親の介護をはじめてする際に
「家で介護するか?」
「施設にお願いするか?」
で悩みますよね。そんな時に、必ず耳にするのが「特養」と「老健」ではないでしょうか?
どちらも高齢者のための施設ですが、目的や利用期間、サービス内容に大きな違いがあります。
0この記事では、特養(特別養護老人ホーム)と老健(介護老人保健施設)の違いを、わかりやすくご紹介します。ご家族の介護施設選びに、ぜひお役立てください。
特養(特別養護老人ホーム)とは?

特養は、長期的に生活することを目的とした施設です。
主に、要介護3以上の高齢者が対象となり、日常生活の介助や医療的ケアを受けながら生活します。
特徴
- 介護が重度でも、長期間入居できる
- 費用が比較的安い(介護保険の対象)
- 入居待機者が多く、すぐに入れないことが多い
- 医療体制は最低限(常駐の医師がいない施設も)
老健(介護老人保健施設)とは?

老健は、在宅復帰を目指すための中間的な施設です。
病院での治療を終えた方や、在宅生活が難しくなった方が一時的に入所し、リハビリや医療ケアを受けながら回復を目指す施設です。
特徴
- 医師・看護師が常駐し、医療ケアやリハビリに強い
- 原則3~6か月の短期入所(更新も可能)
- 要介護1以上で入所可能
- 在宅復帰が基本方針
▪️グループホームの詳しい説明はこちら↓
「グループホーム」は2種類・認知症と障害者向けの違いをくわしく解説します
特養と老健の違いを表で比較
以下の表に、主な違いをまとめました。
比較項目 | 特養(特別養護老人ホーム) | 老健(介護老人保健施設) |
---|---|---|
目的 | 終の住まい(長期入居) | 在宅復帰のための一時的入所 |
対象者 | 要介護3以上 | 要介護1以上 |
医療体制 | 最低限(医師は非常勤の場合あり) | 医師・看護師が常駐 |
入所期間 | 原則、無期限 | 原則、3~6か月 |
リハビリ | 基本的にはない | 充実したリハビリが受けられる |
費用 | 比較的安価(所得に応じた減額制度あり) | やや高め(医療費が加算される) |
入所までの期間 | 待機期間が長い | 比較的スムーズに入所できる |
どちらを選べばいいの?
● 特養がおすすめの方
- 在宅介護が難しく、長期的に施設で暮らしたい方
- 介護度が重く、家庭での生活が困難な方
- 医療ケアがあまり必要ない方
● 老健がおすすめの方
- 入院後のリハビリや回復期を過ごしたい方
- いずれ在宅に戻ることを前提としている方
- 医療ケアを受けながらリハビリしたい方
■ 特養・老健以外の選択肢も知っておこう
実は、特養や老健以外にも、高齢者向けの施設にはさまざまな種類があります。
たとえば、「グループホーム」は、認知症の方が少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で生活でき、認知症の進行を穏やかにする効果も期待されています。
また、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」や「有料老人ホーム」は、比較的自立している高齢者向けに作られた住まいです。介護度が軽いうちから入居でき、必要に応じて外部の介護サービスを利用するスタイルです。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、「どこに入るか」よりも「どのように暮らしたいか」という視点で選ぶことが大切です。
■ 施設を選ぶ際に確認しておきたいポイント
施設を見学する際は、以下のような点に注目しましょう:
- スタッフの対応が丁寧で明るいか
- 居室や共用スペースが清潔で整理されているか
- 食事の内容や提供方法(自炊型、配膳型など)
- 入居者の表情が明るく、落ち着いた雰囲気か
- 家族の面会や外出が柔軟に対応されているか
資料やネットの情報だけで判断せず、できる限り実際に足を運んで確認することが安心につながります。
まとめ:目的と介護の状況で選ぶことが大切
特養と老健は、似ているようで役割がまったく違う施設です。
- 「今後ずっと施設で生活したい」なら特養
- 「回復してから在宅に戻りたい」なら老健
このように、ご本人の状態やご家族の希望にあわせて選ぶことが大切です。
よくある質問
Q. 特養と老健、どちらが費用が安いですか?
→ 一般的には特養の方が安価です。所得に応じた負担軽減措置もあります。
Q. 老健に長くいられますか?
→ 原則3~6か月ですが、状態に応じて延長が可能な場合もあります。
Q. 両方申し込んでもいいですか?
→ はい、両方申し込むことは可能です。選択肢を増やすためにも、並行して検討するのが安心です。
介護施設の選択は、本人の生活の質を大きく左右する大切な判断です。
不安や疑問を感じたときは、地域の包括支援センターやケアマネジャーに相談してみましょう。
家族だけで悩まず、専門家の意見を取り入れることで、より安心して最適な施設を選ぶことができます。
特養と老健は、どちらも高齢者の生活を支える大切な施設ですが、「何のために入所するか」によって選び方は変わってきます。
- 長く安心して暮らしたい → 特養
- 一時的に医療やリハビリを受けたい → 老健
ご本人の介護度や生活希望、家族の状況などを考慮しながら、焦らずに選択することが大切です。
もし迷った場合は、ケアマネジャーや市区町村の相談窓口に一度話をしてみましょう。後悔のない選択ができるよう、しっかり情報を集めて備えておくことが、何よりの安心につながります。