通院・買い物・排泄…“外出支援”を使いこなす5つのコツ
「たまには外に出たい」
「病院の帰りにスーパーに寄りたい」
「トイレが不安だけど、家の中ばかりでは気が滅入る」
高齢になると、家の中に閉じこもる時間が増え、ほんの少しの外出が、生活のハリや楽しみになります。
けれどそれを支える家族側は、仕事に育児に、自分の生活だけでも精一杯だったりします。
とくに働きながら介護をしている方にとって、付き添い外出は大きな負担です。
そこで今日は、「外出支援」という視点から、介護保険や地域資源をどう活用すればよいか、5つの実践的なコツをご紹介します。
コツ1:外出の目的を“分解”して考える
「病院に行くついでに、買い物も、散歩も…」
つい1回の外出に複数の目的を詰め込みがちですが、これは介護者にとっても本人にとっても疲れる原因になります。
まずは外出目的を「医療」「生活」「気分転換」に分けて考えましょう。
外出の目的 | 例 | 支援の種類 |
---|---|---|
医療目的 | 通院・リハビリ | 通院等乗降介助、介護タクシー |
生活目的 | 買い物・役所・ATM | 買い物代行、同行支援、訪問介護 |
気分転換 | 散歩・外食・美容院 | デイサービス、外出支援ボランティア |
目的ごとに支援を使い分けることで、1人で全部を背負わずに済みます。
コツ2:介護保険の「通院等乗降介助」を最大限活用
訪問介護の一環として、病院までの送迎をサポートしてくれるサービスが「通院等乗降介助」です。
ドライバーが乗り降りを手伝ってくれるため、足元が不安な方にも安心。
ただし注意点として、
- 病院内の付き添いは対象外(あくまで乗り降りのみ)
- ケアマネージャーのケアプランに組み込む必要がある
という条件があります。
これを知らずに「使えない」と諦めてしまう方も多いので、一度ケアマネさんに相談してみる価値ありです。
コツ3:民間の「付き添い代行サービス」も検討してみる
介護タクシーや有償ボランティアなど、保険外の民間サービスも増えてきました。
中には、病院の中まで一緒に入って、診察内容を家族に伝えてくれるサービスもあります。
利用料金の目安
- 1時間 2,000円〜3,000円程度
- 移動距離・介助内容により異なる
「全部毎回使う」のではなく、
- 家族が休めない日だけ使う
- 遠方の病院や、複数科を回るときだけ使う
といった“ピンポイント利用”が現実的です。
コツ4:トイレが不安なら「短時間の外出」から練習を
排泄が不安で外に出られない…という方も多くいます。
実際、家では安心でも、外だと「トイレの場所がわからない」「間に合わないかもしれない」という不安がつきまといます。
そんなときは、まずは近所の公園を一緒に一周することから始めてみてはいかがでしょう?
時間にして10分程度の“外気浴”でも、気分転換効果は大きいです。
また、以下のような対策もあります。
不安 | 対策 |
---|---|
トイレが間に合わない | ポータブルトイレの持参/尿とりパッド |
外のトイレが怖い | 使用可能な施設の事前確認(駅・スーパー・コンビニ) |
万が一のとき | 着替えセットを持参、付き添いを家族でなくてもOKに |
小さな成功体験が、自信と笑顔につながります。
コツ5:デイサービスの「外出レクリエーション」を活用
意外と知られていないのが、デイサービスの外出イベントです。
お花見や買い物ツアー、初詣など、季節に応じた行事を楽しめる施設もあります。
これにより、
- 家族が付き添わなくても外出できる
- 同世代との交流が生まれ、孤立を防げる
- 会話のきっかけができ、認知症予防にも
など、外出を生活の一部として取り入れられる効果があります。
参加できるかどうかは、施設の方針や介護度によりますので、担当のケアマネージャーに相談してみてください。

どの地域にも、デイサービスはたくさん存在しています。
また、それぞれの施設で、方針や行事日程も違います。
内容をしっかり聞いて、契約する前には施設を見学させてもらうことをお勧めします!
「一緒に行く」だけが正解じゃない
介護中の外出支援というと、「全部つきっきりで付き添わなければ…」と思いがちですが、
実は多くのサービスが、「外出の一部だけをサポート」してくれます。
あなたが無理をして倒れてしまっては、元も子もありません。
うまくサービスを使いながら、「やりたいことを叶える外出」を無理なく続けていくことが、
本人の笑顔にも、介護者の安心にもつながっていきます。
ひとりで抱え込まないために|声を出すことも“支援”の一歩
介護と仕事の両立で疲れきってしまうと、
「誰にも相談できない」
「自分が頑張らなきゃ」
と思い込みがちです。でも本当は、
「これって他の人はどうしてるんだろう?」
と声を出してみることが、支援につながる最初の一歩です。
地域包括支援センターやケアマネージャー、デイサービスの職員など、あなたのそばには相談できる相手が必ずいます。
また、SNSやオンラインコミュニティを通じて、同じ立場で頑張っている介護者同士がつながる場も増えています。
「頼るのは負けじゃない」
「自分の生活も大事にしていい」
そんな気持ちで、あなた自身を守る工夫も、ぜひ大切にしてくださいね。