―親だからこそ、つらくなるあなたへ―
「何度も同じこと言ってるのに…」
「さっき説明したのに、また忘れてる…」
認知症の家族と暮らしていると、そんなイライラが胸に積もっていくこと、ありませんか?
私はあります。
そして、たぶん誰にでもあります。
特に、親が相手だと、感情がこみあげてきて、なおさら自分でもびっくりするほど怒ってしまうことがあります。
でも、大丈夫。イライラするのは自然なことです。
この記事では、そんな気持ちを少しだけ軽くするために、私自身の経験も交えて「イライラしないためのコツ」を7つご紹介します。

1.正そうとしない
つい、「それ違うでしょ」と言いたくなりますよね。
でも、認知症の方にとっては「いま、自分がそう信じていること」が真実なんです。
間違いを正されると、混乱したり、傷ついたりしてしまうこともあります。
「それ違う」は逆効果
私が学んだのは、「正すより、受け入れる」。
これだけで、驚くほど自分も穏やかになれました。
本人にとってはそれが“今の現実”。正すことで混乱や怒りを生むより、まずは受け入れる姿勢が大切です。
2.記憶より“感情”を大切にする
認知症になると、出来事の記憶はすぐに抜けてしまいます。
でも、その時に感じた「うれしい」「安心した」などの感情は、ずっと残ることがあります。
「何を話したか」は覚えていなくても、
「一緒にいて安心だった」という気持ちは、ちゃんと残っていることが多いようです。
3.「私、余裕ないな」と気づくだけでも違う
イライラしてしまう時、だいたい自分が疲れてるんです。
イライラしてしまうとき、自分が責められているような気になります。でも、それは疲れているサインです。
誰も悪くない
私も、介護で疲れがたまってくると、ちょっとしたことで怒ってしまって、
「私ってひどいな…」と落ち込んでいました。
でも、自分の心がいっぱいになってしまうんですよね。
「今日ちょっとしんどいな」
と思ったら、がんばらないでください。
介護はマラソンです。そういう時は、休みましょう。
4.同じ話は「寄り道」だと思う
毎日のように、いや、1日に何度も同じ話をされると、正直イラッとしますよね…。
私も「その話、何回目?」と口に出してしまったことがあります。
でも、本人は「初めて話している」つもりで、しかも楽しそうだったりします。
楽しそうなら、付き合ってもいい
何度も同じ話を聞くのはしんどいですが、楽しそうな顔を見ると
「ああ、またこの話か」と思いつつ、話を聞けるようになりました。
話の内容より、今その人が「楽しい」「安心している」という気持ちを共有できるかが大事なんだと思います。
5.“すぐ対応しない”という方法もある
イライラしているときって、反射的に言い返したり、動いたりしがちです。
でも、いったん間を置くだけで、気持ちが整うことってありますよね。
「ちょっとお茶でも飲んでから考えよう」
「ちょっと別の部屋に行ってから話そう」
そんなふうに“時間をずらす”だけで、お互い冷静になれます。
6.手抜きする勇気を持つ
介護は完璧じゃなくていいんです!
介護って、がんばろうとするとキリがありません。
料理も、掃除も、薬の管理も、話し相手も…全部ちゃんとやろうとすると、絶対に無理が出てきます。
「今日はお惣菜でいいや」
「お風呂は明日にしよう」
「今日はゆっくり寝る」
そんな“手抜き”が、あなたを守ってくれます。
がんばらないのも、立派な介護です。
7.「つらい」と言える場所を持つ
いちばんつらいのは、つらいって言えないことだと思います。
誰にも言えないと、どんどん自分を責めてしまいます。
私は、地域包括支援センターでちょっとだけ話をしたとき、ものすごく心が軽くなりました。
家族会、友人、ネットの掲示板…なんでもいいんです。
「しんどい」「つらい」「もう嫌だ」って言える場所を、どうかひとつ持ってください。
介護の“心の疲れ”セルフチェック
簡単にできる「セルフチェックシート」作ってみました。参考にしてみてください!
チェックポイント | できている? |
---|---|
間違いを指摘しすぎていないか | □ はい □ いいえ |
感情のやりとりを大切にしているか | □ はい □ いいえ |
自分が疲れていると気づけているか | □ はい □ いいえ |
同じ話を聞き流す心の余裕があるか | □ はい □ いいえ |
すぐ反応せず「間」を置いているか | □ はい □ いいえ |
「手抜きしてもいい」と思えているか | □ はい □ いいえ |
つらいときに話せる場所があるか | □ はい □ いいえ |
※本チェックリストは、あくまでご家族の気持ちを整理する目的で作成しています。
まとめ
認知症の介護は、決してきれいごとではすみません。
イライラするし、泣きたくなるし、逃げたくなる。
でも、それは大切に思っているからこそ。
だから、イライラしてもいいんです。
でも、ひとりで抱えないでくださいね。
あなたのそのがんばり、きっと伝わっています。
そして今日も、本当にお疲れさまです。