親の介護、家と施設どっちがいい?費用の違いと現実的な選び方

「家で介護した時と施設に入ったときのお金の違い」を説明するイラスト。左側は在宅介護の様子として、女性が高齢の母を家で介護する姿、右側は施設介護として男性職員が高齢者を施設で支援する様子。中央に金貨のイメージが描かれ、費用の違いを象徴している。

親の介護が必要になったとき、多くの人が悩むのが「家で介護するべきか、それとも施設に入るべきか」という問題です。

特に気になるのが、やはりお金のことではないでしょうか。

「在宅のほうが安いって聞くけど本当?」 「施設に入ると毎月いくらかかるの?」 「結局どちらが家族の負担が少ないの?」

こうした不安を抱えながら検索している方も多いと思います。

この記事では、在宅介護と施設介護の費用の違いだけでなく、実際に介護を続ける中で見えてくる“見えない負担”についても、わかりやすく解説します。

在宅介護の費用構造

結論から言うと、月額費用だけを見るなら在宅介護のほうが安いケースが多いです。

ただし、介護する家族の負担や、仕事への影響まで含めると、必ずしも「在宅=負担が軽い」とは言えません。

1.初期費用(住宅改修・福祉用品)

  • 介護用ベッドや車いすの導入、手すりの設置、段差解消などの住宅改修が必要になる場合があります。 住宅改修については介護保険の対象となり、上限20万円までの工事費に対して1~3割の自己負担で利用できます。 また、介護ベッドや車いすなどの福祉用具は「購入」ではなく「レンタル」で利用できるケースも多く、費用を抑えられる場合があります。

最近では、自宅の安全対策として滑り止めマットを使う家庭も増えています。
私の経験でも、浴室や玄関など滑りやすい場所にマットを敷くだけで、転倒を防げたと実感しています。介護する側にとっても安心感がありました。

2.月額費用

在宅介護にかかる費用は、介護度や利用するサービスによって大きく変わります。

一般的には、デイサービスや訪問介護を組み合わせることで、毎月数万円〜十万円前後の自己負担になるケースが多いとされています。

また、おむつ代・通院交通費・食事準備など、介護保険の対象外となる費用も意外とかかります。

3.負担割合

  • 介護保険サービス費は原則1割負担(一部2〜3割の場合あり)。限度額超過分は全額自己負担。限度額目安(要介護3だと約3.6万円/月)。

4.メリットと注意点

在宅介護は「家で過ごせる安心感」がある反面、介護する側の負担が想像以上に大きくなることがあります。

夜中のトイレ介助で何度も起きたり、仕事中も親のことが気になったりして、心身ともに疲れてしまう方も少なくありません。

実際に、「最初は家で頑張ろうと思っていたけれど、介護する側が限界になって施設を検討した」というケースも多くあります。

施設介護の費用構造

1.初期費用(入居一時金)

  • 特別養護老人ホームなど公的施設は原則不要。
  • 民間有料ホームでは数十万〜数千万円まで幅広く存在。

2.月額費用

  • 施設介護の月額費用は施設の種類によって大きく異なります。 一般的な目安として、特別養護老人ホームでは月6〜15万円程度、有料老人ホームでは10〜35万円程度になるケースが多いとされています。

3.負担軽減制度

  • 低所得者向けに「負担限度額認定制度」があり、特養や老健等の住居費や食費を軽減可。 

4.メリットと注意点

  • 24時間専門スタッフによる介護・医療対応、レクリエーション環境あり。
  • ただし費用は高め、民間施設では入居金・追加オプションに注意。

費用比較まとめ一覧

費用の違いをシンプルに比較すると、次のようなイメージになります。

項目在宅介護施設介護(特養・有料)
初期費用約74〜115万円公的: 0円 / 民間: 0〜数千万円
月額費用約4.8〜7.8万円特養:6〜15万円、有料:10〜35万円
平均月額約5万円約12〜14万円(差7万〜9万円)
年間差額約88万〜168万円高いことも

ただし、実際の費用は介護度・地域・利用する施設やサービス内容によって大きく変わります。


在宅介護と施設介護では、費用面でこれだけの差があることがわかります。ただし、単純に金額だけで判断するのではなく、「どこまで家族が関われるか」「本人が安心して過ごせる環境はどちらか」といった視点も重要です。

特に、在宅介護は一見コストを抑えやすい反面、介護者側の体力や時間、仕事への影響など見えにくい負担が大きくなることもあります。反対に、施設介護は費用はかかりますが、プロの支援や24時間体制の安心感が得られます。

将来的な負担や介護期間の長期化も見越して、家族全体で話し合いながら、経済面と生活面のバランスを考慮して選ぶことが大切です。必要に応じて地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、公的支援制度の活用も検討しましょう。

どちらを選ぶ?判断ポイント

介護には「これが正解」という答えはありません。

たとえば、家族が近くに住んでいて協力できる環境なら在宅介護が向いている場合もありますし、介護する人が仕事や育児を抱えている場合は、施設介護のほうが無理なく続けられることもあります。

「費用だけ」で決めるのではなく、介護する側・される側の両方が安心して暮らせるかどうかを基準に考えることが大切です。

在宅介護と施設介護、どちらが多く選ばれている?

  • 実際には、まず在宅介護から始める家庭が多い傾向があります。
  • 要介護度が上がると施設検討が増えます。
  • 家族の介護負担が限界になるケースも多いです。

経済面だけでは測れない「介護のかたち」

介護における費用は、目に見える金額だけでなく、心の負担や時間的コストなど「見えない出費」も含めて考えることが大切です。たとえば在宅介護では、通院の付き添いや食事の世話、夜間の見守りなど、想像以上に時間が取られることもあります。そのため、仕事をセーブしたり辞めたりせざるを得ないケースもあり、「介護離職」という深刻な問題に直面することも。

一方、施設介護は金額面では高額に見えるかもしれませんが、専門スタッフが24時間体制で対応してくれるため、家族が安心して自分の生活を保ちやすいという側面もあります。特に高齢者本人が認知症を抱えている場合や、医療的なケアが必要な場合は、施設の方が適切なサポートを受けられる環境が整っています。

介護費用は「工夫」で軽減できる

介護には「高額な出費が避けられない」というイメージがありますが、実際には公的制度や助成を上手に活用することで、負担を大きく抑えることができます。たとえば以下のような制度が存在します。

  • 高額介護サービス費制度(一定額を超えると払い戻し)
  • 負担限度額認定制度(食費や居住費の軽減)
  • 介護休業給付金(介護離職を防ぐための制度)
  • 市町村による住宅改修費補助や福祉用品貸与 など

これらは、知っていれば得をする制度ばかりです。まずは地域の「地域包括支援センター」に相談し、自分の家庭で利用できるサービスを具体的に知ることが第一歩となります。

知らずに全額自己負担しているケースも意外と多いため、早めに相談することで負担が大きく変わることがあります。


住宅改修までは必要なくても、簡易的に設置できる介護用の手すりを使う家庭も多くあります。 玄関・トイレ・廊下などに設置することで、転倒防止につながります。

介護に正解はない。だからこそ比べて選ぶ

誰にとっても、介護の正解は一つではありません。家庭の事情や経済状況、本人の希望、介護者の体力や仕事との両立など、さまざまな条件が関わってきます。「お金がかかるから施設はムリ」「家で見たいけど限界」…そんな悩みを抱えている方にとって、この記事が少しでも比較材料の参考になれば幸いです。

必要なのは、「どちらが正しいか」ではなく、「うちの家族に合った形はどちらか?」という視点です。迷った時は、一人で抱えず、プロに相談して一緒に道を探していくことが、よりよい介護生活への第一歩になります。

まとめ

「家で介護したい気持ち」と、「現実的に続けられるか」は別問題です。

頑張りすぎた結果、介護する家族が体調を崩してしまうケースも少なくありません。

だからこそ、“無理をしない介護”を選ぶことも、とても大切な考え方です。

  • 在宅介護は導入しやすく月額費用も安価ですが、家族の身体・精神負担が大きく長期継続が困難なケースもあります。
  • 施設介護は費用が高いもののプロのケアを受けられ、負担分散ができ安心感が得られます。
  • 要介護度や家庭の状況、介護者の体力・仕事状態を踏まえ、介護保険サービスの上限や負担軽減制度も活用しながら検討するのが重要です。

介護は、長く続く可能性があるからこそ、「今だけ」ではなく「続けられるか」を考えることが大切です。

一人で抱え込まず、地域包括支援センターやケアマネジャーなどの支援も活用しながら、ご家族に合った介護の形を探していきましょう。

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