要介護3なのに特養に入れないのはなぜ?入所順位の決まり方と待っている間の対策

特養への入所について施設相談員に相談する要介護3の父親と家族

「要介護3になったから、特別養護老人ホームへ申し込める」

そう聞いて申し込んだものの、なかなか入所できず、困っているご家族も少なくありません。

施設から「空きが出たら連絡します」と言われたまま数か月が過ぎると、いつまで待てばよいのか、本当に順番が回ってくるのか不安になりますよね。

しかし、特別養護老人ホームの入所は、単純な申し込み順で決まるとは限りません。要介護度だけでなく、自宅での生活を続けることがどれほど難しいか、介護する家族がいるか、認知症や医療的ケアへの対応が必要かなど、さまざまな事情をもとに検討されます。

そのため、同じ要介護3でも、比較的早く入所できる方もいれば、長く待つ方もいます。

この記事では、要介護3なのに特養へ入れない主な理由や、入所順位の考え方、待っている間に家族ができることを分かりやすく解説します。

「申し込んだのだから待つしかない」と思っている方も、家庭の状況が変わったときには、施設やケアマネジャーへあらためて伝えることが大切です。今できることから、一緒に確認していきましょう。

  1. 要介護3なのに特養へ入れないのはなぜ?
    1. 特養は申し込み順だけで決まるわけではない
    2. 同じ要介護3でも家庭の状況は異なる
    3. 空室が出てもすぐに入所できるとは限らない
  2. 「待機者が何十人もいる」と言われたら何年待つ?
  3. 特養へ入れないときに家族ができること
    1. 本人や家族の状況が変わったら施設へ連絡する
    2. ケアマネジャーにも在宅介護が厳しいことを伝える
    3. 特養は複数の施設へ申し込む
    4. 申し込みの更新や意思確認に注意する
  4. 特養を待っている間に利用できるサービス
    1. ショートステイを利用する
    2. 訪問介護やデイサービスを見直す
    3. 老健への入所を検討する
    4. 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も調べる
    5. 小規模多機能型居宅介護などを相談する
  5. 入所の連絡が来たときに迷わないための準備
    1. 一度断ると二度と入れない?
  6. 介護が限界になるまで我慢しないで相談を
  7. 要介護3でも特養に入れないときのよくある質問
    1. Q1.要介護3なら必ず特養へ入れますか?
    2. Q2.特養は申し込んだ順に入所できますか?
    3. Q3.待機順位を施設へ聞いてもよいですか?
    4. Q4.特養は何か所でも申し込めますか?
    5. Q5.要介護4や5になれば、すぐ入れますか?
    6. Q6.家族が同居していると入所しにくいですか?
    7. Q7.施設へ何度も連絡すると入所に不利になりますか?
    8. Q8.家族の介護が限界でも、空きが出るまで待つしかありませんか?
  8. まとめ|要介護3でも「申し込んだら待つだけ」ではありません
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要介護3なのに特養へ入れないのはなぜ?

特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上の方が入所対象です。

ただし、要介護3になれば必ず入所できるわけではありません。要介護3は、あくまで特養へ申し込むための条件を満たした状態です。

特養は比較的少ない負担で長く入所できるため、希望する方が多い施設です。地域や施設によっては、空きが出るまで長期間待つこともあります。

また、空室が1つ出たからといって、申し込み順の一番早い方がそのまま入所できるとは限りません。施設では、入所を待っている方の状況を確認し、緊急性や受け入れ可能な状態かどうかを含めて検討します。

特養は申し込み順だけで決まるわけではない

特養の入所順位は、一般的に「いつ申し込んだか」だけではなく、どれほど入所の必要性が高いかを考慮して決められます。

たとえば、次のような事情が確認されます。

  • 本人の要介護度
  • 認知症の症状や日常生活の状態
  • ひとり暮らしか、同居家族がいるか
  • 家族が介護を続けられる状態か
  • 介護者の年齢や病気、仕事への影響
  • 現在利用している介護サービスの状況
  • 自宅での生活を続けることに危険がないか

そのため、要介護3で早くから申し込んでいた方よりも、要介護4・5で自宅での生活が難しい方や、介護する家族がいない方などが先に案内されることがあります。

待っている家族にとっては納得しにくいことですが、限られた居室を、より入所の必要性が高い方から案内しているためです。

同じ要介護3でも家庭の状況は異なる

要介護度が同じでも、家庭によって介護の状況は大きく異なります。

たとえば、同居する家族がいて、デイサービスやショートステイを利用しながら生活できている方もいます。一方で、介護者自身が高齢だったり、病気を抱えていたりして、在宅介護が限界に近づいている家庭もあります。

本人の状態だけでなく、介護する家族の状況も、入所の必要性を判断する材料になります。

「同居家族がいるから大丈夫」と判断されるとは限りませんが、家族がどのような介護をしていて、何に困っているのかは、具体的に伝えなければ施設側に十分伝わらないこともあります。

空室が出てもすぐに入所できるとは限らない

特養に空室が出た場合でも、すべての待機者が入所候補になるわけではありません。

本人に医療的ケアが必要な場合や、認知症の症状への対応が難しい場合などは、その施設の人員体制や設備によって受け入れられないことがあります。

また、多床室やユニット型個室など、空いた居室の種類と本人・家族の希望が合わないこともあります。施設によっては居室の構成や受け入れ体制の都合から、すぐに案内できないケースもあります。

「空きがあると聞いたのに入れなかった」という場合も、単に順番を飛ばされたとは限らないのです。

「待機者が何十人もいる」と言われたら何年待つ?

施設から待機者数を聞き、「そんなに待っている人がいるなら、何年も入れないのでは」と不安になる方もいるでしょう。

ただし、待機者数と実際の入所順位は必ずしも一致しません。

複数の施設へ同時に申し込んでいる方や、すでに別の施設へ入所した方、入院中で今すぐ入所できない方が待機者に含まれている場合もあります。

また、本人や家族の状況が変われば、入所の必要性の評価も変わる可能性があります。そのため、「待機者が50人なら自分は51番目」と単純に考えることはできません。

施設へ確認するときは、正確な順位だけを尋ねるよりも、現在の状況を伝えたうえで、入所の見込みや追加で提出する書類がないかを相談したほうがよいでしょう。

特養へ入れないときに家族ができること

特養へ申し込んだ後は、ただ連絡を待つしかないと思ってしまいがちです。

しかし、入所までの期間を乗り切るためにできることや、施設へあらためて伝えたほうがよいことがあります。

本人や家族の状況が変わったら施設へ連絡する

入所を申し込んだ時点から状況が変わった場合は、申し込み先の施設へ連絡しましょう。

特に、次のような変化があったときは伝えておくことが大切です。

  • 要介護度が上がった
  • 認知症の症状が進み、ひとりで過ごすことが難しくなった
  • 転倒や徘徊など、自宅での生活に危険が出てきた
  • 介護者が病気になった、または入院した
  • 介護者が仕事を続けられない状態になっている
  • ショートステイなどを利用しても在宅介護を続けることが難しい
  • 本人が入院し、退院後に自宅へ戻ることが難しくなった

施設側が把握しているのは、基本的に申し込み時や前回の確認時に伝えた情報です。家庭の状況が厳しくなっていても、連絡しなければ以前の情報のまま検討される可能性があります。

状況を大げさに伝える必要はありませんが、「もう限界です」だけで終わらせず、何が起きていて、どのような介護が難しくなっているのかを具体的に伝えましょう。

ケアマネジャーにも在宅介護が厳しいことを伝える

家族だけで抱え込まず、担当のケアマネジャーにも現在の状況を相談してください。

ケアマネジャーは、本人の状態や家庭の事情を確認しながら、入所までの介護サービスを調整したり、ほかの施設を探したりできます。

相談するときは、次のように具体的に伝えると状況を理解してもらいやすくなります。

  • 夜間の介助が増え、家族がほとんど眠れていない
  • 介護のために仕事を休む日が増えている
  • ひとりで外へ出てしまい、家族だけでは見守れない
  • 移乗や排泄介助が難しく、家族の体にも負担が出ている
  • 介護者にも持病があり、これ以上の介護が難しい

家族が何とか対応できているように見えても、実際にはぎりぎりの状態ということがあります。「まだ頑張れるから」と我慢せず、困っていることをそのまま話してかまいません。

特養は複数の施設へ申し込む

特養は、1か所だけでなく複数の施設へ申し込むことも検討しましょう。

自宅からの近さだけで選ぶと、待機者が多く、なかなか入所できないことがあります。家族が通える範囲を少し広げることで、候補が増える場合もあります。

ただし、入所の連絡が来てから慌てないように、できれば申し込み前に施設を見学し、次の点を確認しておきましょう。

  • 居室の種類と費用
  • 医療的ケアへの対応範囲
  • 認知症への対応
  • 面会や外出についての決まり
  • 家族が通える距離か
  • 本人が落ち着いて生活できそうな環境か

複数の施設へ申し込んだ場合、別の施設への入所が決まったときや、申し込みを取り下げるときは、それぞれの施設へ連絡しておきましょう。

申し込みの更新や意思確認に注意する

施設や地域によっては、入所の意思や現在の状況を定期的に確認されることがあります。書類の更新や返信を求められた場合は、期限内に対応しましょう。

施設からの電話に出られなかったときは、できるだけ早く折り返してください。登録している電話番号や住所が変わった場合も、忘れずに知らせておきます。

連絡がつかない状態が続くと、現在も入所を希望しているのか確認できず、案内が進まないことがあります。

特養を待っている間に利用できるサービス

特養への入所を待つ間も、在宅介護は続きます。家族の負担が大きいときは、現在のケアプランを見直してもらいましょう。

ショートステイを利用する

ショートステイは、施設へ短期間宿泊し、食事や入浴、排泄などの介護を受けられるサービスです。

家族の休息だけでなく、冠婚葬祭や出張、介護者の体調不良などで一時的に自宅での介護が難しいときにも利用できます。

希望者が多い時期は予約が取りにくいこともあるため、定期的な利用を考えている場合は、早めにケアマネジャーへ相談しておくと安心です。

訪問介護やデイサービスを見直す

本人の状態が変わっている場合、現在のサービス内容では足りなくなっている可能性があります。

訪問介護の回数を見直す、デイサービスの利用日を増やす、福祉用具を導入するなど、在宅生活を続けるための方法をケアマネジャーと検討してみましょう。

ただし、介護保険には要介護度ごとの支給限度額があります。利用回数を増やすと自己負担が大きくなることもあるため、費用も含めて相談することが大切です。

老健への入所を検討する

病院を退院したものの、すぐに自宅へ戻ることが難しい場合は、介護老人保健施設(老健)を利用できることがあります。

老健は、リハビリや必要な介護を受けながら、在宅復帰を目指す施設です。特養のように長期間暮らすことを前提とした施設ではありませんが、特養への入所を待つ間の選択肢として検討されることもあります。

ただし、「特養へ入れるまで必ず老健にいられる」というわけではありません。入所できる期間や退所後の予定については、申し込み前に施設の相談員へ確認しておきましょう。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も調べる

費用面で可能であれば、介護付き有料老人ホームなど、特養以外の住まいも候補になります。

ただし、有料老人ホームは施設によって料金や介護体制、医療的ケアへの対応が大きく異なります。月額利用料だけでなく、入居一時金、介護保険の自己負担、医療費、おむつ代なども含めて確認しましょう。

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が生活しやすい住まいに、安否確認や生活相談などが付いた住宅です。すべての住宅で特養と同じような介護を受けられるわけではありません。

要介護3の方が入居する場合は、夜間を含む介護体制や、状態が悪化したときも住み続けられるかを確認する必要があります。

小規模多機能型居宅介護などを相談する

地域によっては、小規模多機能型居宅介護を利用できる場合があります。

小規模多機能型居宅介護は、「通い」を中心に、必要に応じて「訪問」や「宿泊」を組み合わせられるサービスです。本人の状態や家族の都合に合わせて支援を受けやすいため、特養を待つ間の負担軽減につながることがあります。

医療的ケアも必要な場合は、訪問看護を組み合わせた看護小規模多機能型居宅介護が利用できることもあります。利用できる事業所や条件は地域によって異なるため、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談してみましょう。

入所の連絡が来たときに迷わないための準備

特養から入所の連絡が来たときは、返事を急ぐよう求められる場合があります。

その段階になってから家族で話し合うと、「本当にこの施設でよいのか」「費用を払えるのか」と迷い、すぐに決められないことがあります。

申し込んだ時点では入所を希望していても、連絡が来るまでに本人や家族の気持ち、生活状況が変わることもあります。待っている間に、次のことを家族で確認しておきましょう。

  • 連絡が来たらすぐに入所を希望するか
  • 本人にどのように説明するか
  • 毎月必要になる費用を支払えるか
  • 家族のうち誰が契約手続きをするか
  • 入所時に必要な持ち物をどう準備するか
  • 通院や病院への付き添いを家族に求められるか

施設によって、家族に求められる対応や別途必要になる費用は異なります。見学や申し込みの際に確認し、分からない点はそのままにしないことが大切です。

一度断ると二度と入れない?

入所の案内が来ても、本人の入院や家庭の事情などにより、その時点では入所できないこともあります。

一度断った場合の取り扱いは施設によって異なります。申し込みを継続できることもあれば、あらためて手続きが必要になることもあります。

辞退するときは連絡を放置せず、入所できない理由と、今後も入所を希望するのかを施設へ伝えましょう。次にどのような手続きが必要かも確認してください。

介護が限界になるまで我慢しないで相談を

「施設が空くまでは家族が頑張るしかない」と考え、無理を重ねてしまう方もいます。

しかし、介護者が倒れてしまえば、本人の生活も続けられなくなります。眠れない日が続いている、仕事へ行けない、介助中に強い怒りを感じるなど、家族の生活や体調に影響が出ているときは、すでに負担が大きくなっているサインです。

担当のケアマネジャーへ連絡しにくい場合や、まだ担当者がいない場合は、お住まいの地域の地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口へ相談できます。

本人の安全を守れない状態や、介護者が今すぐ対応できない状態になったときは、通常の入所待ちとは分けて、緊急の相談が必要です。「もう少しだけ」と抱え込まず、現在起きていることを具体的に伝えてください。

要介護3でも特養に入れないときのよくある質問

Q1.要介護3なら必ず特養へ入れますか?

要介護3は、原則として特養へ申し込める介護度ですが、入所を保証するものではありません。

施設の空き状況や、本人の要介護度、自宅で生活を続けることの難しさ、介護する家族の状況などをもとに入所の必要性が検討されます。

Q2.特養は申し込んだ順に入所できますか?

必ずしも申し込み順ではありません。

一般的には、要介護度だけでなく、ひとり暮らしか、家族による介護が可能か、認知症の症状があるかなどを確認し、入所の必要性が高い方から検討されます。

Q3.待機順位を施設へ聞いてもよいですか?

施設へ問い合わせること自体は問題ありません。ただし、入所順位は本人やほかの待機者の状況によって変わるため、正確な順番や入所時期を回答してもらえないことがあります。

問い合わせるときは、現在も入所を希望していることを伝え、申し込み内容の更新や追加書類が必要かどうかも確認してみましょう。

Q4.特養は何か所でも申し込めますか?

複数の特養へ申し込むことは可能です。ただし、自治体や施設によって申し込み方法が異なることがあります。

通える範囲の施設をいくつか見学し、費用や居室の種類、介護・医療体制を確認してから申し込むと安心です。別の施設への入所が決まった場合は、ほかの申し込み先にも連絡しましょう。

Q5.要介護4や5になれば、すぐ入れますか?

要介護度が上がると入所の必要性を判断する材料になりますが、すぐに入所できるとは限りません。

家庭の介護状況や施設の空き、本人に必要な医療的ケア、その施設で受け入れられる状態かどうかなども含めて検討されます。

Q6.家族が同居していると入所しにくいですか?

同居家族がいるという理由だけで、入所できないと決まるわけではありません。

同居していても、介護者が高齢である、病気を抱えている、仕事との両立が難しいなど、家庭によって事情は異なります。誰がどのように介護していて、何が難しくなっているのかを具体的に伝えることが大切です。

Q7.施設へ何度も連絡すると入所に不利になりますか?

状況に変化があったときや、施設から求められた確認に回答するときは、必要な連絡をして問題ありません。

ただし、短期間に何度も入所時期だけを尋ねても、空室や優先順位が変わらなければ回答は同じです。連絡するときは、要介護度の変更や介護者の体調、在宅生活で困っていることなど、申し込み時から変わった点を整理して伝えましょう。

Q8.家族の介護が限界でも、空きが出るまで待つしかありませんか?

いいえ。ケアマネジャーへ相談し、ショートステイや訪問介護などの利用を見直してもらいましょう。特養以外の施設を一時的な選択肢として検討する方法もあります。

本人の安全を守れない、介護者が倒れそうなど、緊急性が高い場合は、地域包括支援センターや市区町村の窓口にも早めに相談してください。

まとめ|要介護3でも「申し込んだら待つだけ」ではありません

要介護3は特養へ申し込める基準ですが、すぐに入所できることを保証するものではありません。入所は申し込み順だけでなく、本人や家族の状況、在宅生活を続けることの難しさ、施設の受け入れ体制などをもとに検討されます。

申し込み後に本人の状態が悪化したり、家族が介護を続けることが難しくなったりした場合は、そのまま待たずに施設やケアマネジャーへ伝えてください。

複数の特養へ申し込む、介護サービスを見直す、ショートステイやほかの施設を検討するなど、待っている間にもできることはあります。

介護する家族が倒れるまで我慢する必要はありません。「まだ何とかなる」と抱え込まず、本人と家族の生活を守る方法を早めに相談していきましょう。

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