拭いても臭いが戻ってくる
- マットレスを押すと臭いが強くなる
- カバーを外しても中材が湿っている
- 黒や緑色のカビが見える
- エアマットレスの内部へ尿が入った可能性がある
内部まで濡れたマットレスは、表面だけ乾いているように見えても、中に湿気が残っていることがあります。
自宅で大量の水をかけて洗うと、乾燥に時間がかかり、かえってカビや臭いがひどくなる可能性もあります。
購入品であればメーカーや寝具のクリーニング業者へ、レンタル品であれば福祉用具貸与事業所へ相談しましょう。
状態によっては、洗浄よりも交換した方が衛生面や介護者の負担を考えると現実的な場合もあります。
今後の尿漏れを防ぐためにできること
マットレスについた尿臭を落とす作業は、思っている以上に大変です。
一度きれいにした後は、次の尿漏れに備えて、マットレスまで濡れにくい環境を整えておきましょう。
防水シーツを敷く
介護用の防水シーツには、腰の下だけを覆う部分タイプと、マットレス全体を包むタイプがあります。
尿量が少ない方や寝返りが少ない方は、部分タイプでも対応しやすいでしょう。
一方、寝返りが多い方、シーツがずれやすい方、尿量が多い方には、広い範囲を覆えるタイプが向いています。
防水シーツの上に通常のシーツを重ねておくと、肌に直接ビニール面が触れにくくなります。
使い捨ての吸水シートを併用する
洗濯物を増やしたくないときは、防水シーツの上に使い捨ての吸水シートを敷く方法もあります。
特に、体調を崩しているときや、下痢、夜間の尿量が多い時期には便利です。
ただし、シートを何枚も重ねると蒸れたり、しわができたりすることがあります。
高齢者の皮膚は傷つきやすいため、背中や腰に段差やしわができていないか確認しましょう。
マットレスへの染み込みを防ぐには、尿漏れ後の消臭よりも、あらかじめ防水シーツや吸水シートを敷いておく方が負担を減らせます。洗い替えを含めて2枚以上用意しておくと、夜間の交換もしやすくなります。
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おむつや尿取りパッドのサイズを見直す
尿漏れが何度も続く場合は、マットレスの問題だけでなく、おむつや尿取りパッドが体に合っていない可能性もあります。
- おむつのサイズが大きすぎる、小さすぎる
- 足の付け根にすき間ができている
- 尿取りパッドの位置がずれている
- 尿量に対して吸収量が足りない
- パッドを何枚も重ねている
- 夜間のおむつ交換の間隔が長い
このような点を確認してみましょう。
パッドを重ねると安心に思えますが、かえっておむつと体の間にすき間ができ、横漏れしやすくなることがあります。
漏れが続くときは、訪問介護員、訪問看護師、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員などに相談すると、本人の体格や尿量に合った方法を一緒に考えてもらえます。
介護者が臭いをつらいと感じるのは当然のこと
尿臭が部屋に残ると、介護する側にとって大きなストレスになります。
「本人が傷つくかもしれないから言えない」「もっと丁寧に掃除しなければ」と、一人で抱えてしまう方もいます。
しかし、排泄の臭いをつらいと感じることは、決して冷たいことではありません。
介護者が我慢を重ねて介護そのものが嫌になってしまう前に、防水シーツや消臭用品、福祉用具の交換など、使えるものは頼ってよいのです。
本人の尊厳を守ることと、介護する家族が無理をしないことは、どちらも同じくらい大切です。
まとめ|洗えないマットレスは「吸い取る・拭く・乾かす」が基本
介護用ベッドや洗えないマットレスに尿がついたときは、できるだけ早く水分を吸い取り、薄めた中性洗剤で拭いた後、十分に乾かすことが基本です。
臭いが残る場合は、マットレスだけでなく、ベッドフレームや床、寝具なども確認してみましょう。
尿が内部まで染み込んでいる場合や、レンタルの介護用マットレスを使用している場合は、無理に洗わず、メーカーや福祉用具貸与事業所へ相談してください。
そして、一度掃除を終えた後は、防水シーツや吸水シート、おむつの見直しによって、次の尿漏れに備えておくと安心です。
毎回の掃除や洗濯を家族だけで頑張りすぎる必要はありません。少しでも負担を軽くできる用品やサービスを取り入れながら、無理なく続けられる介護環境を整えていきましょう。


