
親の介護が現実味を帯びてきたとき、多くの方が最初に直面するのが「在宅で介護を続けるか、それとも施設にお願いするか」という選択です。
そして、どちらを選んでも避けて通れないのが「お金の問題」。在宅のほうが安く済みそうなイメージはありますが、実際には見えない費用や負担も多く、かえって高くつくケースもあります。
この記事では、在宅介護と施設介護それぞれの費用の内訳や、月額・年間コストの違いをわかりやすく比較します。
さらに、費用だけでなく「どんな人にどちらが合っているか」という視点も交えながら、後悔しない介護の選び方について考えていきます。
ご自身やご家族の将来のためにも、ぜひ一度チェックしてみてください。
在宅介護の費用構造
1.初期費用(住宅改修・福祉用品)
- 介護用ベッドや車いすの導入、手すりの設置、段差解消などの住宅改修が必要になる場合があります。 住宅改修については介護保険の対象となり、上限20万円までの工事費に対して1~3割の自己負担で利用できます。 また、介護ベッドや車いすなどの福祉用具は「購入」ではなく「レンタル」で利用できるケースも多く、費用を抑えられる場合があります。
最近では、自宅の安全対策として滑り止めマットを使う家庭も増えています。
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2.月額費用
- 各種調査では、在宅介護にかかる月額の自己負担は平均で約4〜8万円程度とされています。 ただし、利用する介護サービスの種類や回数、要介護度によって費用は大きく変わります。
- 介護保険サービスには「支給限度額」があり、要介護度によって利用できるサービス量が決まっています。 たとえば要介護3の場合、支給限度額は月額約27万円相当(自己負担1割なら約2.7万円程度)です。 この上限を超えてサービスを利用した場合は、超過分が全額自己負担となります。
3.負担割合
- 介護保険サービス費は原則1割負担(一部2〜3割の場合あり)。限度額超過分は全額自己負担。限度額目安(要介護3だと約3.6万円/月)。
4.メリットと注意点
- 費用は施設より抑えやすいものの、家族への肉体・精神的負担が大きく、24時間ケアや介護離職のリスクも。
施設介護の費用構造
1.初期費用(入居一時金)
- 特別養護老人ホームなど公的施設は原則不要。
- 民間有料ホームでは数十万〜数千万円まで幅広く存在。
2.月額費用
- 施設介護の月額費用は施設の種類によって大きく異なります。 一般的な目安として、特別養護老人ホームでは月6〜15万円程度、有料老人ホームでは10〜35万円程度になるケースが多いとされています。
3.負担軽減制度
- 低所得者向けに「負担限度額認定制度」があり、特養や老健等の住居費や食費を軽減可。
4.メリットと注意点
- 24時間専門スタッフによる介護・医療対応、レクリエーション環境あり。
- ただし費用は高め、民間施設では入居金・追加オプションに注意。
費用比較まとめ一覧
ここまでの内容を踏まえ、在宅介護と施設介護の費用の違いを簡単に整理すると次のようになります。
| 項目 | 在宅介護 | 施設介護(特養・有料) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 約74〜115万円 | 公的: 0円 / 民間: 0〜数千万円 |
| 月額費用 | 約4.8〜7.8万円 | 特養:6〜15万円、有料:10〜35万円 |
| 平均月額 | 約5万円 | 約12〜14万円(差7万〜9万円) |
| 年間差額 | — | 約88万〜168万円高いことも |
在宅介護と施設介護では、費用面でこれだけの差があることがわかります。ただし、単純に金額だけで判断するのではなく、「どこまで家族が関われるか」「本人が安心して過ごせる環境はどちらか」といった視点も重要です。
特に、在宅介護は一見コストを抑えやすい反面、介護者側の体力や時間、仕事への影響など見えにくい負担が大きくなることもあります。反対に、施設介護は費用はかかりますが、プロの支援や24時間体制の安心感が得られます。
将来的な負担や介護期間の長期化も見越して、家族全体で話し合いながら、経済面と生活面のバランスを考慮して選ぶことが大切です。必要に応じて地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、公的支援制度の活用も検討しましょう。
どちらを選ぶ?判断ポイント
- 経済的な負担を抑えたい → 在宅介護が有利
- 家族の負担を減らしたい → 施設介護が安心
- 要介護度が高く24時間ケアが必要 → 施設が向く
- 公的施設の空き待ち期間 → 待ち時間と民間の費用を照らす必要あり
在宅介護と施設介護、どちらが多く選ばれている?
- 約8割は在宅介護からスタート
- 要介護度が上がると施設検討が増える
- 家族の介護負担が限界になるケースも多いです
経済面だけでは測れない「介護のかたち」
介護における費用は、目に見える金額だけでなく、心の負担や時間的コストなど「見えない出費」も含めて考えることが大切です。たとえば在宅介護では、通院の付き添いや食事の世話、夜間の見守りなど、想像以上に時間が取られることもあります。そのため、仕事をセーブしたり辞めたりせざるを得ないケースもあり、「介護離職」という深刻な問題に直面することも。
一方、施設介護は金額面では高額に見えるかもしれませんが、専門スタッフが24時間体制で対応してくれるため、家族が安心して自分の生活を保ちやすいという側面もあります。特に高齢者本人が認知症を抱えている場合や、医療的なケアが必要な場合は、施設の方が適切なサポートを受けられる環境が整っています。
介護費用は「工夫」で軽減できる
介護には「高額な出費が避けられない」というイメージがありますが、実際には公的制度や助成を上手に活用することで、負担を大きく抑えることができます。たとえば以下のような制度が存在します:
- 高額介護サービス費制度(一定額を超えると払い戻し)
- 負担限度額認定制度(食費や居住費の軽減)
- 介護休業給付金(介護離職を防ぐための制度)
- 市町村による住宅改修費補助や福祉用品貸与 など
これらは、知っていれば得をする制度ばかりです。まずは地域の「地域包括支援センター」に相談し、自分の家庭で利用できるサービスを具体的に知ることが第一歩となります。
住宅改修までは必要なくても、簡易的に設置できる介護用の手すりを使う家庭も多くあります。 玄関・トイレ・廊下などに設置することで、転倒防止につながります。
介護に正解はない。だからこそ比べて選ぶ
誰にとっても、介護の正解は一つではありません。家庭の事情や経済状況、本人の希望、介護者の体力や仕事との両立など、さまざまな条件が関わってきます。「お金がかかるから施設はムリ」「家で見たいけど限界」…そんな悩みを抱えている方にとって、この記事が少しでも比較材料の参考になれば幸いです。
必要なのは、「どちらが正しいか」ではなく、「うちの家族に合った形はどちらか?」という視点です。迷った時は、一人で抱えず、プロに相談して一緒に道を探していくことが、よりよい介護生活への第一歩になります。
まとめ
- 在宅介護は導入しやすく月額費用も安価ですが、家族の身体・精神負担が大きく長期継続が困難なケースもあります。
- 施設介護は費用が高いもののプロのケアを受けられ、負担分散ができ安心感が得られます。
- 要介護度や家庭の状況、介護者の体力・仕事状態を踏まえ、介護保険サービスの上限や負担軽減制度も活用しながら検討するのが重要です。
介護は突然始まることも多く、「どうすればいいのか分からない」と不安になる方も少なくありません。 まずは費用の目安を知り、家族で話し合うことが大切です。必要に応じて地域包括支援センターなどの専門機関に相談しながら、無理のない介護の形を見つけていきましょう。
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