介護される側の気持ちとは?介助を拒む理由と家族ができること

介助を受けることに戸惑う高齢の男性と、そばで話を聞く女性

「こんなに手をかけているのに、感謝の言葉がない」

「入浴や着替えを嫌がられると、どう接したらいいのか分からない」

家族の介護を続けるなかで、相手の言動に傷ついたり、腹が立ったりすることがあります。そう感じるのは、介護を大切に思っていないからではありません。毎日の負担が重なると、気持ちに余裕がなくなることもあります。

一方で、介護を受ける人も、手助けが必要になった戸惑いや、自分の希望をうまく伝えられないもどかしさを抱えている場合があります。ただし、不機嫌や介助の拒否をすべて「本当は助けてほしいサイン」と決めつけることはできません。体の痛みや体調、認知機能の変化などが関係していることもあります。

この記事では、介護される側の気持ちを考えるときの視点と、介助を嫌がられたときに家族が試せる対応を紹介します。

介護を受ける側は、どんな気持ちを抱えることがある?

以前は自分でできていたことに手助けが必要になると、本人は不安や悔しさ、恥ずかしさを感じることがあります。家族に迷惑をかけたくないと思う一方で、助けてほしい気持ちを言葉にできないこともあります。

たとえば、入浴や排せつの介助を嫌がる背景には、次のような思いがあるかもしれません。

  • 人に体を見られるのが恥ずかしい
  • 自分でできないことを認めたくない
  • 急に介助されて驚いた、何をされるか分からず不安
  • 家族に負担をかけていると感じてつらい

こうした気持ちが関係している場合もありますが、本人に理由を聞いても、すぐに答えが返ってくるとは限りません。表情や様子を見ながら、本人のペースを大切にしましょう。

「わがまま」に見える行動には、別の理由があることも

介護する側から見ると、食事を拒む、同じ質問を繰り返す、トイレへの誘いを嫌がるといった行動が「わがまま」に感じられることがあります。しかし、行動の理由は一つとは限りません。

食事を食べたがらない

味の好みだけでなく、食欲がない、口の中が痛い、飲み込みにくい、疲れているなど、体調や食べる環境が影響している場合があります。食事量の低下が続く、体重が減る、水分も取れないといったときは、医療機関やケアマネジャーに相談しましょう。

同じ質問や話を繰り返す

認知症などで、直前の会話を覚えておくことが難しくなっている場合があります。また、予定が分からない不安から、同じことを何度も確認していることもあります。強く注意するより、短く答えたり、予定を書いたメモを一緒に確認したりすると落ち着く場合があります。

入浴や排せつの介助を嫌がる

恥ずかしさや自尊心のほか、寒さ、痛み、疲れ、介助のタイミングが合わないことなども考えられます。嫌がる理由を一つに決めず、室温や時間帯、声のかけ方を変えると受け入れやすくなることがあります。

急に拒否が強くなったり、普段と違う言動が見られたりするときは、痛みや病気、薬の影響なども含めて医師に相談してください。

介助を嫌がられたときに試したい接し方

すぐに受け入れてもらおうとすると、本人も介護する側も緊張してしまうことがあります。次のような方法を、無理のない範囲で試してみましょう。

  • まず本人の話を聞く:「どこが嫌だった?」と落ち着いて尋ね、言葉にならない場合は表情や動作も見ます。
  • これからすることを説明する:「着替えを手伝うね」など、触れる前に短く伝えます。
  • 本人が選べるようにする:「今と少し後、どちらがいい?」など、可能な範囲で選択肢を示します。
  • いったん時間を置く:拒否が強いときは無理に続けず、時間や方法を変えてみます。
  • うまくいった条件を記録する:時間帯、声のかけ方、介助する人などをメモしておくと、次の対応を考える助けになります。

本人の意思や気持ちを尊重し、話を聞くことは大切です。ただし、危険がある場合や、必要なケアを長く受けられない場合は、家族だけで抱えずに専門職へ相談してください。

介護する側がつらいときは、距離を置いて相談していい

介護する側が「もう無理」「優しくできない」と感じることもあります。疲れやいら立ちを我慢し続けると、心身の負担が大きくなります。自分を責めず、まずは休める時間を確保することも必要です。

担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに、本人の言動だけでなく、介護する側が困っていることも伝えてください。介護サービスの利用や見直し、家族以外の支援者への相談につながる場合があります。

介護される側の気持ちを考えることは、介護する人が我慢し続けることではありません。本人と家族の両方が無理なく過ごせる方法を、周囲と一緒に探していきましょう。

まとめ|行動の理由を決めつけず、本人と家族の両方を大切に

介助の拒否や不機嫌に見える言動には、不安や恥ずかしさ、体の痛み、体調の変化、認知機能の影響など、さまざまな理由が考えられます。すべてを「わがまま」や「SOS」と決めつけず、何が起きているのかを少しずつ確かめていきましょう。

対応に迷ったときや、家族の負担が大きくなっているときは、ケアマネジャー、地域包括支援センター、医療機関などに相談できます。介護する側の気持ちも大切にしながら、ひとりで抱え込まない方法を考えてみてください。

参考にした公式情報

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