
「親にデイサービスを利用してほしいけれど、本人が嫌がっている」
「入浴や食事の介助は必要ないけれど、体を動かす場所には行ってほしい」
そんなとき、候補になるのが、運動や機能訓練を中心に行う施設や、高齢者向けの運動教室です。
運動中心の施設なら、デイサービスに抵抗がある方でも通いやすいことがあります。ただし、すべての方に合うとは限りません。また、介護保険を使うサービスと、自治体などが開催する運動教室では、利用条件や内容が異なります。
この記事では、デイサービスを嫌がる親に運動中心の施設が合う場合や、サービスの違い、本人が納得しやすい誘い方、探すときの確認ポイントを紹介します。
運動中心のデイサービスや高齢者向け運動教室がある
高齢者が通って体を動かす場所には、介護保険を利用する運動特化型・リハビリ特化型のデイサービスや、自治体・地域の団体が開く高齢者向けの運動教室などがあります。
運動特化型のデイサービスでは、事業所によって、マシントレーニングや体操、歩行練習、ストレッチなどを行います。入浴や食事を中心とするデイサービスとは雰囲気が異なる場合があり、「体力をつけたい」「歩く力を維持したい」という本人の希望に合わせて選べることがあります。
一方、高齢者向けの運動教室は、介護保険サービスではなく、自治体の介護予防事業や地域の活動として開かれている場合があります。介護認定を受けていない方が参加できる教室もありますが、年齢や健康状態、募集時期などの条件は地域によって違います。
「運動だけできる場所」を探すときは、施設名だけで判断せず、対象者や内容を確認しましょう。
介護保険のデイサービスと運動教室は何が違う?
似たように体を動かす場所でも、利用条件や費用、支援の内容は異なります。大きく分けると、次のような違いがあります。
| 種類 | 主な対象・特徴 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 運動特化型・リハビリ特化型デイサービス | 介護保険を利用する通所サービス。運動や機能訓練を中心に行う事業所がある | 要介護認定が必要か(要支援の場合は総合事業の対象になるか)、利用できる曜日・時間、送迎、費用、運動内容 |
| 自治体の高齢者向け運動教室 | 自治体などが行う介護予防の教室。介護認定がなくても参加できるものがある | 対象年齢、申込方法、開催時期、参加費、会場までの移動方法 |
| 地域の体操サークル・通いの場 | 地域の人が集まり、体操や交流をする場 | 開催頻度、運動の強さ、見学や体験の可否、付き添いの必要性 |
介護保険の通所介護(一般にデイサービスと呼ばれるサービス)は、要介護認定を受けた方が利用するサービスです。要支援の方は、通常の通所介護ではなく、市区町村が行う「介護予防・日常生活支援総合事業」の通所型サービスなどが利用候補になることがあります。対象やサービスの種類は自治体によって異なるため、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに確認しましょう。
詳しくは、厚生労働省の介護サービス情報公表システム「通所介護(デイサービス)」や、厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業」で、基本的な仕組みを確認できます。
中央区には高齢者向けマシンを使う運動教室もある
自治体の教室は、介護認定がない方にとって、運動を始めるきっかけになることがあります。
たとえば東京都中央区の「さわやか健康教室」は、区内在住の60歳以上で、要介護・要支援認定を受けていない方などを対象にした教室です。高齢者向けのトレーニングマシンを使った筋力トレーニングを、運動指導員のもとで行います。週1回の教室で、開催時期や会場、申込方法などが決まっています。
これは中央区の例です。自治体によって教室の名前や対象、内容は異なります。「自治体名 高齢者 運動教室」「自治体名 介護予防 体操」などの言葉で検索するか、役所の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターに尋ねてみましょう。
(参考:中央区「さわやか健康教室」)
デイサービスを嫌がる理由を聞いてみる
本人がデイサービスを嫌がるときは、まず「なぜ行きたくないのか」を聞いてみましょう。家族には理由が分からなくても、本人なりの不安や抵抗があるかもしれません。
- 「介護される人」と見られるのが嫌
- 知らない人の中に入るのが不安
- 集団で過ごすことが苦手
- 入浴や食事など、必要のないサービスまで受けると思っている
- 体力に自信がなく、運動についていけるか心配
- 送迎車に乗ることや、施設まで行くことに抵抗がある
- 過去に見学や利用をしたとき、雰囲気が合わなかった
「みんな楽しそうだから行ってみたら」と勧めるだけでは、本人の不安が残ることがあります。まずは「どんなところが嫌なの?」「運動だけの教室ならどう思う?」と、本人の気持ちを聞いてみましょう。
嫌がる理由が「介護を受ける場所だと思われたくない」ことであれば、運動教室や健康づくりの場として紹介すると、受け入れやすくなる場合があります。ただし、実際のサービス内容は正直に伝え、本人が納得してから見学や体験を検討しましょう。
本人が行きやすくなる誘い方
いきなり「これから毎週通って」と伝えると、本人が身構えてしまうことがあります。最初は、参加を決める前の見学や短時間の体験から始める方法もあります。
- 本人の希望を聞く
「運動をしたいか」「人と話したいか」「少人数がよいか」など、本人が気にしていることを確かめます。 - 候補を一緒に選ぶ
家族だけで決めず、運動教室や施設の写真、パンフレットを見ながら、本人が気になる場所を選べるようにします。 - 見学や体験ができるか問い合わせる
見学だけ可能か、体験利用の費用がかかるか、家族が同行できるかを確認します。 - 通い方を具体的に確認する
所要時間、送迎の有無、休憩の取り方、運動の強さを確かめます。 - 一度行った後に感想を聞く
「楽しかった?」と決めつけず、「疲れなかった?」「雰囲気はどうだった?」と本人の感じ方を聞きます。
見学や体験をしても、本人が「合わない」と感じることはあります。その場合は、別の施設や少人数の教室、自宅でできる運動など、ほかの方法を一緒に考えましょう。
施設や教室を選ぶときの確認ポイント
運動中心と書かれていても、実際の内容や利用条件は施設ごとに違います。問い合わせや見学の際には、次の点を確認しておくと安心です。
- 介護認定が必要か、どの認定区分が対象か
- 運動の内容や強さを、本人の体力に合わせてもらえるか
- 運動中に職員が見守るか、体調不良時に対応できるか
- 利用時間や開催頻度は本人に合っているか
- 送迎があるか、家族の付き添いが必要か
- 費用のほかに、食事代や教材費などがかかるか
- 見学や体験利用ができるか
- 持病や痛み、歩行の不安について事前に相談できるか
足腰の痛みや持病がある方、転倒したことがある方は、運動を始める前に医師や担当のケアマネジャーへ相談しましょう。施設にも健康状態を伝え、どのような運動ができるか確認してください。
介護認定を受けている場合は相談先を確認する
すでに要支援・要介護の認定を受けている場合は、担当のケアマネジャーに「運動中心のデイサービスを探したい」と相談できます。事業所によって、利用対象や運動内容、送迎範囲、受け入れ状況が異なります。
まだ介護認定を受けていない場合や、本人にどのような支援が合うか分からない場合は、地域包括支援センターに相談できます。自治体の運動教室や介護予防事業についても、地域包括支援センターや役所の高齢者福祉窓口で尋ねてみましょう。
まとめ:本人が「行ってみよう」と思える場所を探す
デイサービスを嫌がる親でも、運動を中心にしたデイサービスや高齢者向けの運動教室なら、興味を持つことがあります。ただし、本人が嫌がる理由や体の状態によって、合う場所は異なります。
介護保険を使う運動特化型デイサービスと、自治体などが開く運動教室では、対象者や申込方法が違います。まず本人の希望を聞き、見学や体験ができる場所を探してみましょう。
大切なのは、家族が通わせたい場所を決めることではなく、本人が納得して「一度行ってみよう」と思える選択肢を一緒に見つけることです。

