
― 介護中でも頼れる支援と、無理しない現実的な選択肢 ―
介護が始まると、多くの人が最初に直面するのが「通院の付き添い」です。
しかもその通院が、仕事のある平日昼間に重なると、負担は一気に大きくなります。
「どうやって時間をつくればいいの?」
「何度も職場に休みをお願いしづらい…」
「このままでは仕事も介護も続けられないかもしれない」
そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、働きながら介護を続ける人が直面しやすい通院付き添いの悩みと、実際に使える支援や現実的な対処法をわかりやすくご紹介します。
通院の付き添い、こんなに大変!
介護中の通院付き添いでよくある悩み
通院の付き添いは、介護のなかでも想像以上に時間と気力を使います。
とくに働いている場合は、その時間をどう捻出するかが大きな悩みになります。
「朝は病院に付き添わないといけないのに、午後は仕事がある」
「急な受診が必要になったけれど、もう有休が残っていない」
「通院だけで半日から1日つぶれてしまう」
このように、介護と仕事のはざまで悩む人は少なくありません。
通院付き添いが続くと「介護離職」も現実に…
介護と仕事の両立に限界を感じ、「もう辞めるしかない」と思いつめる人もいます。
特に、週に何度も通院がある場合や、親の認知症が進んで意思疎通が難しい場合、精神的な負担が限界に達する人も少なくありません。
実際に、家族の介護や看護を理由に離職する人は年間約10万人規模とされており、仕事と介護の両立は社会全体の課題になっています。
とはいえ、収入を失うことは家計にも影響しますし、介護自体も持続困難になります。
だからこそ、「全部自分で抱え込む」のではなく、「頼れる仕組みをうまく使う」ことが、仕事も介護も続けていくための大切な一歩になります。
職場に理解されにくい「通院介護」という現実
介護のための早退や休暇といえば、「入院」「施設探し」「危篤状態」などを思い浮かべがちです。
しかし実際は、日常的な通院介助こそ、もっとも頻繁で労力のかかる介護です。
問題は、この「通院付き添い」は、職場から“軽視されがち”ということなのです。
たとえば、
- 「ただの通院でしょう?」と言われてしまう
- 「病院ならタクシーで行けるのでは?」と誤解される
- 「何度も休むのは困る」といった空気感がある
というように、通院付き添い=軽い用事という誤解が根強く残っています。
だからこそ、公的な証明や制度の利用を通じて、職場にも正式に伝える手段を持つことが大切です。
※ なお、家族の通院付き添いは、育児・介護休業法上の「介護休暇」の対象になる場合があります。
実際に使っている人の声(事例紹介)
● 会社員・40代女性(都内在住)
週に1回、父の通院付き添いが必要になりました。
最初は毎回半日有休を取っていましたが、限界に…。
介護タクシーを検討したところ、病院内まで付き添ってくれる業者さんを見つけ、
今は「午前だけお願いして、午後からは私が合流する」という形に落ち着いています。
料金はかかりますが、精神的な負担は本当に減りました。
● 自営業・50代男性(地方在住)
デイサービスに通っている母の通院日がちょうど重なったので、
ケアマネさんに相談したら「デイの中で対応できますよ」と言われて驚きました。
そのまま病院へ送迎→診察後にデイへ戻る流れにしてもらい、私は店を休まずに済んでいます。
家族会やSNSでつながる選択肢も
通院付き添いの悩みは、自分一人で抱えていると「誰にもわかってもらえない」と感じがちです。
しかし、同じ悩みを抱えている人は全国にたくさんいます。
地域の家族介護会や、SNSでの交流グループ、介護者カフェなどを通じて、
「うちはこうしてるよ」
「これ使えるよ」
といった実践的なアイデアをもらえることも多いようです。
一歩だけ外に出てみるのもおすすめです。
現実的な「代行サービス」や「介護保険内サービス」もある
実は、家族が付き添わなくても通院できる仕組みが少しずつ整ってきています。
1. 【訪問介護(通院等乗降介助)】
介護保険の「通院等乗降介助」では、自宅から病院までの移動や乗り降りの介助を受けられる場合があります。
ただし、院内での付き添いは原則として介護保険の対象外になりやすく、必要に応じて保険外サービスとの組み合わせを案内されることがあります。
2. 【民間の介護タクシー・付き添い代行サービス】
通院付き添いに特化した有料サービスも多数存在します。
例:介護タクシー+付き添いスタッフが同乗してくれるプラン
(地域により対応の有無が異なるため、事前確認が必要です)
→「月に1回だけお願いする」「職場を休めない日のみ利用」など、部分的に使うのがコツ。
3. 【デイサービス利用日との併用】
事業所によっては、デイサービス利用日と通院予定を調整しやすい場合や、個別に相談できるケースもあります。
対応内容は事業所ごとに異なるため、まずは担当のケアマネジャーやデイサービス事業所に確認してみましょう。
市区町村によっては【通院支援】を行っているところも
地域によっては、高齢者の通院支援として、
- 送迎バスの運行
- 通院サポートのボランティア制度
などを設けている自治体もあります。
→市役所や地域包括支援センターに問い合わせてみると、意外と利用できる制度が見つかることも。
それでも通院が難しいときは、「在宅医療」や「オンライン診療」も選択肢に
- 訪問診療を利用すれば、医師が定期的に自宅へ来て診察してくれるため、通院の負担を減らせる場合があります。
- 症状や診療科によっては、オンライン診療に対応している医療機関もあります。
すべての病気や状態に使えるわけではありませんが、「毎回の通院が本当に必要か」を主治医に相談してみる価値はあります。
まずは「1回分だけ」外注してみるのも方法です
通院の付き添いは、毎回すべてを誰かに任せる必要はありません。
たとえば、どうしても休めない日だけ介護タクシーや付き添いサービスを使う、午前だけお願いして午後は家族が合流する――そんな使い方でも十分です。
「全部頼る」ではなく「一部だけ頼る」と考えると、利用のハードルはぐっと下がります。
まとめ:無理に1人で背負わないで
介護中の通院付き添い問題は、
「なんとか頑張ればできる」ではなく、
「できないときは頼っていい問題」です。
介護保険、地域サービス、民間サービスをうまく組み合わせて、
あなたの生活も大切にしてください。
「仕事を休めない=介護を諦める」ではなく、
「頼れる仕組みを知る=介護を続けられる」という選択が、必ずあります。
💡補足:相談先
- 地域包括支援センター(市区町村に1つはある拠点)
- 担当のケアマネジャー(すでに介護認定が出ている方)
- 福祉課・高齢者支援課(自治体の福祉窓口)
お住まいの地域によって利用できる支援は異なるため、まずは地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談してみてください。


