親の介護が必要になったとき、多くの人が「どんなサービスがあるの?」と戸惑います。
中でもよく耳にするのが
・訪問介護
・デイサービス
・福祉用具レンタル
という3つのサービスではないでしょうか。
この記事では、それぞれの特徴や内容、費用、使い方の違いをわかりやすく解説していきます。
1.訪問介護(ホームヘルプ)どんなサービス?

ヘルパー(訪問介護員)が自宅を訪問し、日常生活の支援をしてくれるサービスです。
対象となるのは、以下のような内容です
- 身体介護:食事・排泄・入浴・着替えなど
- 生活援助:掃除・洗濯・調理・買い物代行など
週1回30分だけ利用することも可能ですし、必要に応じて毎日入ってもらうこともできます。
費用の目安(要介護1の場合)
サービス名 | 内容・条件 | 回数の目安 | 月額(1割負担) |
---|---|---|---|
訪問介護(生活援助) | 掃除・洗濯・調理など | 週2回(45分) | 約2,000円 |
訪問介護(身体介護) | 食事・排泄・入浴など | 週3回(30分) | 約3,500円 |
デイサービス | 通所・入浴・食事・レクなど(送迎あり) | 週2回(6〜7時間/日) | 約4,000円+食費別 |
福祉用具レンタル(例) | 電動ベッド、手すり、車いすなど | 常時利用 | 約500〜1,500円/品目 |
※利用限度額内なら1割負担で済みます。所得により2~3割負担のケースもあります。
※訪問介護の費用は、要介護度・サービス内容・時間帯(早朝・夜間など)によって変動します。
また、サービスを提供する事業所によっても若干の差があります。
訪問回数が多くなる場合や、身体介護中心のプランでは、1か月の利用額が限度額に近づくこともありますので、ケアマネジャーと相談しながらバランスの良いプランを組むことが大切です。
✔ 利用の流れ
- 要介護認定を受ける
- ケアマネがケアプランに訪問介護を組み込む
- 訪問介護事業所と契約
- 初回訪問後、定期利用スタート
2.デイサービス(通所介護)どんなサービス?
利用者が施設に通って、入浴・食事・レクリエーション・機能訓練などを受けられるサービスです。
通所時間は「9:00〜16:00」など1日型が多く、送迎つきなので家族の負担が減るのが特徴です。
👥 デイサービスのメリット
- 家族が介護から解放される時間ができる(レスパイトケア)
- 利用者にとっても外出や他者との交流ができる
- 医療職が常駐している施設もあり、安心感あり
💰 費用の目安(要介護1・1日利用
利用時間 | 主なサービス内容 | 回数の目安 | 月額(1割負担) | その他の費用 |
---|---|---|---|---|
6〜7時間 | 入浴、食事、レクリエーション、送迎 | 週2回 | 約4,000円 | 昼食代(600~800円/回) |
3〜4時間(短時間型) | 体操・入浴などに特化 | 週2回 | 約2,500円 | 入浴料・おやつ代など |
7時間以上(長時間型) | 医療的ケアやリハビリ中心 | 週3回 | 約7,000円 | 昼食代・送迎外の実費 |
食費は別途実費(1食600〜800円程度)ですが、介護保険対象外なので合算して考える必要があります。
✔ 利用の流れ
- ケアマネが施設を紹介
- 本人・家族で見学 or 体験
- 施設と契約、ケアプランに反映
- 定期通所スタート
3.福祉用具レンタル・どんなサービス?
在宅生活を安全に過ごすために必要な介護用ベッドや手すり、車いすなどを1割負担でレンタルできる制度です。
対象は「要支援1」以上ですが、要介護度によって利用できる品目が異なります。
よく使われる用具とその費用
用具名 | 用途・特徴 | 月額(1割負担の目安) |
---|---|---|
特殊寝台(介護ベッド) | 背上げ・高さ調整機能付きの電動ベッド | 約1,000〜1,500円 |
車いす | 移動の支援。自走式・介助式が選べる | 約500〜1,000円 |
歩行器 | 歩行が不安定な方の移動支援 | 約300〜800円 |
手すり | 立ち上がり・歩行補助用の据え置き型 | 約200〜500円 |
スロープ | 玄関や敷居の段差を解消する軽量スロープ | 約300〜800円 |
移動用リフト | ベッドから車いすなどへの移乗支援用 | 約1,500〜3,000円 |
※費用は目安であり、要介護度や地域、用具の種類によって変動します。必要性の判断はケアマネジャーと相談の上で行われます。
※価格は事業者や地域によって異なる場合があります。
✔ 利用の流れ
- ケアマネが必要性を判断
- 福祉用具専門相談員が自宅に訪問
- サイズ・使い方を確認して納品
- 不要になったら返却(買い取り不要)
どれをどう選ぶ?サービスの使い分け
「訪問介護・デイサービス・福祉用具」は、ケアマネジャーが状況に応じて組み合わせてくれます。
たとえば
- 昼間は家族がいない → デイサービスで1日過ごす
- 食事・入浴は自分でできる → 生活援助のみの訪問介護
- 歩行が不安 → 福祉用具のレンタルで段差対応
全てを一度に使う必要はありません。
本人の気持ち、介護する側の体力や都合に応じて、柔軟に選ぶことが大切です。
💡 利用してみた感想と注意点(体験談より)
あるご家族は「最初は訪問介護だけで十分だと思っていたけれど、本人が家にこもりがちになってしまった」とのこと。
そこで、ケアマネと相談し週1回だけデイサービスを追加。最初は嫌がっていたものの、他の利用者とのおしゃべりが楽しくなり、今では週2回通っているそうです。
「こうじゃなきゃいけない」と思い込まず、少しずつ試してみることが、うまくいくコツかもしれませんね。
介護サービスは「選べる時代」
訪問介護・デイサービス・福祉用具レンタルは、それぞれに役割とメリットがあります。
介護保険サービスは「決められた形」ではなく、本人と家族に合った形で選ぶことができます。
「使いにくいな」
「もっとこうしたいな」
と思ったときは、迷わずケアマネジャーに相談してみましょう。
介護は、ひとりで抱え込まないのがいちばんです。