
認知症のある方が外出し、自宅へ戻れなくなると、本人の安全が心配になるだけでなく、家族も対応に迷います。
本人には、仕事や用事に向かおうとする気持ち、家に帰ろうとする思い、不安を感じて外へ出るなど、それぞれの理由がある場合があります。家族からは目的が分かりにくくても、本人なりの思いや習慣が背景にあることがあります。
外出を一方的に責めたり叱ったりするのではなく、本人の気持ちや生活歴を確かめながら、安全に過ごすための方法を考えることが大切です。
この記事では、自治体の事前登録や見守りサービス、GPS端末など、行方不明に備えて家族が確認しておきたいことを紹介します。
外出には本人なりの理由があることも
認知症のある方が外出する背景には、「家に帰りたい」「仕事や用事に行きたい」「家族を探したい」といった思いや、不安で落ち着かない気持ちがある場合があります。
家族からは理由が分かりにくいこともありますが、強く叱るのではなく、本人の気持ちや生活習慣を確かめながら、安全に過ごせる方法を考えましょう。
■ 「徘徊」は本人にとって意味のある行動の場合もあります
家族から見ると「危ない」「なぜ外へ出るの?」と感じてしまいますが、本人には本人なりの理由があることも少なくありません。
・昔の家に帰ろうとしている
・仕事へ行かなければと思っている
・家族を探している
・不安で落ち着かない
こうした気持ちが背景にあるため、強く叱ったり無理に閉じ込めたりすると、かえって不安や混乱が強くなることがあります。
まずは「本人は不安なんだ」と理解しながら、安全を守る工夫をしていくことが大切です。
■ 徘徊のおそれがある方は「事前登録」を
自治体の見守り・SOSネットワークを確認する
自治体によっては、認知症のある方が行方不明になった場合に備え、本人の名前や身体的特徴、写真、よく行く場所などを事前に登録できる制度があります。行方不明時に、登録情報をもとに警察や自治体、地域の協力機関が連携して、発見や保護につなげる仕組みです。
制度の名称や登録できる人、申請窓口、費用、行方不明時の連絡方法は自治体によって異なります。登録しただけで捜索が自動的に始まるとは限らないため、登録時に「行方不明になったとき、誰へ連絡するのか」も確認しておきましょう。
まずは市区町村の高齢者福祉窓口、地域包括支援センター、担当のケアマネジャーに、「認知症の人が行方不明になったときの事前登録や見守り制度はありますか」と相談してみてください。
■ GPS端末を収納できる靴の選び方
徘徊は突然起こることがあります。
そのため、万が一のときに備えて「見つけやすい工夫」をしておくことも大切です。
GPS端末を収納できる靴は、本人がその靴を履き、端末の充電や契約が有効な状態であれば、行方不明時に居場所を探す手がかりになります。ただし、位置の確認を保証するものではありません。
GPS端末を入れられる靴を選ぶ場合
靴の中にGPS端末を入れるスペースがある商品もあります。ただし、靴そのものにGPS機能が内蔵されているとは限りません。掲載商品の仕様では、GPS機器は別売りで、利用には別途契約が必要です。
購入前に、対応する端末、月額料金や契約条件、充電方法、位置情報の確認方法を確かめましょう。本人が履きやすいか、いつも使っている靴から履き替えてもらえるかも確認が必要です。
GPSは行方不明時に居場所を探す手がかりになりますが、充電切れや端末の置き忘れ、場所や通信状況によって位置を確認しにくいことがあります。GPSだけに頼らず、自治体への事前登録や、行方不明時の連絡先も確認しておきましょう。
GPS内蔵靴の選び方と注意点
GPS付きの靴を選ぶときは、次のポイントを確認しておくと安心です。
■ 軽さと履き心地
高齢者は重い靴や履きにくい靴を嫌がることがあります。
履いてもらえなければ意味がないため、本人が違和感なく履けることが一番大切です。
■ 充電の手間
GPS機能は充電が必要です。
家族が定期的に充電できるかどうかも考えておきましょう。
■ リアルタイム位置確認
製品によっては、現在地をリアルタイムで確認できないものもあります。
スマートフォンアプリの機能も事前にチェックしておくと安心です。
GPS端末だけを持ってもらう方法もありますが、鍵やタグを持ち忘れてしまうケースも少なくありません。
その点、GPS端末を収納できる靴(端末は別売り)なら、履いているだけで位置情報を確認できるため安心です。
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エアタグが入れられる「見つける君インソール」も、おすすめです。
※AirTagなどのスマートタグは、GPS端末とは仕組みが異なります。持ち物を探すための製品であり、GPS端末と同じように位置を確認できるとは限りません。見守りに使う場合は、本人に目的を説明し、本人の意思にも配慮して選びましょう。
■ GPSを使っていても「絶対安心」ではありません
GPSは非常に便利ですが、完全に事故を防げるわけではありません。
・充電切れ
・靴を履き替えてしまう
・地下や建物内で位置がズレる
といったケースもあります。
そのため、GPSだけに頼るのではなく、
- 自治体の徘徊登録制度
- 近所との見守り
- 鍵や玄関の工夫
- デイサービスの活用
など、複数の対策を組み合わせることが大切です。
行方不明に気づいたときの対応
本人がいないことに気づいたら、家族だけで探し続けず、すぐに110番または警察署へ連絡してください。事前登録がある場合も、警察への連絡を後回しにしないことが大切です。
- 110番または警察署へ連絡し、行方不明になったことを伝える
- 本人の写真、服装、靴、身長や体格、行方不明に気づいた時刻を伝える
- よく行く場所や過去に向かった場所、歩行の状態、持ち物などを伝える
- GPS端末を利用している場合は、最後に確認できた位置や時刻を伝える
- 自治体の見守り・SOSネットワークにも連絡し、登録時に確認した手順に沿って協力を依頼する
本人の写真や普段の服装が分かる写真を用意し、登録内容に変更があれば更新しておくと、いざというときに情報を伝えやすくなります。
■ 徘徊は「家族の責任」ではありません
認知症による徘徊が起きると、家族は「自分が目を離したせいだ」と強く自分を責めてしまうことがあります。
ですが、24時間ずっと見守り続けることは、現実にはとても難しいことです。
だからこそ、制度や見守りサービス、地域の支援を利用しながら、“一人で抱え込まない介護”をしていくことが大切です。
■ まとめ|介護家族が「後悔しないために」
認知症による徘徊は、突然起こる可能性があります。
そのため日頃から、
・自治体の徘徊登録制度を活用する
・GPSなどの見守り対策を準備しておく
・本人の気持ちに寄り添いながら見守る
といった備えをしておくことが大切です。
「もしものときに慌てて探し回る」のではなく、
「事前に準備して安心して見守れる環境を作る」
その小さな備えが、本人の安全と家族の安心につながります。
徘徊対策は怖いものではなく、
本人の尊厳を守りながら生活を支えるための大切な工夫なのです。


