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認知症の徘徊に備える

認知症の方が「外出したまま帰ってこない」という事態は、介護する家族にとって最も恐ろしいトラブルの一つです。
特に夜間や季節の変わり目には徘徊が起きやすく、命にかかわるケースもあります。
そんなときに活用してほしいのが、「徘徊登録制度」とGPS付きの靴などの見守りグッズです。
■ 徘徊とは?
認知症の症状の一つである「徘徊(はいかい)」は、目的なく歩き回ったり、自宅に帰るつもりで迷子になってしまう状態を指します。
- 家族の外出中に勝手に出て行ってしまう
- 夜中にパジャマのまま外を歩いている
- 過去の記憶に基づいて「昔の自宅」に向かう
こうした行動には本人なりの“目的”があることも多く、無理に止めると混乱や攻撃的な反応を示すこともあります。
なぜ徘徊が起きるのか?
認知症の人は「記憶」だけでなく「時間や場所の感覚」も失いやすくなります。
以下のような心理状態が、徘徊行動を引き起こすとされています:
- 「家に帰らなきゃ」と思って実家を探しに出てしまう(見当識障害)
- 「仕事がある」と思い出して外に出ようとする(過去の記憶が混ざる)
- 室内が不安で外に出たくなる(不安や被害妄想)
👉 本人には本人なりの「理由」があるため、責めたり叱ったりしない対応が大切です。
■ 徘徊のおそれがある方は「事前登録」を
「徘徊SOSネットワーク」とは?
徘徊による行方不明が発生した場合、早期に保護できるように地域の自治体や警察、福祉施設などが連携して「顔写真や身体的特徴」「歩き方のクセ」「よく行く場所」などを事前に登録しておける制度です。
自治体によって名称は異なり、
- 「高齢者等身元確認登録制度」
- 「見守りSOSネットワーク」
- 「認知症高齢者等の見守りシステム」
などさまざまですが、いずれも無料または安価で利用可能です。
登録の流れ(例:東京都練馬区)
- 役所の窓口または地域包括支援センターに申請
- 顔写真・特徴・身長・歩行状態などを記入
- 登録証(またはQRコードラベル等)を受け取る
- 実際に行方不明になったとき、関係機関が連携して早期発見
「徘徊登録制度の活用で実際に救われた例」
事例:70代女性(要介護2・東京都)
自宅から夜に外出し、翌朝になっても帰宅せず。
事前に「徘徊SOSネットワーク」に登録していたため、地域住民からの通報で約2時間後に発見され、無事保護。
📌 このように「事前登録」は命を守る仕組みとして非常に有効です。
■ 万が一のために「見つけやすい履き物」を用意
徘徊は突発的に起こります。そんなときに備えて、**位置情報が家族に通知される「GPS付きの靴」**をあらかじめ使っておくのも有効です。
📍おすすめは、以下のような「かかと部分にGPS端末が入っているタイプ」。充電式で繰り返し使え、スマホからすぐに位置がわかります。

GPS内蔵靴の選び方と注意点
✔ 軽さ・履き心地が重要
高齢者は重い靴や履きにくい靴を嫌がります。履かなくなったら意味がないので、本人が気に入って履けるかを最優先に。
✔ 充電の手間は誰が行うか?
家族側で定期的に充電する必要があります。バッテリーの持ちは製品により異なるため、1週間持つタイプなどを選ぶと便利です。
✔ リアルタイム追跡の有無を確認
一部の製品では、スマホでリアルタイムの位置が見えないものもあるため、購入前にアプリ機能を確認しておきましょう。
緊急時に備える家族の行動マニュアル
認知症による徘徊は、「まさかうちの親が…」というタイミングで突然起こります。
だからこそ、普段から冷静に対応できる準備をしておくことがとても大切です。
- すぐに外を探さず、まずGPSアプリ・徘徊登録の窓口に連絡
- 家の中や近所のスーパー・公園・バス停など、よく行く場所をチェック
- 気づいたときの時間・服装・所持品をメモして共有
- 警察や消防に連絡(事件性がある場合を除き、保護目的で対応)
特に注意したいのは、家族が焦ってバラバラに探し回ってしまい、かえって発見が遅れるケースです。
まずは落ち着いて、誰が・どこを・どのように探すかを共有することが、発見の早道になります。
また、GPSや徘徊登録などの仕組みを「使い慣れておく」ことも大きなポイントです。
非常時にアプリの操作や連絡先を探している余裕はありません。
操作方法や登録先の連絡先は、紙やスマホのメモ帳にまとめておきましょう。
最悪の事態を避けるためには、「日頃の小さな備え」が、いざというときに家族を守る最大の武器になります。
■ まとめ|介護家族が「後悔しないために」
徘徊は突然起こるものです。日頃から
- 自治体の徘徊登録制度を活用しておく
- GPS内蔵靴などの備えをしておく
- 本人の気持ちに寄り添いながら見守る
ことで、万が一の事態を未然に防げる可能性が高くなります。
何よりも、「探し回って後悔するより、準備して安心を得る」ほうが、本人にも家族にも優しい選択です。家族の安心のために、そして本人の尊厳を守るためにも、“徘徊対策は怖がるもの”ではなく、“支える工夫”として前向きに捉えることが大切です。