
「施設の職員に相談しても、気持ちを分かってもらえない」
「今の施設から移りたいけれど、近くの施設に受け入れてもらえるのか不安」
親が入所している介護施設に不満があっても、すぐに転居先が見つかるとは限りません。施設同士のつながりがある地域では、「今の施設でのことが伝わって、受け入れを断られるのでは」と心配になる方もいるでしょう。
転居を考えるときは、施設への不満を伝えることだけでなく、本人の希望や安全を確かめながら、次の受け入れ先と相談先を探していくことが大切です。
この記事では、施設への不満を抱えたときの相談先や、転居先が見つからず困ったときの進め方を、順を追って紹介します。
介護施設への不満だけで、すぐに転居を決めなくても大丈夫です
職員の対応や施設の方針に疑問があっても、「自分が苦情を言ったら、親が居づらくなるのでは」と迷うことがあります。反対に、何度相談しても状況が変わらず、「もうここにはいられない」と感じる場合もあるでしょう。
まずは、何に困っているのかを整理してみましょう。「職員の言い方が気になる」という場合も、いつ、どのような場面で、本人にどんな影響があったのかを書き留めておくと、施設や外部の相談先に伝えやすくなります。
本人が意思を伝えられる場合は、本人の気持ちも確かめます。家族が転居を望んでいても、本人は今の場所での生活を続けたいと思っていることがあります。本人の希望と安全を確かめながら、今後の方法を考えていきましょう。
施設への相談で解決しないときは、施設外の窓口にも相談できます
施設に伝えるときは、担当職員だけで話が進まない場合に、生活相談員や管理者など、別の立場の人との面談をお願いする方法があります。話し合いの前に、伝えたいことや確認したいことをメモしておくと、落ち着いて話しやすくなります。
施設に相談しても対応に納得できないときや、施設に直接伝えることが難しいときは、市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターなどにも相談できます。介護サービスの苦情については、市区町村や都道府県の国民健康保険団体連合会が相談先となる場合もあります。窓口や対応できる内容は地域や施設の種類によって異なるため、まず市区町村に相談先を尋ねてみましょう。
相談の際は、「転居したい」と伝えるだけでなく、困っている出来事、施設に相談した時期と回答、本人の様子を伝えると、次に取れる方法を一緒に整理しやすくなります。
転居先が見つからないときに確認したいこと
転居を希望しても、空き状況や受け入れ条件、医療的な対応の可否などによって、すぐに次の施設が決まらないことがあります。特別養護老人ホームでは、入所の必要性などを踏まえて選考する仕組みがあり、地域ごとに入所指針が設けられている場合があります。
問い合わせをして受け入れが難しいと言われたときは、差し支えない範囲で、どの条件が合わなかったのかを尋ねてみましょう。空きがないのか、必要な医療や介護への対応が難しいのか、申込みの条件を満たしていないのかが分かると、次に探す施設の種類や地域を検討しやすくなります。
「家族に問題があると思われているのでは」と不安になることもあるかもしれません。ただ、断られた理由は施設ごとに異なり、外からは分からないこともあります。一度の結果だけで、ご家族や本人に原因があると決めつけないでください。市区町村や、施設選びに詳しい相談員にも状況を話し、別の探し方がないか相談してみましょう。
施設間で情報を引き継ぐときは、内容と共有先を確認しましょう
転居するときは、本人の病状や服薬、介護上の注意点などを次の施設に伝える必要があります。本人にとって安全なケアを続けるために、必要な情報を引き継ぐことは大切です。
一方で、本人の情報をどの相手に、どのような目的で伝えるのか、気になるときは施設に確認できます。情報提供への同意を求められた場合は、共有する情報や相手、目的を読み、分からない点を尋ねてから判断しましょう。
次の施設へ状況を伝える際は、これまでの経緯を隠さず、確認できている事実を中心に説明するとよいでしょう。「誰が悪いか」を争うためではなく、本人に合った生活環境やケアを見つけるための相談として伝えることが大切です。
転居を決める前に、退所の条件と次の生活を確認します
転居先を探すときは、今の施設を退所する手続きや費用、予告期間などを契約書や重要事項説明書で確認しましょう。次の施設の受け入れが決まる前に退所日を確定すると、生活する場所が途切れてしまうおそれがあります。
次の施設が決まったら、入所日や費用、医療・介護の対応範囲を確認し、薬や診療情報、介護上の注意点、持ち物の引き継ぎを進めます。退所や入所の具体的な段取りは、本人の状態や施設の契約によって異なるため、双方の担当者と相談しながら調整しましょう。
本人の安全に不安がある場合は、転居先探しと並行して相談を
暴言や身体的な暴力、必要な介護を受けられていないなど、本人の安全や尊厳に関わる心配がある場合は、施設内の話し合いだけで抱え込まず、市区町村の高齢者虐待相談窓口や地域包括支援センターに相談してください。緊急性がある場合は、速やかに自治体の窓口へ連絡しましょう。
まとめ|ひとりで抱えず、本人の希望と安全を軸に進めましょう
介護施設への不満があって転居を考えても、地域や施設の状況によっては、次の受け入れ先がすぐに見つからないことがあります。施設に断られたからといって、ご家族だけで理由を抱え込まず、相談先を変えたり、探す地域や施設の種類を広げたりしながら、次の方法を考えていきましょう。
大切なのは、本人の気持ちと安全を確かめ、今の生活を続けながら次の準備を進めることです。ご家族だけで難しいときは、市区町村や地域包括支援センターなどにも相談し、ひとつずつ進めていきましょう。
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参考リンク
- 厚生労働省|指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針
特養の入所選考における透明性・公平性について確認できます。 - 個人情報保護委員会|施設間で本人の情報を提供するとき、同意は必要?
介護保険施設を移る際の、本人情報の引き継ぎについてのQ&Aです。 - 厚生労働省|指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
施設の苦情対応や、市区町村の調査への協力について確認できます。 - 厚生労働省|介護保険制度について:困ったときの相談窓口
介護サービスに関する困りごとや苦情を、市区町村に相談できることが説明されています。

