
家族が要介護5と認定されると、「どのくらい介護が必要になるの?」「自宅での生活は続けられる?」と不安になる方も多いでしょう。
要介護5は、介護保険の要介護認定において、介護の必要度が最も高い区分です。日常生活の多くの場面で継続的な介護が必要になりますが、本人ができることや意思の伝え方には個人差があります。
在宅生活を続ける場合は、介護サービスや福祉用具だけでなく、医療職との連携や緊急時の対応、介護する家族の休息まで含めて体制を整えることが重要です。
この記事では、要介護5の状態の目安、できること・支援が必要なこと、利用できるサービス、在宅介護と施設を考えるポイントについてわかりやすく解説します。
要介護5とはどのような状態?
要介護5は、日常生活動作と、買い物や服薬管理などの手段的日常生活動作が著しく低下し、生活の多くの場面で継続的な介護が必要となる状態の目安です。
たとえば、次のような場面で全面的な介助が必要になることがあります。
- ベッドからの起き上がりや車いすへの移乗
- 排せつ、入浴、着替え
- 食事や水分摂取
- 体位の調整や皮膚の清潔保持
- 服薬や健康状態の管理
ただし、要介護5でも、会話ができる方、自分で食事を口に運べる方、表情や動作で意思を伝えられる方もいます。要介護度だけで本人の状態や認知機能を決めつけることはできません。
本人ができることや心身の状態を確認し、必要な場面に適切な介助を加えることが大切です。
要介護5でできること・支援が必要なこと
要介護5でも、本人ができることや伝えられることは残されています。すべてを周囲が代わりに行うのではなく、本人の力や希望を生かしながら支援することが大切です。
本人ができる場合があること
- 言葉や表情、視線、手の動きなどで希望を伝える
- 準備や介助があれば食事をする
- 支えがあれば姿勢を保つ
- 好きな音楽や家族との会話を楽しむ
- 体調や介助方法によっては、車いすで離床や外出をする
全面的な介助が必要になりやすいこと
- 起き上がりや移乗
- 排せつ、入浴、着替え
- 食事や水分摂取の安全確認
- 体位の調整や皮膚のケア
- 服薬や体調の管理
その日の体調によって、できることが変わる場合もあります。本人の反応を確認しながら、無理のない方法で支援しましょう。
要介護4と要介護5の違い
要介護4と要介護5は、どちらも日常生活の多くの場面で介護が必要な状態です。要介護5では、介護にかかる手間がさらに増え、より継続的な介助が必要になる傾向があります。
たとえば、要介護4では一部に本人の力を使える動作があっても、要介護5では、起き上がりや移乗、排せつ、食事などに、より多くの介助が必要となる場合があります。
ただし、「要介護4なら会話ができる」「要介護5ならおむつが必要」と一律に分けることはできません。身体機能、認知機能、病気の状態、実際の介護の手間を総合的に確認します。
要介護4の状態については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉要介護4とはどんな状態?できること・支援が必要なことを解説
体調の変化と安全面で注意したいこと
要介護5の方は、自分で体調の変化を伝えることが難しい場合があります。普段の様子を知る家族や介護職が、小さな変化に気づくことが大切です。
- 食事中のむせやせきが増えた
- 食事量や水分量が減っている
- 皮膚の赤み、傷、腫れが続いている
- 発熱、息苦しさ、尿の変化がある
- 急に反応が鈍くなった、普段より強く混乱している
こうした変化がある場合は、自己判断だけで食事や介助方法を変えず、主治医、訪問看護師、ケアマネジャーなどに相談してください。
また、要介護5でも認知症がない方はいます。急な混乱や反応の変化を認知症の進行と決めつけず、感染症、脱水、痛み、薬の影響なども考えて医療機関へ相談することが大切です。
要介護5で利用できる主な介護サービス
要介護5の在宅生活では、身体介護だけでなく、健康管理や家族の休息まで含めてサービスを組み合わせることが大切です。
- 訪問介護:排せつ、着替え、食事などの身体介護や、日常生活に必要な生活援助
- 訪問看護:主治医の指示に基づく健康管理や医療的ケア
- 訪問入浴介護:自宅での入浴が難しい方に、専用の浴槽を使って入浴を支援する
- 通所介護(デイサービス):食事や入浴、機能訓練、日中の見守り
- 短期入所生活介護(ショートステイ):短期間施設で過ごし、家族の休息や不在時の介護につなげる
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:地域や本人の状態に応じて、定期訪問や緊急時の対応を受ける
利用できるサービスは地域や事業所によって異なります。夜間や早朝を含め、どの時間帯に介助が必要かをケアマネジャーへ伝え、本人と家族に合ったケアプランを検討しましょう。
要介護5で利用できる介護保険の上限
要介護5の区分支給限度基準額は、1か月あたり36,217単位です。
これは約36万円が現金で支給されるという意味ではありません。在宅の介護サービスを介護保険の対象として利用できる上限の目安です。
限度額の範囲内で介護サービスを利用した場合、本人の負担割合は原則1割から3割です。1単位あたりの金額は地域やサービスによって異なり、限度額を超えた分は原則として全額自己負担になります。
また、デイサービスやショートステイの食費、ショートステイの滞在費、日用品などは、介護保険の自己負担とは別にかかる場合があります。
実際の月額はサービスの種類や回数、本人の負担割合によって異なります。ケアマネジャーに月ごとの費用の見込みを作成してもらいましょう。
要介護5の生活と介助を支える福祉用具
福祉用具は、本人の姿勢や移動を支えるだけでなく、介助する家族の腰や膝への負担を減らすためにも役立ちます。
| 福祉用具 | 主な役割 |
|---|---|
| 介護ベッド | 起き上がりや介助しやすい高さへの調整 |
| 車いす | 離床や室内外の移動を支える |
| 床ずれ防止用具 | 体にかかる圧力の偏りを減らす |
| 体位変換器 | 姿勢を変える際の負担を減らす |
| 移動用リフト | ベッドと車いす間などの移乗を支える |
| ポータブルトイレ | トイレまでの移動が難しい場合に利用する |
介護ベッド、車いす、床ずれ防止用具、体位変換器などは、条件に応じて介護保険の福祉用具貸与を利用できます。ポータブルトイレは原則として特定福祉用具販売の対象です。
本人の体格や状態に合わない福祉用具は、かえって体の負担や事故につながる場合があります。自己判断で購入せず、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、必要に応じて理学療法士などに相談しましょう。
要介護5の在宅介護を続けるために必要なこと
要介護5でも、本人の状態や支援体制によっては在宅生活を続けられる場合があります。ただし、家族だけで長時間の介護を担うのではなく、医療・介護の専門職と連携できる体制が必要です。
安全な介助方法を確認する
移乗や体位の調整を家族の力だけで行うと、本人の転倒や家族の腰痛につながることがあります。福祉用具を活用し、訪問介護職や福祉用具専門相談員などに安全な方法を確認しましょう。
夜間と緊急時の対応を決める
夜間に介助が必要になった場合や、発熱、呼吸状態の変化などが起きた場合に、誰へ連絡するかを決めておきます。主治医、訪問看護、ケアマネジャー、家族の連絡先を一つにまとめておくと安心です。
家族が休める時間を確保する
介護する家族の睡眠や健康が保てない状態では、在宅介護を長く続けることが難しくなります。ショートステイなども利用し、家族が介護をしない時間を定期的に確保しましょう。
ケアプランをこまめに見直す
本人の状態や家族の状況が変わった場合は、次の認定更新を待たずにケアマネジャーへ伝えてください。サービスの追加や利用時間、福祉用具などを見直せる場合があります。
要介護5で施設を検討するタイミング
要介護5だから必ず施設へ入る必要があるわけではありません。一方で、在宅サービスを利用しても安全や健康を保てない場合は、施設への入居も大切な選択肢になります。
次のような状況が重なっているときは、早めにケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談しましょう。
- 夜間も継続的な介助が必要で、家族が眠れない
- 移乗や排せつ、食事の介助を家族だけで安全に行えない
- 医療的な管理や処置が増えている
- 介護する家族の心身に不調が出ている
- 本人が在宅生活に不安や苦痛を感じている
主な選択肢には、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、介護医療院などがあります。介護老人保健施設は、必要な医療や介護、リハビリテーションを受けながら在宅復帰を目指す施設です。
施設によって、対応できる医療、居室、費用、面会、看取りへの対応などが異なります。本人の状態と希望に合うかを確認して選びましょう。
本人が望む医療や暮らし方も確認する
要介護5では、本人が自分の希望を言葉で伝えることが難しい場合があります。体調が比較的安定しているときに、これからどこで過ごしたいか、どのような医療やケアを望んでいるかを、本人・家族・医療介護職で話し合っておくことが大切です。
一度ですべてを決める必要はありません。本人の気持ちや状態は変わることもあるため、主治医やケアマネジャー、訪問看護師などと繰り返し確認します。
本人が意思を伝えにくい場合も、以前に話していたこと、表情や反応、大切にしてきた生活などを手がかりに、本人にとって負担の少ない方法を一緒に考えましょう。
よくある質問
Q1. 要介護5でも自宅で生活できますか?
A. 本人の状態、住環境、利用できるサービス、家族の介護力によっては可能です。ただし、家族だけで支えず、夜間や緊急時を含めて医療・介護と連携できる体制が必要です。
Q2. 要介護5になると意思疎通はできませんか?
A. 要介護5でも会話ができる方や、表情、視線、動作などで意思を伝えられる方はいます。返事が少なくても反応を確認し、本人の希望を尊重することが大切です。
Q3. 要介護5になると医療的ケアが必ず必要ですか?
A. 必ず必要になるわけではありません。ただし、健康管理や医療的な対応が必要となる方もいるため、本人の状態に応じて主治医や訪問看護師へ相談します。
Q4. 在宅介護が限界かどうか、誰に相談すればよいですか?
A. 担当のケアマネジャーへ、夜間の介助、家族の睡眠不足、医療的ケアへの不安などを具体的に伝えてください。施設を含めて相談したい場合は、地域包括支援センターも利用できます。
まとめ
要介護5は、介護保険の要介護認定において、介護の必要度が最も高い区分です。日常生活の多くの場面で継続的な介護が必要になりますが、本人ができることや意思の伝え方には個人差があります。
在宅生活を続ける場合は、訪問介護や訪問看護、ショートステイ、福祉用具などを組み合わせ、家族だけで介護を抱え込まない体制を整えることが大切です。
在宅で安全や健康を保つことが難しい場合は、施設への入居も含めて住まいを見直しましょう。本人が望む暮らし方や医療についても、医療・介護の専門職と話し合っておくと安心です。
本人の尊厳と家族の生活の両方を大切にしながら、無理なく続けられる支え方を考えていきましょう。


