はじめての介護で何から始める?最初にやることと相談先を解説

温かな笑顔の年配夫婦

「親の様子が以前と少し違う」
「一人での生活が難しくなってきたかもしれない」

そう感じても、何を確認し、どこへ相談すればよいのか分からず、戸惑う方は少なくありません。

介護は、転倒や入院をきっかけに突然始まることもあれば、食事や服薬、買い物など、日常生活の小さな変化から少しずつ必要になることもあります。

大切なのは、家族だけで判断して抱え込まず、早い段階で相談することです。

この記事では、親に介護が必要かもしれないと感じたときに確認したいこと、最初の相談先、要介護認定からサービス利用までの流れを、初めての方にも分かりやすく解説します。

急な体調変化があるときは、介護の相談より医療を優先してください

突然意識がもうろうとした、呼びかけへの反応がおかしい、顔や手足の片側が動かしにくい、強い胸の痛みや呼吸困難がある、転倒して動けないなど、緊急性が疑われる場合は119番へ連絡してください。

親に介護が必要かもしれないと感じたら、最初にすること

緊急性のある体調変化でなければ、まず現在の生活状況を確認し、困っていることを書き出してみましょう。

すべてを一度に判断する必要はありません。「以前と比べて変わったこと」がないかを見ることがポイントです。

① 日常生活で困っていることを確認する

本人の気持ちに配慮しながら、次のような変化がないか確認してみましょう。

  • 食事の回数や量が減っている
  • 入浴や着替えを避けるようになった
  • トイレの失敗が増えた
  • 転倒やつまずきが増えた
  • 薬の飲み忘れや重複がある
  • 通院や買い物が負担になっている
  • 掃除や洗濯、調理ができなくなってきた
  • 同じ話を繰り返す、約束を忘れることが増えた
  • 請求書の支払いやお金の管理が難しくなった
  • 一人での外出や留守番に不安がある

本人が「大丈夫」と話していても、冷蔵庫の中、薬の残り方、郵便物、室内の様子などから変化に気づくことがあります。

ただし、本人を問い詰めたり、できないことを責めたりすると、支援を拒む原因になることがあります。「困っていることはない?」と穏やかに聞きながら確認しましょう。

② 地域包括支援センターなどへ相談する

親の生活に不安を感じたら、要介護認定が必要かどうか分からない段階でも相談できます。

主な相談先は次のとおりです。

相談先相談できること
地域包括支援センター高齢者の生活、介護、認知症、介護予防、家族の負担などに関する総合相談
市区町村の介護保険担当窓口要介護認定の申請や介護保険制度に関する手続き
かかりつけ医病気や認知機能、服薬、身体状態についての相談
入院先の医療ソーシャルワーカー退院後の生活や介護サービス、転院などに関する相談

どこへ相談すればよいか迷った場合は、まず親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターへ相談するとよいでしょう。

地域包括支援センターは、市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口です。家族だけで相談することもでき、相談内容に応じて必要な制度や支援機関につないでもらえます。

担当するセンターが分からない場合は、「親の住んでいる市区町村名+地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の高齢者福祉担当窓口へ問い合わせてください。

【関連記事】地域包括支援センターで何を相談できる?相談内容一覧と利用のポイント

③ 必要に応じて要介護認定を申請する

介護保険の介護サービスを利用するには、原則として市区町村へ要介護・要支援認定を申請します。

申請先は、親が住んでいる市区町村の介護保険担当窓口です。本人や家族のほか、地域包括支援センターなどが申請を代行できる場合もあります。

申請後は、認定調査や主治医意見書をもとに審査が行われ、非該当、要支援1・2、要介護1~5のいずれかが通知されます。

ただし、市区町村が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業」には、要介護認定を受けていない方が利用できるサービスもあります。対象となるサービスや利用手続きは、本人の状態や自治体によって異なるため、地域包括支援センターへ相談して確認しましょう。

【関連記事】はじめての要介護認定申請|流れ・必要書類・失敗しないポイント

介護保険サービスを利用できる人

介護保険の被保険者は、40歳以上の方です。65歳以上の方を「第1号被保険者」、40~64歳で医療保険に加入している方を「第2号被保険者」といいます。

介護保険サービスを利用できる条件は、年齢によって異なります。

年齢介護保険サービスを利用できる条件
65歳以上原因を問わず、要支援・要介護状態と認定された場合
40~64歳医療保険に加入していて、特定疾病が原因で要支援・要介護状態と認定された場合

40~64歳の方は、介護が必要な状態であっても、その原因が介護保険で定められた特定疾病に該当しなければ、介護保険サービスの対象になりません。

利用できるか分からない場合は、市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターへ相談してください。

介護保険サービスの自己負担は、65歳以上の方は所得に応じて原則1~3割、40~64歳の方は所得にかかわらず1割です。実際の負担割合は、交付される介護保険負担割合証で確認できます。

【関連記事】介護保険は何歳から?加入時期とサービスを利用できる条件を解説

介護保険で利用できる主なサービス

介護保険サービスには、自宅での生活を支えるサービス、施設へ通うサービス、一時的に宿泊するサービス、施設へ入所して受けるサービスなどがあります。

本人の状態や要介護度、家族が対応できる時間、住んでいる地域などによって、利用できるサービスや回数は異なります。

要介護1~5の方が自宅でサービスを利用する場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーと相談しながらケアプランを作成します。

要支援1・2の方の介護予防ケアプランは、地域包括支援センターが作成するほか、市区町村の指定を受けた居宅介護支援事業所が担当する場合もあります。

施設への入所を希望する場合は、希望する施設へ直接問い合わせ、申込方法や入所条件を確認します。

自宅での生活を支えるサービス

自宅で生活を続けながら、介護や看護、リハビリなどの支援を受けるサービスです。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)
  • 福祉用具貸与
  • 住宅改修

例えば、平日はデイサービスを利用し、家族が介護できない日はショートステイを利用するなど、本人と家族の状況に合わせて複数の在宅サービスを組み合わせることがあります。

訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、対象となる在宅サービスには、要介護度に応じた1か月の支給限度額があります。一方、住宅改修には別の支給限度額が設けられています。利用できる内容や自己負担額は、ケアマネジャーに確認しながら決めましょう。

施設へ入所して受ける介護サービス

自宅での生活を続けることが難しい場合は、施設への入所も選択肢になります。

代表的な介護保険施設は次のとおりです。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護医療院

施設によって目的や入所条件が異なります。

  • 特別養護老人ホーム:常時介護が必要で、自宅での生活が難しい方の生活を支える施設。新たに入所する場合は原則として要介護3以上が対象ですが、要介護1・2の方も、やむを得ない事情がある場合は特例的に入所できることがあります。
  • 介護老人保健施設:在宅復帰を目指し、介護やリハビリを受ける施設
  • 介護医療院:長期的な医療と介護の両方が必要な方のための施設

このほか、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などの住まいがあります。

それぞれ入居条件、受けられる介護、費用の仕組みが異なるため、「施設」という名前だけで判断せず、本人に必要な支援を受けられるか確認することが大切です。

在宅介護を続けるか施設へ入所するかは、本人の希望だけでなく、心身の状態、医療の必要性、家族の介護力、費用などを踏まえて検討します。

「自宅か施設か」をすぐに決める必要はありません。在宅サービスやショートステイを利用しながら、今後の生活についてケアマネジャーや家族と話し合うこともできます。

【関連記事】在宅介護と施設介護、どっちが安い?費用の違いと選び方を解説

親が一人暮らしの場合に確認したいこと

一人暮らしの親の場合、普段の生活を家族が確認しにくいため、小さな変化を見逃してしまうことがあります。

電話では「大丈夫」と話していても、実際には食事が十分に取れていなかったり、薬を飲み忘れていたりすることもあります。

本人の希望を尊重しながら、安全に一人暮らしを続けられる状態か確認しましょう。

生活の様子を確認する

まずは、次のような点を確認します。

  • 食事を定期的に取れているか
  • 薬を決められたとおりに飲めているか
  • 通院を続けられているか
  • 掃除や洗濯ができているか
  • 室内に転倒しやすい場所がないか
  • 電気・ガス・水道を安全に使えているか
  • 請求書の支払いやお金の管理ができているか
  • 訪問販売や特殊詐欺などの被害に遭っていないか
  • 近所の人や友人との交流があるか

冷蔵庫に同じ食品が大量に入っている、郵便物がたまっている、部屋の片付けができなくなったなどの変化も、生活に支援が必要になっているサインの可能性があります。

一度だけで判断せず、「以前と比べて変わったことがないか」という視点で見守ることが大切です。

緊急時の連絡方法を決めておく

転倒や急な体調不良が起きたときに、本人が家族へ連絡できるとは限りません。

次のような点を家族で確認しておきましょう。

  • 家族や支援者の連絡先を分かりやすい場所に置く
  • 緊急通報装置や見守りサービスを検討する
  • 合鍵の保管方法を決める
  • かかりつけ医や服用中の薬を把握する
  • 親と連絡が取れないときの対応を決める

合鍵を屋外の分かりやすい場所へ置くと、防犯上の危険があります。家族で管理する、キーボックスを適切に設置する、緊急時の鍵預かりに対応するサービスを確認するなど、安全な方法を検討してください。

見守りサービスを検討する

家族が離れて暮らしている場合は、見守りサービスを利用する方法もあります。

  • センサーで生活状況を確認するタイプ
  • ボタンを押して緊急通報するタイプ
  • 電話や訪問で安否を確認するタイプ
  • 家電や電気・ガスの使用状況で見守るタイプ

ただし、見守りサービスがあればすべての事故を防げるわけではありません。

本人の身体状態や認知機能によっては、訪問介護やデイサービス、配食サービス、地域の見守り活動などを組み合わせる必要があります。

本人が監視されているように感じる場合もあるため、家族の安心だけで決めず、本人の気持ちやプライバシーにも配慮して選びましょう。

【関連記事】高齢者の見守りサービスにはどんな種類がある?選び方と注意点

【関連記事】故郷に一人暮らす親が心配…遠距離介護でもできる見守り方法と支援制度

初めての介護に関するよくある質問

Q. 介護が必要かどうか分からない段階でも相談できますか?

はい、相談できます。

地域包括支援センターは、「介護が必要かもしれない」「最近、親の様子が以前と違う」と感じた段階でも利用できる相談窓口です。

要介護認定が必要かどうか分からなくても問題ありません。親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターへ相談すると、本人の状態や家族の状況に応じて、今後の進め方を案内してもらえます。

Q. 地域包括支援センターは、家族だけでも相談できますか?

家族だけでも相談できます。

親が介護を嫌がっている場合や、本人を連れて相談へ行くことが難しい場合は、まず家族から状況を伝えてみましょう。

食事、服薬、通院、転倒、認知機能、金銭管理など、気になっていることを具体的に整理しておくと相談が進みやすくなります。

Q. 親が「まだ大丈夫」と言って介護を拒否します。どうすればよいですか?

無理に説得したり、できないことを指摘したりすると、かえって支援を拒むことがあります。

まずは本人が何を不安に感じているのかを聞き、「介護を受けるため」ではなく、「今の生活をできるだけ長く続けるため」という伝え方をしてみましょう。

対応に迷う場合は、地域包括支援センターやかかりつけ医へ家族だけで相談することもできます。

【関連記事】「介護なんて必要ない!」親が介護を拒否するときの向き合い方と説得のコツ

Q. 介護サービスを利用するには、必ず要介護認定が必要ですか?

介護保険の介護サービスを利用するには、原則として要介護・要支援認定が必要です。

ただし、自治体が行う介護予防・生活支援サービスの中には、要介護認定を受けていなくても利用できるものがあります。

本人の状態によって必要な手続きが異なるため、まずは地域包括支援センターまたは市区町村の介護保険担当窓口へ相談してください。

Q. 一人暮らしの親について、特に確認したいことは何ですか?

食事、服薬、通院、転倒の危険、火の元、お金の管理、緊急時の連絡方法などを確認しましょう。

電話では元気に話していても、生活上の困りごとが表面化していないことがあります。可能であれば定期的に自宅の様子を確認し、必要に応じて地域包括支援センターや見守りサービスを利用してください。

Q. 介護は家族だけで頑張らなければいけませんか?

いいえ、家族だけで抱え込む必要はありません。

介護保険サービス、自治体の支援、地域包括支援センター、ケアマネジャーなど、介護を支える制度や相談先があります。

家族だけで無理を重ねると、介護する側が体調を崩したり、仕事や生活を続けられなくなったりすることがあります。周囲へ頼ることは、介護を長く続けるために必要な選択です。

Q. 親の様子が急におかしくなった場合は、どこへ相談すればよいですか?

突然意識がもうろうとした、呼びかけへの反応がおかしい、顔や手足の片側が動かしにくい、強い胸の痛みや呼吸困難がある、転倒して動けないなど、緊急性が疑われる場合は119番へ連絡してください。

緊急性はないものの、体調や認知機能の変化が気になる場合は、かかりつけ医や地域包括支援センターへ相談しましょう。

まとめ|介護が必要かもしれないと感じたら、早めに相談しよう

親に介護が必要かもしれないと感じても、家族だけですぐに答えを出す必要はありません。

まずは、食事や服薬、通院、入浴、買い物、金銭管理など、以前と比べて難しくなっていることがないか確認してみましょう。

初めての介護では、次の順番で進めると分かりやすくなります。

  1. 本人の生活状況や困っていることを確認する
  2. 親が住んでいる地域の地域包括支援センターへ相談する
  3. 必要に応じて要介護・要支援認定を申請する
  4. 本人と家族の状況に合ったサービスを検討する

介護サービスには、訪問介護やデイサービス、ショートステイ、福祉用具、施設への入所など、さまざまな選択肢があります。

どの方法がよいかは、本人の心身の状態や希望、家族が対応できる範囲、費用などによって異なります。「家族なのだから自分たちだけで何とかしなければ」と考えず、専門職と相談しながら決めていくことが大切です。

介護は、ある日突然始まることもあります。まだ介護が必要かどうか分からない段階でも、相談して構いません。

早めに相談することで、本人が今の生活を続けるために必要な支援や、家族の負担を減らす方法が見つかることがあります。

介護される方だけでなく、介護する方の生活も大切です。一人で抱え込まず、地域包括支援センターや介護サービスを利用しながら、無理のない方法を一つずつ探していきましょう。

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