親の通院付き添いで仕事を休めないときは?介護休暇・送迎・代行サービスを解説

仕事と介護を両立する女性が、高齢の親と一緒に病院の待合室で過ごす様子を描いたイラスト。通院付き添いに悩む現実を表現。

親の通院に付き添うため、仕事を休んだり早退したりすることが増えていませんか。

診察そのものは短くても、病院までの移動や受付、待ち時間、会計、薬の受け取りまで含めると、半日から1日かかることもあります。

「また職場に休みをお願いしなければならない」
「有休が残り少なくなってきた」
「自分が付き添えない日はどうすればいいのだろう」

このような悩みを抱えていても、通院の付き添いを家族だけで続ける必要はありません。介護休暇や介護保険サービス、介護タクシー、自治体の移動支援などを利用できる場合があります。

この記事では、仕事を休めないときに検討したい通院支援と、家族の負担を減らすための相談先をわかりやすくご紹介します。

親の通院付き添いは仕事との調整が難しい

親の通院付き添いは、診察室に一緒に入るだけではありません。

  • 自宅から病院までの移動を手伝う
  • 受付や問診票の記入をする
  • 医師の説明を一緒に聞く
  • 会計や薬の受け取りを行う
  • 帰宅後に家族やケアマネジャーへ状況を伝える

高齢の親が一人で医師の説明を理解することが難しい場合や、認知症、足腰の不安がある場合は、家族の付き添いが必要になることもあります。

ところが、病院の診療は平日の昼間が中心です。働いている家族にとっては、受診のたびに遅刻や早退、休暇の取得が必要になり、仕事との調整が大きな負担になります。

通院だけで半日から1日かかることもある

予約をしていても、病院の混雑状況によっては長く待つことがあります。検査や複数の診療科を受診する日は、朝から夕方までかかることも珍しくありません。

通院が月に1回程度なら何とか調整できても、複数の病院へ通っていたり、体調の変化で急な受診が増えたりすると、家族だけで対応し続けることが難しくなってきます。

仕事と介護の両立が難しく、離職を考える人も

介護と仕事の両立が難しくなり、仕事を辞めざるを得ない人もいます。

総務省の「令和4年就業構造基本調査」によると、令和3年10月から令和4年9月までに、介護や看護を理由に離職した人は約10万6千人でした。

仕事を辞めると、収入が減るだけでなく、再就職が難しくなることもあります。「自分が付き添わなければ」と抱え込まず、退職を決める前に、職場の制度や介護サービスを確認しましょう。

親の通院付き添いには「介護休暇」を使える場合がある

親が、病気やけが、心身の障害などにより、2週間以上にわたって常時介護を必要とする状態にある場合、通院の付き添いなどに「介護休暇」を利用できることがあります。介護保険の要介護認定を受けていることは、必須条件ではありません。

介護休暇は年次有給休暇とは別の制度です。対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日まで、1日または時間単位で取得できます。ケアマネジャーとの打ち合わせや、介護サービスの手続きなどにも利用できます。

休暇中の賃金の扱いは勤務先によって異なります。また、労使協定により、週の所定労働日数が2日以下の人などが対象外となる場合があります。取得条件や申請方法は、人事・労務担当者に確認しましょう。

親の通院に使える支援とサービス

親の通院を家族だけで支えることが難しいときは、介護保険サービスや民間の付き添いサービスを利用できる場合があります。

ただし、「病院まで送ってもらえるサービス」と「院内まで付き添ってもらえるサービス」は同じではありません。利用する前に、どこからどこまで支援してもらえるのかを確認することが大切です。

1.訪問介護の「通院等乗降介助」

要介護認定を受けている方は、本人の状態や必要な介助の内容に応じて、訪問介護の「通院等乗降介助」を利用できる場合があります。

訪問介護員などが運転する車への乗り降りを介助し、乗車前後の移動や、通院先での受診手続きなどを支援するサービスです。ただし、要介護認定を受けていれば誰でも利用できるわけではなく、必要性を確認したうえでケアプランに位置づけます。

介護保険が適用されるのは介助の部分で、車の運賃は別にかかります。利用できる事業者や介助の範囲、自己負担額と運賃について、担当のケアマネジャーに相談しましょう。

2.院内の付き添いは対応範囲を事前に確認する

通院等乗降介助を利用しても、診察を待つ間や診察室での付き添いまで、続けて対応してもらえるとは限りません。

院内の介助は原則として医療機関のスタッフが行います。ただし、病院側で対応できず、本人の状態から介助が必要な場合には、ケアマネジャーが医療機関とも確認・調整し、ケアプランに位置づけることで、例外的に介護保険の対象となる場合があります。

介護保険で対応できない部分については、保険外の付き添いサービスを組み合わせられる場合もあります。「診察室に同席してほしい」「医師の説明を家族に伝えてほしい」など、必要なことを具体的に伝え、対応の可否と料金を事前に確認しましょう。

3.介護タクシーや民間の付き添いサービス

介護タクシーや通院付き添いサービスは、事業者によってサービス内容や料金の仕組みが異なります。通院等乗降介助を利用する場合も、車での移送にかかる運賃は介護保険の対象外です。院内の付き添いなどを頼みたい場合は、対応範囲と料金を事前に確認しましょう。

サービスによっては、次のような支援に対応しています。

  • 自宅から病院までの送迎
  • 車いすやストレッチャーでの移動
  • 病院内の移動や受付
  • 診察室への同席
  • 会計や薬の受け取り
  • 診察内容を家族へ報告

診察室への同席や家族への報告を希望する場合は、本人の意向を確認し、医療機関と事業者に対応可能か事前に相談しましょう。

ただし、対応範囲や料金は事業者によって大きく異なります。運賃のほかに、介助料、付き添い時間に応じた料金、車いすなどの機材使用料がかかることもあります。

予約時には、必要な介助内容とおおよその利用時間を伝え、総額の目安を確認しておくと安心です。

毎回利用するのが難しい場合は、家族がどうしても休めない日や、検査で長時間かかる日だけお願いする方法もあります。

4.デイサービス利用日の通院は事前に相談する

デイサービスの送迎は、原則として自宅とデイサービス事業所の間で行われます。病院への送迎や診察の付き添いは、通常のサービスに含まれていないことが多いため注意が必要です。

ただし、通院後にデイサービスを利用できる場合や、家族が病院から事業所まで送れば受け入れてもらえる場合など、事業所によって対応は異なります。

通院日とデイサービスの利用日が重なるときは、自己判断で予定を組まず、担当のケアマネジャーとデイサービス事業所の両方に確認しましょう。

自治体独自の通院・移動支援を利用できることもある

自治体や社会福祉協議会によっては、高齢者や外出が難しい方を対象に、通院や買い物などの移動を支援する制度を設けています。

支援の内容には、次のようなものがあります。

  • 福祉タクシー券の交付
  • 予約制の乗り合いタクシーやコミュニティバス
  • 社会福祉協議会や地域団体による移送サービス
  • 住民ボランティアによる外出支援

ただし、要介護度や障害者手帳の有無、年齢、所得などの利用条件が設けられている場合があります。また、病院までの送迎のみで、院内の付き添いには対応していない制度もあります。

利用できる制度を調べるときは、市区町村の高齢者福祉担当窓口、地域包括支援センター、社会福祉協議会へ問い合わせてみましょう。

通院そのものを減らせないか主治医に相談する

病院へ行くこと自体が本人や家族の大きな負担になっている場合は、毎回の通院が必要かどうかを主治医に相談してみましょう。

訪問診療を検討する

一人での通院が難しくなった方は、医師が定期的に自宅を訪れる「訪問診療」を利用できる場合があります。

訪問診療は、病気や障害などにより通院が困難な方を対象に、診療計画を立てて定期的に診察する仕組みです。急な体調不良のときだけ医師に来てもらう「往診」とは異なります。

すべての医療機関が対応しているわけではないため、現在の主治医やケアマネジャー、地域包括支援センターへ相談してみましょう。

オンライン診療を利用できる場合もある

医療機関によっては、オンライン診療に対応している場合があります。利用できるかどうかは、本人の状態や診療内容を踏まえて医師が判断します。検査や処置が必要な場合など、対面での受診が必要になることもあります。

利用を希望するときは、自己判断で通院を中止せず、まず主治医に相談してください。

通院の付き添いに困ったときの相談先

どのサービスを使えるかわからないときは、親の状況に合わせて次の窓口へ相談しましょう。

要介護認定を受けている場合

すでに要介護認定を受けている場合は、まず担当のケアマネジャーに相談します。

「家族が仕事を休めない」「病院内でも付き添いが必要」「月に何回通院している」など、困っている状況を具体的に伝えると、利用できるサービスを検討してもらいやすくなります。

要介護認定を受けていない場合

まだ要介護認定を受けていない場合や、どこへ相談すればよいかわからない場合は、親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターへ相談します。

地域包括支援センターは、高齢者の介護・福祉・医療・生活に関する相談を受け付ける窓口です。介護認定の申請や地域の通院支援についても相談できます。

親と離れて暮らしている場合も、家族から相談できます。地域包括支援センターの連絡先は、市区町村のホームページや介護保険担当窓口で確認できます。

自治体独自の支援を知りたい場合

福祉タクシー券や移送サービスなどについては、市区町村の高齢者福祉担当窓口や社会福祉協議会へ問い合わせます。

自治体の制度は対象者や利用条件が異なるため、親の年齢、要介護度、身体の状態などを伝えて確認しましょう。

家族会や介護者カフェで話を聞く方法もある

通院の付き添いや仕事との両立について、同じように介護をしている人から話を聞きたいときは、地域の家族会や介護者カフェに参加する方法もあります。

地域で利用しやすい介護タクシーや、家族がどのように仕事を調整しているかなど、身近な経験を聞けることがあります。

開催場所がわからない場合は、地域包括支援センターや社会福祉協議会に尋ねてみましょう。

まとめ:親の通院を家族だけで抱え込まないために

親の通院付き添いは、移動や診察だけでなく、待ち時間、会計、薬の受け取りまで含めると、家族にとって大きな負担になります。

仕事との両立が難しくなってきたときは、次の方法を検討してみましょう。

  • 勤務先の介護休暇を確認する
  • ケアマネジャーに通院等乗降介助について相談する
  • 介護タクシーや保険外の付き添いサービスを調べる
  • 自治体の福祉タクシー券や移動支援を確認する
  • 訪問診療やオンライン診療が可能か主治医に相談する

介護保険で対応できる範囲や、民間サービスの料金は、本人の状態や地域によって異なります。まずは担当のケアマネジャーか、親が住んでいる地域の地域包括支援センターに、仕事を休むことが難しい事情も含めて相談してみてください。

毎回すべてを家族が引き受けるのではなく、難しい日だけサービスを利用することもできます。仕事と介護のどちらかをすぐに諦める前に、使える制度や地域の支援を一つずつ確認していきましょう。

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