
「父は、まだ一人で買い物に行けている」
私にとって、それは離れて暮らす父の生活を考えるうえで、一つの安心材料です。
けれど、もし買い物に行けなくなったら。今の暮らしを続けられるのか、家族はどのくらい手伝う必要があるのか、自分の仕事や住まいも含めて考える岐路になると感じています。
一方で、地元のスーパーに、自宅へ商品を配達してくれるサービスがあることも知っています。
買い物が難しくなったとき、家族の訪問に加えて利用できる方法があるかもしれません。この記事では、お店の配達や移動販売、買い物代行などの選択肢と、地域で支援を探す方法を紹介します。
※2026年10月10日時点で確認した公式情報をもとにしています。サービスの有無、対象地域、料金、受付状況は、自治体や事業者へご確認ください。
まずは「買い物の何が難しいのか」を確認する
買い物に行けない理由によって、役立つ支援は変わります。
| 困っていること | 検討できる方法 |
|---|---|
| お店には行けるが、重い荷物を持ち帰れない | 店頭で買った商品の配達 |
| お店までの移動が難しい | 電話注文による配達、宅配、移動販売 |
| 一人で商品を選んだり会計したりするのが不安 | 買い物同行、買い物代行 |
| 食材を買っても調理が難しい | 弁当などの配食、調理の支援 |
宅配や買い物代行、移動販売などは、農林水産省も地域の買い物支援の方法として紹介しています。
「買い物ができない」とひとまとめにせず、親ができることと、手伝いが必要な部分を分けてみましょう。
また、買い物ができていても、それだけで生活全体の心配がなくなるわけではありません。食事を用意できているか、必要な食品が家にあるかも、会話や訪問の際に確認しておきたい点です。
高齢の親の買い物を支える方法
1.いつものスーパーや商店の配達サービス
まず確認したいのは、親が普段利用しているお店です。
お店によっては、店頭で購入した商品を自宅へ届けたり、電話で注文を受けて配達したりするサービスがあります。例えば伊丹市では、こうしたサービスを提供する「買い物支援協力店」を案内しています。
この2つは利用方法が異なります。「買った商品を届けてもらえる」と聞いても、家から注文できるとは限らないので確認しましょう。
- 親の住所が配達区域に入っているか
- 電話注文ができるか、来店購入が必要か
- 配送料や最低購入金額はいくらか
- 配達する曜日と、注文締切はいつか
- 支払い方法は何か
水やお米などの重い物だけを配達してもらう方法も、負担を減らす選択肢になります。取り扱う商品や条件は、お店に尋ねてみてください。
2.生協の宅配やネットスーパー
食材や日用品を定期的に届けてもらう方法として、生協の宅配やネットスーパーも候補になります。
「親はスマホが苦手だから使えない」と思っていても、生協では、地域によって注文用紙や電話で注文できる場合があります。
日本生活協同組合連合会も、インターネット・注文用紙・電話による注文方法を案内しています。詳しい利用方法や配達日、手数料は、各地の生協で異なります。
家族が注文を手伝う場合は、別住所への配送や支払い方法などが利用条件に合うか確認しましょう。
配達を受け取ったあと、冷蔵庫にしまえるか、食品を使い切れる量かも大切です。少量から試して、親に合う使い方を探してみてください。
3.近くまで来てくれる移動スーパー・移動販売
移動スーパーは、食品や日用品を載せた車が、決まった場所などを巡回して販売する仕組みです。
遠くのお店まで行かなくても、近所で商品を見て選べることが特徴です。農林水産省も、全国各地の移動販売の取り組みを紹介しています。
ただし、自宅の前まで来るとは限りません。 販売場所まで歩けるか、荷物を持ち帰れるか、巡回日時が生活に合うかを確認しましょう。
4.買い物代行・買い物同行
「必要な物を買ってきてほしい」という場合には買い物代行、「お店には行きたいけれど、一人では不安」という場合には買い物同行が候補になります。
地域の生活支援活動や民間事業者などが対応している場合がありますが、内容や料金はそれぞれ異なります。
同行に車での送迎が含まれるか、店内だけの付き添いかも確認が必要です。
代行では、予算、希望商品、品切れ時の対応、レシートやお釣りの受け渡しを決めておくと、行き違いを減らせます。
5.調理も難しい場合は、食事を届ける配食サービス
食材を届けてもらっても、調理ができなければ食事の準備は難しいままです。その場合は、弁当などを届ける配食サービスも検討しましょう。
自治体が案内するものと、民間の宅配弁当では、利用条件や料金が異なります。配達する曜日、食べやすさ、温め方、受け取り方法を確認してください。
食材の宅配と配食を組み合わせるなど、親の希望や暮らしに合わせて考えることもできます。
自治体が案内する買い物支援の具体例
次の例は、各地域の取り組みです。全国共通で利用できる制度ではありません。
兵庫県伊丹市|電話注文や配達に対応する「買い物支援協力店」
伊丹市は、市内のひとり暮らし高齢者や高齢者世帯などの買い物を支える「買い物支援協力店」を案内しています。
登録された店舗などが、電話注文や来店購入した食品・日用品の配達などに対応します。注文は各協力店へ直接行います。
申込条件や料金、提供するサービスは店舗によって異なるため、利用前に各店への確認が必要です。
埼玉県志木市|スーパーと連携した移動販売
志木市では、株式会社カスミとの協定に基づき、移動スーパーを運行しています。
市の公式案内では、生鮮食品や惣菜、弁当、日用品などを販売し、どなたでも利用できるとされています。
近くに販売場所があるか、曜日や時間が合うかは、公式ページの運行ルートで確認できます。運行場所・日時は変更されることもあるため、最新の案内をご確認ください。
横浜市|買い物代行・同行などの事業者を紹介
横浜市の「生活あんしんサポート事業」では、買い物代行・同行や配食など、暮らしの困りごとを手伝う民間事業者を紹介しています。
市のページに区別の事業者一覧があり、利用したい事業者へ直接問い合わせる仕組みです。
これは公的サービスではなく、商品代金やサービス料金は利用者の負担です。 自治体のサイトに掲載されているからといって、無料や補助付きとは限りません。
親の住む地域では、どこに相談すればいい?
地域包括支援センター・市区町村の高齢者福祉窓口
支援の探し方が分からないときは、親の住所を担当する地域包括支援センターや、市区町村の高齢者福祉窓口へ相談しましょう。
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護の相談に対応し、必要なサービスや窓口につなぐ役割があります。離れて暮らす家族からも相談できます。
相談するときは、次のように具体的に伝えると、状況を共有しやすくなります。
「そちらの地域で父がひとり暮らしをしています。調理はできますが、お店まで歩くことと、重い荷物の持ち帰りが難しくなりました。電話で注文できる配達のお店や、買い物を手伝ってもらえる支援はありますか?」
地域の社会福祉協議会にも、買い物の困りごとに対応する活動があるか尋ねてみる方法があります。紹介できる支援や利用条件は地域によって異なります。
インターネットでは、困りごとに近い言葉で探す
例えば、次の言葉を組み合わせて検索してみましょう。
- 「市区町村名 高齢者 買い物支援」
- 「市区町村名 スーパー 電話注文 配達」
- 「市区町村名 移動スーパー」
- 「市区町村名 買い物代行 社会福祉協議会」
自治体の公式サイトに「買い物支援協力店」「生活支援サービス一覧」などの案内がないかも確認してみてください。
買い物の支援に介護保険は使える?
要介護認定を受けている方の場合、訪問介護の「生活援助」として、日常生活に必要な買い物を支援してもらえる場合があります。
ただし、希望すればどんな買い物でも頼める制度ではありません。本人の状態や家族の状況、支援の必要性などを確認し、ケアプランに基づいて利用します。担当のケアマネジャーに相談してください。
要支援の方や、基本チェックリストなどで対象となる方については、市区町村の「介護予防・日常生活支援総合事業」による支援が候補になる場合もあります。内容は地域によって異なるため、地域包括支援センターなどに確認しましょう。
なお、スーパーの配達や生協の宅配などは、通常、要介護認定を前提とするサービスではありません。介護認定の有無にかかわらず、まず地域で利用できる方法を調べてみましょう。
食品が届いたあとまで考えて、親に合う方法を選ぶ
買い物支援を選ぶ際は、商品が届くことに加えて、その後の暮らしも確認したいところです。
- 自分で注文できるか、注文を手伝う人が必要か
- 配達を受け取り、食品を冷蔵庫にしまえるか
- 調理や食事の準備ができるか
- 継続して払える料金か
- 休業日や悪天候のとき、代わりの方法があるか
「自分で好きな物を選びたい」という親の希望も大切にしながら、無理なく続けられる方法を考えましょう。
例えば、重い物は配達してもらい、体調のよい日は近くで少量の買い物をする。そんな組み合わせが合う方もいるかもしれません。
よくある質問
スマホが使えなくても、配達を頼めますか?
お店によっては電話注文に対応しています。生協でも、地域によって注文用紙や電話を利用できる場合があります。ネット注文だけと決めつけず、対応する方法を尋ねてみましょう。
自治体の買い物支援は無料ですか?
無料とは限りません。自治体が民間事業者を紹介しているだけの場合もあります。商品代金のほか、配送料、代行料、会費などの費用を確認してください。
買い物に行けなくなったら、一人暮らしをやめる必要がありますか?
買い物が難しくなったということだけで、住まいの変更が必要かを判断することはできません。
配達などを利用すれば続けられることと、調理や身の回りのことで別の支援が必要なことを分けて考えましょう。本人の希望や生活全体の状態を、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーと一緒に整理していくことが大切です。
まとめ|「買い物ができなくなったら」に備えて、地域の選択肢を知っておく
親が一人で買い物に行けることは、家族にとって安心材料の一つです。その変化に気づいたとき、自分の働き方や住まいまで考えて、不安になることもあると思います。
そんなときは、親が何に困っているのかを整理し、地元のお店の配達や、地域の買い物支援を確認してみましょう。
まだ買い物に行けているうちに、「このお店は配達してくれる」「困ったらここに相談できる」と知っておくことも、これからの備えになります。
家族が担うことと、地域に頼れることを、一つずつ整理してみてはいかがでしょうか。
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