「認知症かな?」と感じたときに・家族の変化に気づく7つのサイン

「あれ?最近ちょっと様子がおかしいかも…」

家族のちょっとした変化に気づいたとき、最初に浮かぶ不安のひとつが「認知症かもしれない」という思いかもしれません。

でも、大丈夫。すぐに決めつける必要はありませんし、早めに気づくことで進行をゆるやかにできる可能性もあります。

この記事では、家族の異変に気づいたときに知っておきたい「認知症の初期サイン」と、「どこに相談すればいいか」をわかりやすく解説します。

親の認知症を「早期発見する」ために

認知症と聞くと「もうどうにもならない」と思ってしまう方もいますが、今は“早期に気づいて対応すれば日常生活を長く維持できる”時代になっています。

早期の段階であれば、症状の進行を遅らせる薬や、認知症に見えて実は違う病気(うつや甲状腺異常など)が原因ということもあります。

だからこそ、「気のせい」で済ませず、ちょっとした変化をキャッチすることがとても大切なのです。

変化に気づく7つのサイン

ここでは、認知症の初期に多く見られる変化を、家族が気づきやすい行動や言動にしぼってご紹介します。

サイン具体的な様子
① 何度も同じことを聞く「今日何曜日?」と何度も尋ねてくる
② 財布や鍵をよく失くす普段使う場所に置き忘れて見つからない
③ 約束や予定を忘れる病院の予約を忘れる、話したことを覚えていない
④ 言葉がうまく出てこないよく知っている物の名前が急に言えなくなる
⑤ 怒りっぽくなる些細なことでイライラ、家族に当たるようになる
⑥ 料理や掃除をしなくなる家事に無関心になり、手をつけなくなる
⑦ 服装や身だしなみが乱れるいつも気にしていた服や髪に無頓着になる

これらは、誰にでもある「うっかり」にも見えますが、以前の様子と比べて急に頻度が増えた・生活に支障が出ている場合は要注意です。

チェックは「診断」ではなく、気づきのきっかけに

これらのサインは、あくまでも家族が“気づくためのヒント”です。

自己診断や決めつけは禁物です。認知症と似た症状を示す病気(せん妄、脳梗塞、うつ病など)も多いため、チェック=診断ではないということを理解しておきましょう。

気になったとき、まずやるべきこと

  • まずは気づいたことをメモ
    日時や頻度、どんな場面で起きたかを書き留めると、相談時に役立ちます。
  • 本人にやさしく声をかける
    「ちょっと疲れてるのかな?最近忘れっぽくない?」など、否定せず対話を大切に。
  • 地域包括支援センターに相談
    無料で相談でき、状況を聞いたうえで適切な窓口を案内してくれます。
  • かかりつけ医への受診
    まずは内科や認知症外来のある病院で相談を。
最近、認知症気味の両親をイメージしたイラスト

家族の気づきが介護の未来を変える

「最近よく物を探しているなと思っていたけど、年のせいだと思ってた…」

そんなふうに、家族の“なんとなくの違和感”が後から振り返ると最初のサインだったという声は少なくありません。

たとえば、いつもメモ魔だった母が、ある日から「書いておいたはずなのに見つからない」と言い出したり、毎朝きちんと畳んでいた洗濯物が散らかりっぱなしになっていたり。

それでも、多くの人が「気のせいかな?」「疲れてるだけかな?」と見過ごしてしまいます。

実際に相談に行って「早く気づけてよかったですね」と言われるケースもあれば、「もっと早ければ」という思いを抱える方もいます。

大切なのは“気づき”を遠ざけないこと。

本人のプライドや日常を守るためにも、やさしく見守りながら、そのサインを正面から受け止めていくことが、これからの介護や支援をスムーズにしてくれます。

家族が不安になりすぎないために

家族が変化に気づいたとき、自分を責めてしまったり、「もっと早く気づけば」と後悔する方もいます。

でも大丈夫。大切なのは、今気づけたことです。

今からの行動が、本人の生活を守ることにつながりますし、家族自身の安心にもつながるのです。

「いつもと違うな?」が気づきの第一歩

認知症は、「昨日まで普通だったのに突然始まる」ものではありません。

ちょっとした物忘れや言動の変化の中に、家族にしか気づけないサインが隠れています。

「もしかして」と思ったその気持ちを大切に、この記事の7つのサインを参考にして、やさしく、静かに一歩踏み出してみてください。

そして不安を一人で抱え込まず、地域や専門機関とつながることも忘れずに。

【よくある質問】

Q:物忘れと認知症の違いは?

A:年齢による「物忘れ」は、忘れたあとに思い出すことができるのが特徴です。たとえば「さっき食べたの何だっけ?」と一瞬忘れても、時間が経てば思い出せます。一方、認知症の場合は“食べたこと自体を忘れている”状態です。

Q:本人に「認知症かも」と伝えてもいいの?

A:とてもデリケートな問題なので、言葉選びやタイミングに配慮することが大切です。突然「認知症かもしれないよ」と伝えると、傷ついたり反発されたりする可能性もあります。

まずは「最近ちょっと物忘れが増えたかな?」など、一緒に気づいていく形で話を始めてみましょう。必要であれば、「健康チェックのついでに病院に行ってみようか」と声をかけるのも効果的です。

Q:まだはっきりしていない段階で病院に行っても大丈夫?

A:はい、大丈夫です。「もしかして」と思った段階での相談・受診はまったく問題ありませんし、むしろ早いほうが望ましいです。

初期段階では「加齢による変化」と診断されることもありますが、専門家の判断を聞いておくことで安心感にもつながります。

地域によっては、認知症に詳しい「もの忘れ外来」や「高齢者専門の相談窓口」もあるため、地域包括支援センターで相談先を紹介してもらうとスムーズです。

最後に

誰にでも、年齢とともに物忘れや生活の変化は起こります。だからこそ、「これって認知症?」と感じたときこそが、大切なタイミングです。

大切な家族の“いつもと違う”に気づいたあなたは、すでに第一歩を踏み出しています。

一人で悩まず、相談してみること。 それが、本人にとっても家族にとっても、これからの時間をやさしく支えてくれるはずです。

この記事が、少しでもその一歩の背中をそっと押せたなら幸いです。

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