認知症の家族と暮らすうえで『イライラしない7つのコツ』

認知症の親を介護する中で、イライラを感じている中年女性が、疲れた表情でソファに座っている。背景には高齢の母親が微笑んで立っている様子が描かれ、静かな夜のリビングの一場面をやさしいタッチで表現したイラスト。

「何度も同じこと言ってるのに…」

「さっき説明したのに、また忘れてる…」

認知症の家族を介護していると、「どうしてこんなにイライラしてしまうんだろう」と自分を責めてしまうこともあります。

でも、認知症介護でイライラしてしまうのは、とても自然なことです。多くの家族が同じ悩みを抱えています。

特に、親が相手だと、感情がこみあげてきて、なおさら自分でもびっくりするほど怒ってしまうことがあります。

この記事では、そんな気持ちを少しだけ軽くするために、イライラしたときの向き合い方を7つご紹介します。

■ なぜ認知症の介護でイライラしてしまうのか

認知症の介護では、同じことを何度も説明したり、突然怒られたりすることがあります。

そのため、どんなに優しい人でも、心が疲れてイライラしてしまうことがあります。

これは決して珍しいことではなく、多くの介護者が経験する自然な感情です。

1.間違いを正すことにこだわらない

認知症のある人の話が事実と異なっていると、つい「それは違うでしょう」と訂正したくなることがあります。

しかし、何度も否定されたり強く訂正されたりすると、不安や混乱につながる場合があります。

まずは「そう思ったんですね」「心配だったんですね」と気持ちを受け止め、別の話題へ移す方法もあります。

ただし、服薬、火の取り扱い、外出など、本人や周囲の安全に関わることはそのままにせず、必要な対応を取りましょう。

2.記憶だけでなく、そのときの気持ちにも目を向ける

認知症の症状によって、話した内容や出来事を忘れてしまうことがあります。

それでも、穏やかに話せたことや安心して過ごせたことが、本人の気持ちに影響する場合があります。

何を覚えているかだけにこだわらず、「今、安心しているか」「不安そうではないか」に目を向けてみることも大切です。

3.「今、余裕がないかも」と気づく

イライラが強くなるときは、介護する人自身に疲れや睡眠不足がたまっていることがあります。

「どうして優しくできないのだろう」と自分を責める前に、「今日は疲れているのかもしれない」と考えてみましょう。

すぐに休むことが難しい場合でも、家族に一つ頼む、家事を後回しにする、ケアマネジャーへ現在の負担を伝えるなど、少しでも負担を減らす方法を探すことが大切です。

4.同じ話には毎回きちんと答えなくてもよい

一日に何度も同じ話をされると、聞く側が疲れてしまうこともあります。

本人は、以前にも同じ話をしたことを覚えておらず、初めて話しているつもりの場合があります。

余裕があるときは「そうだったんですね」と気持ちを受け止め、難しいときは無理に最後まで聞かず、別の話題へ移しても構いません。

毎回同じように丁寧に対応できなくても、自分を責める必要はありません。介護する人の負担も考えながら、無理のない対応を探していきましょう。

5.“すぐ対応しない”という方法もある

イライラしているときって、反射的に言い返したり、動いたりしがちです。

でも、いったん間を置くだけで、気持ちが整うことってありますよね。

「ちょっとお茶でも飲んでから考えよう」

「ちょっと別の部屋に行ってから話そう」

そんなふうに“時間をずらす”だけで、お互い冷静になれます。

ただし、転倒のおそれがあるときや、服薬・火の取り扱いなど安全に関わる場面では、対応を後回しにせず、まず本人の安全を確保しましょう。

6.すべてを完璧にしようとしない

介護だけでなく、料理や掃除、買い物なども毎日完璧に行おうとすると、介護する人の負担が大きくなります。

  • 食事にお惣菜や宅配を利用する
  • 急がない掃除や片づけは後日に回す
  • 入浴が難しい日は、本人の体調や清潔を確認しながら別の方法を考える
  • 利用できる介護サービスをケアマネジャーに相談する

このように、減らせる家事や介助を見直してみましょう。

ただし、薬の管理や医療上必要なケアは自己判断で省略せず、難しい場合は医師、薬剤師、訪問看護師、ケアマネジャーなどへ相談してください。

7.「つらい」と言える場所を持つ

介護のつらさを誰にも話せないままでいると、自分を責めたり、孤独を感じたりすることがあります。

担当ケアマネジャー、地域包括支援センター、認知症カフェ、家族会などは、介護する家族の悩みも相談できる場所です。

友人や家族に話しにくい場合は、自治体や介護者支援団体の相談窓口を利用する方法もあります。

「しんどい」「少し休みたい」と伝えることは、介護を投げ出すことではありません。助けを求めることも、本人と家族の生活を守るための大切な行動です。

【関連記事】介護サービス相談員とは?ケアマネ・地域包括支援センターとの違いをわかりやすく解説

介護の“心の疲れ”セルフチェック

最近の状態当てはまる?
十分に眠れない日が続いている□ はい □ いいえ
食欲が落ちている、または食べすぎてしまう□ はい □ いいえ
以前より怒りっぽくなったと感じる□ はい □ いいえ
何もする気になれないことがある□ はい □ いいえ
介護のことが頭から離れない□ はい □ いいえ
自分の通院や休息を後回しにしている□ はい □ いいえ
介護について話せる相手がいない□ はい □ いいえ

※このチェック表は、病気を診断するものではありません。

当てはまる項目が多い場合や、眠れない、食欲がない、気分が落ち込むといった状態が続いている場合は、一人で抱えず、ケアマネジャーや地域包括支援センター、かかりつけ医などへ相談してみましょう。

まとめ

認知症の介護は、きれいごとだけでは続けられません。

イライラしたり、泣きたくなったり、「少し離れたい」と思ったりすることもあります。そのような感情を抱いたからといって、介護する人が悪いわけではありません。

大切なのは、自分を責め続けることではなく、負担が大きくなっていることに気づき、誰かに伝えることです。

ケアマネジャーや地域包括支援センター、認知症カフェ、家族会など、相談できる場所があります。

本人と家族のどちらか一方だけが無理を重ねるのではなく、介護サービスや周囲の力も借りながら、続けられる方法を探していきましょう。

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