~手すりの補助や介護サービスを使うには認定が必須~
親の介護を考え始めたとき、「とりあえず地域包括支援センターに相談した」という方は多いと思います。
でもそこで言われるのが「要介護認定を受けてくださいね」という一言。
…実はこれ、介護保険サービスを受けるには絶対に必要な“はじめの一歩”です。
なぜ「要介護認定」が必要なのか
たとえば、次のような支援を受けたくても、認定がなければ利用できません。
- 介護用ベッド・手すりなどの福祉用具レンタル
- 住宅の段差解消や浴室の改修などの補助金
- ヘルパーによる訪問介護
- デイサービスの利用
どれも「要支援」または「要介護」と認定されて初めて、原則1割負担で使えるようになります。
介護保険制度における補助金例
介護保険制度における、福祉用具と住宅改修の補助金詳細を以下に記載しておきます。
🛠 福祉用具貸与(レンタル)
要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具で、介護保険の給付対象となるものです。 
対象種目
• 車いす(付属品含む)
• 特殊寝台(付属品含む)
• 床ずれ防止用具
• 体位変換器
• 手すり
• スロープ
• 歩行器
• 歩行補助つえ
• 認知症老人徘徊感知機器
• 移動用リフト(つり具の部分を除く)
• 自動排泄処理装置 
※要支援および要介護1の方は、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ以外の種目については、原則給付の対象外となります。 
🛒 特定福祉用具販売
購入が必要な福祉用具で、介護保険の給付対象となるものです。 
対象種目
• 腰掛便座
• 自動排泄処理装置の交換可能部
• 排泄予測支援機器
• 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)
• 簡易浴槽
• 移動用リフトのつり具の部分 
🏠 住宅改修
在宅介護を重視し、高齢者の自立を支援する観点から、住宅の改修を介護給付の対象としています。 
対象工事
• 手すりの取付け
• 段差の解消
• 滑りの防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
• 引き戸等への扉の取替え
• 洋式便器等への便器の取替え
• その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修 
💰 利用限度額と自己負担
• 福祉用具購入費支給限度基準額:10万円(1年度あたり)
• 住宅改修費支給限度基準額:20万円(1回あたり)
• 自己負担割合:原則1割(所得に応じて2~3割)
*詳細な情報や最新の制度については、厚生労働省の公式ウェブサイトをご参照ください。
>厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html
要介護認定の流れ

では、どのように認定を受けるのでしょうか?
以下のようなステップになります。
【要介護認定のステップ】
1. 市区町村の高齢者福祉窓口または地域包括支援センターに「申請」
2. 市区町村から「訪問調査」(本人の状態を調査員がチェック)
3. 主治医の意見書(かかりつけ医に依頼)
4. 調査・意見書をもとに「介護認定審査会」で判定
5. 約1か月後に「認定結果の通知」が届く
補助金が使えるまでに、どれ暗い時間がかかる?
申請から結果まで、おおむね1か月前後かかります。
急ぎの場合、「暫定ケアプラン」で先にサービス利用を始めることもできますが、
正式な支給決定が下りないと補助は受けられません。
申請書類って難しい?
申請は市区町村の窓口で行いますが、多くの人は地域包括支援センターで
代行してもらうケースが多いようです。
本人か家族が1人で手続きするのは大変なので、
不安な場合は包括センターに『申請について』相談してみてください。
認定結果によって何が変わる?
認定結果には「非該当」「要支援1~2」「要介護1~5」があります。
認定区分 | 受けられる主な支援 | 月の利用限度額(目安) |
---|---|---|
非該当(自立) | 介護保険サービスは原則利用不可 ※市町村の高齢者支援事業などの利用は可能 | ― |
要支援1 | 介護予防サービス、生活援助、デイサービス(短時間)など | 約5万円 |
要支援2 | 要支援1よりも広範なサービス利用可、デイサービスの回数も増加 | 約10万円 |
要介護1 | 訪問介護、福祉用具レンタル、住宅改修など | 約17万円 |
要介護2 | 訪問・通所サービス拡充、移動支援など | 約20万円 |
要介護3 | 中重度のケア、日常生活全般の介助、認知症対応型も含む | 約27万円 |
要介護4 | 身体介助が多く必要、自宅での生活が難しいケースも | 約31万円 |
要介護5 | 常時介護が必要、施設入所の検討対象になるレベル | 約36万円 |
たとえば、要介護1と認定されれば、以下のようなサービスが使えます。
- 週数回のヘルパー訪問
- デイサービスの利用
- 手すりの取り付け(住宅改修)費用の補助
- 介護ベッドやポータブルトイレなどのレンタル(1割負担)など
認定が出たらどうするの?
認定結果が出たら、ケアマネジャーと呼ばれる専門家が
「ケアプラン(介護の計画)」を作ってくれます。
このあと具体的な介護サービスがスタートしていきます。
最後に
「親がまだ元気だし…」と思っていても、
認定を受けておくと、いざという時にすぐに支援が受けられます。
何より、手すりやベッドなど“お金がかかるもの”を介護保険で補助してもらうには
認定が絶対に必要です。
まずは地域包括支援センターに相談し、
スムーズに申請に進んでおくことを強くおすすめします。