
「ケアマネさんが担当になりますね」
介護の手続きやサービスの利用を進めるときによく耳にする言葉ですが、「ケアマネジャーは何をしてくれる人なの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、本人や家族の希望、心身の状態、生活環境などを確認し、必要な介護サービスを組み合わせたケアプランを作成する専門職です。サービス事業所や医療機関などとの連絡・調整も行います。
ただし、身の回りの介護や家事、すべての申請手続きを直接行う人ではありません。
この記事では、ケアマネジャーの役割や具体的な仕事内容、相談できること、選び方、合わないと感じたときの変更方法まで、わかりやすく解説します。
ケアマネジャーとは?どんなことをしてくれる人?
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護を必要とする本人が、できる限り希望する生活を続けられるように支援する専門職です。
主に次のような役割を担います。
- 本人や家族の希望、困りごとを聞く
- 心身の状態や生活環境を確認する
- 必要な介護サービスを検討する
- ケアプランを作成する
- サービス事業所や医療機関などと連絡・調整する
- サービス開始後も定期的に状況を確認する
つまり、ケアマネジャーは、介護を直接行う人というよりも、本人や家族と関係機関をつなぐ「相談役・調整役」です。
なお、居宅介護支援では、特定のサービスや事業所に偏らず、公正中立に支援することが求められています。厚生労省・介護サービス情報公表システム
ケアマネジャーの利用費用はかかる?
在宅で介護保険サービスを利用する際、居宅介護支援事業所のケアマネジャーへ相談したり、ケアプランを作成してもらったりする費用について、利用者の自己負担は原則ありません。
居宅介護支援にかかる費用は、介護保険から全額支払われます。
ただし、ケアプランに基づいて利用する訪問介護、デイサービス、福祉用具貸与などには、所得に応じて1~3割の自己負担があります。
「ケアマネジャーへの相談やケアプラン作成」と「実際に利用する介護サービス」の費用は別に考えましょう。
なお、事業所が定める通常のサービス提供地域を越えて訪問を依頼する場合などは、別途交通費がかかることがあります。依頼前に事業所の説明を確認してください。
具体的にケアマネがしてくれること
| 主な役割 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 相談・状況確認 | 本人や家族の希望、心身の状態、生活環境、介護上の困りごとを確認する |
| ケアプランの作成 | 利用するサービスの種類、回数、目標などを本人や家族と相談して計画する |
| 事業所との連絡・調整 | 訪問介護、デイサービス、福祉用具などの事業所と連絡を取り、利用開始や変更を調整する |
| サービス利用後の確認 | サービスが本人の状態や希望に合っているか、定期的に確認する |
| ケアプランの見直し | 本人の状態、家族の状況、入退院などに応じてサービス内容を見直す |
| 手続きの支援 | 要介護認定の更新などについて案内し、必要に応じて申請を支援する |
| 関係機関との連携 | 医療機関、地域包括支援センター、自治体などと必要な情報を共有する |
ケアマネジャーは、本人に代わって介護を行ったり、家事や金銭管理をしたりする人ではありません。また、救急隊のように緊急時に必ず駆けつける役割でもありません。
転倒や入院などで状況が変わった場合は、必要なサービスの見直しや関係機関との調整について相談できます。命に関わる緊急時は、ケアマネジャーへの連絡を待たず、119番へ通報してください。
ケアマネジャーはどこにいるの?
ケアマネジャーは、主に次のような事業所や施設で働いています。
- 居宅介護支援事業所
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 有料老人ホーム
- 小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービス
自宅で生活する要介護1~5の方が介護保険サービスを利用する場合は、一般的に居宅介護支援事業所のケアマネジャーへケアプランの作成を依頼します。
要支援1・2の方の介護予防ケアプランは、地域包括支援センターのほか、市区町村から指定を受けた居宅介護支援事業所が担当する場合もあります。また、地域包括支援センターから委託を受けた居宅介護支援事業所が担当する場合もあります。どこへ依頼すればよいか迷ったときは、本人が住む地域の地域包括支援センターへ相談しましょう。
事業所は、市区町村や地域包括支援センターから紹介してもらうほか、家族が自分で探して依頼することもできます。
ケアマネジャーの選び方と変更方法
利用者や家族は、ケアプランの作成を依頼する居宅介護支援事業所を選ぶことができます。希望するケアマネジャーがいる場合は、事業所へ担当を依頼することも可能です。また、担当になったあとでも変更を相談できます。
ただし、地域のケアマネジャー不足や事業所の受け入れ状況によっては、希望する事業所へ依頼できないこともあります。
初めて相談するときは、次の点を確認してみましょう。
- 本人や家族の話を丁寧に聞いてくれるか
- 制度や費用をわかりやすく説明してくれるか
- 本人の希望を尊重してくれるか
- 特定のサービスだけでなく、複数の選択肢を示してくれるか
- 質問や相談をしやすいと感じるか
- 連絡方法や対応できる時間が自分たちに合っているか
ケアマネジャーとの相性は、話しやすさだけでなく、必要な情報をわかりやすく説明し、本人の希望をケアプランに反映してくれるかどうかも大切です。
合わないと感じたとき
担当のケアマネジャーに不満や違和感がある場合は、まず困っていることや希望を具体的に伝えてみましょう。
それでも改善しない場合は、次の窓口へ相談できます。
- ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所の管理者
- 別の居宅介護支援事業所
- 地域包括支援センター
- 市区町村の介護保険窓口
ケアマネジャーを変更しても、要介護度や介護保険サービスを利用する権利が失われることはありません。
ただし、新しい事業所の受け入れ状況や引き継ぎの確認が必要です。現在利用しているサービスが途切れないように、変更先や引き継ぎ方法を相談してから手続きを進めましょう。
相談からケアマネジャーが決まるまでの流れ
介護保険サービスを利用したいときは、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターへ相談します。
自治体によって手続きや連絡の順番が異なることもありますが、一般的には次のように進みます。
1.市区町村や地域包括支援センターへ相談する
本人が住んでいる地域の市区町村または地域包括支援センターへ相談します。
この時点で要介護認定を受けていなくても問題ありません。
相談するときは、次のような困りごとを伝えましょう。
- 転倒やつまずきが増えた
- 入浴や着替えが難しくなった
- 物忘れや一人暮らしが心配
- 家族だけで介護を続けるのが難しい
- 手すりや介護ベッドを利用したい
2.要介護認定を申請する
介護保険サービスが必要と考えられる場合は、市区町村へ要介護認定を申請します。
本人や家族が申請するほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などに申請を代行してもらえる場合があります。
申請方法や必要書類は自治体によって異なるため、窓口で確認しましょう。
3.認定調査を受ける
申請後、市区町村の職員や委託を受けた認定調査員が、本人の自宅や入院先などを訪問します。
認定調査では、歩行、食事、排泄、認知機能、日頃必要としている介助などについて確認されます。
本人が調査の日だけ普段より元気に振る舞うこともあります。家族が立ち会える場合は、日頃の様子や必要な介助を具体的に伝えましょう。立ち会えない場合も、日常生活で困っていることを調査員にどう伝えるか、日程調整の際に相談しておくと安心です。

うちの親は、人前だと妙に元気ぶって見せるので、終始ハラハラしていました。
4.主治医意見書が作成される
市区町村は、申請時に記載した主治医へ意見書の作成を依頼します。意見書の作成費用を本人が負担する必要はありません。
主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診察が必要になることがあります。
長期間受診していない場合などは、診察を求められることもあるため、申請時に窓口へ確認しましょう。
5.認定結果が通知される
認定調査と主治医意見書をもとに審査が行われ、「要支援1・2」「要介護1~5」または「非該当」の結果が通知されます。
認定結果の通知は、申請から原則30日以内とされています。ただし、認定調査の日程や主治医意見書の提出状況などによって、30日を超えることもあります。
なお、非該当になった場合でも、自治体の介護予防・生活支援サービスなどを利用できる可能性があります。
要介護認定の公式な流れは「申請→認定調査・主治医意見書→審査判定→認定」で、結果通知は原則30日以内です。厚生労省・介護サービス情報公表システム
6.担当者を決めてケアプランを作成する
要介護1~5で在宅サービスを利用する場合は、居宅介護支援事業所へ依頼し、担当のケアマネジャーを決めます。
要支援1・2の場合は、地域包括支援センターや、市区町村から指定を受けた居宅介護支援事業所などが介護予防ケアプランを担当します。相談先がわからない場合は、まず地域包括支援センターへ確認しましょう。
担当者は本人や家族と面談し、生活状況、希望、住まいの環境などを確認したうえでケアプランを作成します。内容に納得したら、各サービス事業所と契約し、利用を開始します。
認定結果を待てないときは早めに相談する
退院が迫っている、家族だけでは介護できないなど、認定結果が出る前にサービスが必要になることもあります。
その場合は、結果が出るまで何もできないと考えず、市区町村、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所などへ早めに相談してください。状況によっては、認定結果を見込んだ暫定的なケアプランでサービスを利用できる場合があります。
ただし、実際の認定結果や支給限度額によっては自己負担が発生する可能性があるため、説明を受けたうえで利用を検討しましょう。
ケアマネジャーにできないこともある
ケアマネジャーは介護の相談や調整を行う専門職ですが、家族の代わりにすべてを行う人ではありません。
原則として、次のようなことはケアマネジャーの通常業務には含まれません。
- 掃除、買い物、身体介護などを直接行う
- 日常的な金銭管理を引き受ける
- 入院や施設入所の身元保証人になる
- 24時間いつでも緊急対応する
- 本人に代わってすべての契約を決定する
ただし、これらの支援が必要な場合に、利用できる制度やサービスを一緒に考え、適切な窓口へつなぐことはケアマネジャーの大切な役割です。
「これは相談してもよいのかな」と迷ったときも、まず状況を伝えてみましょう。
よくある質問
Q1.ケアマネジャーへの相談やケアプランの作成に費用はかかりますか?
在宅で介護保険サービスを利用する場合、居宅介護支援事業所のケアマネジャーへの相談やケアプラン作成について、利用者の自己負担は原則ありません。
ただし、ケアプランに基づいて利用する訪問介護やデイサービス、福祉用具貸与などには、所得に応じて1~3割の自己負担があります。
Q2.ケアマネジャーは自分で選べますか?
ケアプランの作成を依頼する居宅介護支援事業所は、利用者や家族が選べます。希望するケアマネジャーがいる場合は、事業所へ担当を依頼することも可能です。
市区町村や地域包括支援センターから事業所の一覧をもらい、自分で問い合わせることもできます。ただし、地域や事業所の受け入れ状況によっては、希望する事業所やケアマネジャーへ依頼できない場合もあります。
Q3.ケアマネジャーが合わない場合は変更できますか?
ケアマネジャーは変更できます。まずは担当のケアマネジャーへ困っていることや希望を伝え、それでも改善しない場合は、所属する事業所の管理者や地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口へ相談しましょう。
変更する場合は、利用中のサービスが途切れないように、次の事業所や引き継ぎ方法を確認してから進めると安心です。
Q4.要介護認定の結果が出る前でも、ケアマネジャーに相談できますか?
認定結果が出る前でも、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所へ相談できます。
退院が迫っているなど、早急にサービスが必要な場合は、認定結果を見込んだ暫定的なケアプランを作成し、サービスを利用できることがあります。
ただし、認定結果や支給限度額によっては自己負担が発生する可能性があるため、費用について説明を受けてから利用しましょう。
まとめ
ケアマネジャーは、本人や家族の希望を聞き、必要な介護サービスを組み合わせたケアプランを作成する専門職です。
主な役割は、次のとおりです。
- 介護に関する相談を受ける
- 本人の状態や生活環境を確認する
- ケアプランを作成・見直しする
- サービス事業所や医療機関などと連携する
- サービス開始後の状況を定期的に確認する
ケアマネジャーは選ぶことができ、合わない場合は変更も可能です。ただし、地域によっては受け入れ可能な事業所が限られるため、現在のサービスが途切れないように相談しながら進めましょう。
また、ケアマネジャーは介護を直接行う人ではありませんが、困りごとに応じて必要な制度やサービスへつないでくれる心強い相談相手です。
介護について何から始めればよいかわからない場合は、まず本人が住んでいる地域の地域包括支援センターへ相談してみましょう。


