
「お墓参りに行きたい」と親から言われたとき、すぐに連れて行ってあげたいと思う一方で、遠くに住んでいると、移動中の体調や現地での転倒が心配になることがあります。
「一人で行かせるのは不安。でも、毎回付き添うのも難しい」
そんなふうに迷うのは、親の気持ちを大切に思っているからこそです。
この記事では、親がお墓参りを希望したときに家族で確認したいことや、無理のないお参りの方法を紹介します。
親にとって、お墓参りは大切な時間かもしれません
お墓参りは、亡くなった家族や先祖を思い、手を合わせる時間です。親にとっては、家族の節目として続けてきた習慣だったり、故人に近況を伝える大切な機会だったりすることもあります。
そのため、体力が落ちてきても「行きたい」と願うことがあります。まずは「どうしても行くの?」と否定するのではなく、いつ頃行きたいのか、誰と行きたいのか、どのようなお参りを望んでいるのかを聞いてみましょう。
希望を聞いたうえで、今の体調や移動手段に合わせた方法を一緒に考えると、親も家族も納得しやすくなります。
離れて暮らしているときは、早めに予定を相談する
遠方に住んでいる場合、親が「明日行きたい」と思っていても、すぐに付き添うのが難しいことがあります。行く日を決める前に、次のようなことを確認しておくと安心です。
- 親は、いつ頃のお参りを希望しているか
- 一人で歩ける距離や、休憩が必要なタイミングはどのくらいか
- 杖や歩行器を使っているか、車への乗り降りに介助が必要か
- 墓地までの道に坂道、段差、砂利道などがあるか
- 付き添える親族や知人が近くにいるか
- 当日の天気や気温に無理がないか
親の話だけでは状況が分かりにくい場合は、近くに住む親族や、普段の様子を知っている人にも確認してみましょう。本人が「大丈夫」と話していても、歩く距離や墓地の足元によっては、想像以上に負担になることがあります。
お参りの前に、体調と墓地までの移動を確認する
墓地には、坂道や段差、舗装されていない道がある場合があります。歩くことに不安がある親と出かけるときは、現地の足元やトイレ、休憩できる場所をあらかじめ確認しておくと、当日の見通しを立てやすくなります。
長時間歩くのが難しい場合は、墓地の近くまで車で行けるか、車いすで通れる道があるかなどを管理者に確認する方法もあります。墓地によって環境は異なるため、事前に問い合わせておくと安心です。
また、暑い時期は熱中症にも注意が必要です。厚生労働省は、外出時にも暑さを避け、こまめに水分補給をするよう呼びかけています。高齢の方は、のどの渇きを感じにくいこともあるため、天気や体調を見ながら、日程を変更する判断も大切です。
水分や塩分の摂取について医師から指示を受けている場合は、その指示に従いましょう。墓参り当日の体調に心配があるときは、無理に出発せず、必要に応じて医療機関などに相談してください。
親の体力や家族の状況に合わせて方法を選ぶ
お墓参りは、必ずしも長時間滞在したり、掃除をすべて済ませたりしなければならないものではありません。親の体調や移動の負担に合わせて、できる範囲でお参りする方法を考えてみましょう。
- 比較的気候のよい日や、親の体調が安定している日にする
- 暑さや寒さの厳しい時間帯を避け、短時間のお参りにする
- 親族の都合が合う日に、近くに住む人に付き添いを頼む
- 移動の負担が大きい場合は、墓地の近くまで車で行けるか確認する
- 本人の体調や墓地の環境に合わせて、別の日に変更する
「行けるか、行けないか」だけで考えず、「どこまでなら無理なくできそうか」を親と話し合うと、選択肢が見つかることがあります。
介護保険で墓参りの付き添いを頼める?
訪問介護では、介護保険の対象となる外出介助の目的や内容が限られています。墓参りの付き添いは、介護保険の給付対象外となり、自費の外出支援サービスとして案内される場合があります。利用できるサービスや費用は異なるため、担当のケアマネジャーや事業所に事前に確認しましょう。
介護認定を受けていない親についても、介護や暮らしのことで相談したいときは、親が住む地域の地域包括支援センターに相談できます。遠方に暮らす家族から相談できる場合もあります。
行くのが難しいときは、気持ちを伝える方法を話し合う
親の体調や移動の事情、家族の都合によって、希望する日にお墓参りをするのが難しいこともあります。そんなときは、ただ「行けない」と伝えるのではなく、何が心配なのかを説明し、別の方法を一緒に考えてみましょう。
たとえば、体調のよい日に予定を組み直す、近くに住む親族に付き添いを頼めるか相談する、自宅で故人の写真に手を合わせるなど、できる形は家庭によって異なります。
自宅で手を合わせることが本人にとって納得できる方法かどうかも、人それぞれです。代わりの方法を決めつけず、親が何を大切にしたいのかを聞きながら話し合いましょう。
よくある質問
親が一人で墓参りに行きたがります。行かせても大丈夫ですか?
年齢だけで判断せず、歩ける距離や墓地までの道の状態、交通手段、最近の体調などを確認しましょう。坂道や段差が多い場合や、移動に不安がある場合は、付き添いや別の日程を検討してください。離れて暮らしていて判断に迷うときは、近くの親族やケアマネジャーにも相談してみましょう。
訪問介護で墓参りに付き添ってもらえますか?
墓参りの付き添いは、介護保険の給付対象外となり、自費の外出支援サービスとして利用する場合があります。サービスの内容や費用、利用条件は事業者によって異なるため、担当のケアマネジャーや事業所に確認しましょう。
親の希望と安全の両方を大切にする
親にとってのお墓参りは、長年続けてきた習慣や、大切な人を思う時間かもしれません。一方で、離れて暮らす家族には、移動中の体調や転倒、付き添いの負担など、心配なこともあります。
親の希望をかなえるために家族が無理をしすぎたり、親が不安を抱えたまま一人で出かけたりする必要はありません。体調や墓地の環境、付き添える人、利用できる移動手段を確認し、家族でできる方法を探してみましょう。
判断に迷ったときは、担当のケアマネジャーや親の住む地域の地域包括支援センターに相談する方法もあります。親の気持ちを聞きながら、その時々に合ったお参りの形を考えていけるとよいですね。

