在宅での介護を続けていると、ふと「そろそろ施設を検討した方がいいのかも…」と思う瞬間が訪れることがあります。
でも、「本当にこのタイミングで良いのか」「親は納得してくれるだろうか」と不安になるのも当然のことです。
この記事では、介護施設へ移る判断の目安やよくあるサイン、相談先まで、できるだけわかりやすく解説していきます。
■ そもそも「在宅介護」はいつまで続けられる?
在宅介護には限界があります。それは介護される側だけでなく、介護する家族の体力・精神的余裕・生活環境にも大きく左右されます。
以下のような状態になってきたら、「施設への切り替え」も視野に入れる時期かもしれません。
■ 介護施設へ移るタイミング|7つのチェックポイント
チェック項目 | 判断の目安 |
---|---|
① 介護度の上昇 | 要介護3以上になり、入浴や排泄介助が常時必要 |
② 夜間の介護負担が増えた | 夜中に何度も起きる・徘徊・トイレ介助などが頻発 |
③ 介護者の体力・精神が限界 | 腰痛・うつ状態・眠れないなどの不調が出ている |
④ 本人が頻繁に転倒・怪我をする | 自宅環境では安全が確保しにくい |
⑤ 家族の生活が破綻しかけている | 仕事との両立が困難、家計にも影響が出ている |
⑥ 医療的ケアが必要になった | 点滴・たん吸引・胃ろうなどの管理が難しい |
⑦ 介護サービスでも補えない | デイや訪問介護だけでは日常がまわらない |
■ タイミングを見極めるためのサインとは?
●「介護疲れ」の兆候

- イライラが止まらない
- 無気力で家事が手につかない
- つい強く当たってしまう(罪悪感を感じる)
介護者自身の体調や心の変化は、もっとも見逃してはいけないサインです。
●「本人の変化」
- 以前よりも明らかに転倒や混乱が増えている
- 食事や服薬の管理が難しくなっている
- 生活リズムが乱れ、介護者の負担が倍増している
■ 在宅と施設、どちらが「正解」なの?
実は、正解は人それぞれです。
ただし、以下のような考え方をもつことで、「施設に預けることは負担軽減であり、愛情の形の一つ」だと感じられるようになる方も多くいます。
- 「介護を続けるための選択」
- 「本人の安心と安全のための決断」
- 「自分や家族の生活を守るための判断」
「家で最期まで」は理想ですが、現実には叶わないケースも多いです。誰もが疲れて当たり前。我慢ではなく、支え合いの仕組みを使うことが大切です。
■ 施設を考え始めたら、まず相談する場所
● 地域包括支援センター
市区町村ごとに設置されており、介護の悩み全般を無料で相談できます。
▶「施設を検討しているが迷っている」と伝えるだけでOK。
● ケアマネジャー
すでに介護保険サービスを利用している場合は、担当ケアマネに相談しましょう。施設選びのアドバイスや紹介もしてくれます。
● 家族会や経験者の声
地域の家族介護者会やSNSでも、実際に施設に切り替えた人のリアルな体験談が参考になります。
■ 入所後も、家族の関わりは続いていきます
「施設に入れたら、もう会いに行くことも減ってしまうのでは?」
「介護から手を引くようで、罪悪感がある…」
そんな風に感じる方も少なくありません。
でも実際には、施設入所後も家族の関わりは重要な支えとなります。
- 面会や電話を通じて、安心感や愛情を伝える
- 季節のイベントや誕生日に参加して、一緒に思い出を作る
- ケアマネジャーや職員と定期的に話し合い、ケア内容を共有する
施設に預けたからといって「終わり」ではなく、新しい関係性が始まるのです。
■ よくある不安と、その乗り越え方
入所を考える際、多くの方が次のような不安を抱えます。
- 「本人が納得してくれるかどうか」
- 「まわりにどう思われるか」
- 「費用の負担が心配」
こうした不安は、相談することで軽減できることがほとんどです。
ケアマネジャーや地域包括支援センターは、こうした悩みをたくさん聞いてきた専門家。
どんな小さな不安も、安心して話してみてください。
また、実際に施設の見学に行ってみると、「明るくて安心できそう」「スタッフの方が優しかった」など、現場を見て初めて感じる安心感もあります。
■ 「あなたらしい介護のかたち」を大切に
介護には正解がありません。
在宅であっても、施設であっても、大切なのは“誰もが無理なく続けられる形”であること。
「頑張りすぎない介護」
「安心して任せる介護」
「笑顔でまた会える介護」
そのどれもが、立派な家族の愛情です。
どうか、自分自身を責めたりせずに、
「これからのために、いまできる最善の選択をしよう」
そんな気持ちで、一歩を踏み出してみてください。
■ まとめ|「後悔しない介護」のために知っておくこと
施設に移ることは、「家族の愛情が足りない」ことではありません。
むしろ、その選択によって本人にも家族にも新しい安心が生まれることがあります。
💬 「自分が倒れる前に、選択肢を増やす」ことが、介護を続けるための第一歩です。
ひとりで抱え込まず、まずは信頼できる相談先に話してみるところから始めましょう。