仕事と通院付き添いの両立がつらいあなたへ
― 介護中でも頼れる支援と、無理しない現実的な選択肢 ―
介護が始まると、最初に多くの人がぶつかる壁が「通院の付き添い」。
しかもその通院が、自分の仕事と重なる時間にあるとしたら――
「どうやって時間をつくる?」
「職場に何度も休みを申請できない…」
と悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は、働きながら介護を続ける人にとっての通院付き添い問題と、その解決のヒントになる現実的な支援をご紹介します。
通院の付き添い、こんなに大変!
介護中の通院付き添いでよくある悩み
介護が始まって最初に直面するのが「通院の付き添い」です。
とくに自分が働いている場合、その時間をどう捻出するかが大きなストレスになります。
「朝から病院に行かなきゃ。でも午後は会議がある…」
「急な体調不良で病院に連れて行くことになったけど、有休はもう残っていない」
そんなふうに、介護と仕事のはざまで悩む人は本当に多いのです。
- 半日以上かかることもあり、仕事に大きな支障が出る
- 自宅から病院までの移動が一人では難しい
- 認知症の症状があり、一人で待たせるのが不安
- 同じ日に複数の医療機関をまわらなければいけない
とくに、リハビリや定期検査、精神科通院などが月に複数回ある方にとっては、予定のたびに仕事の調整が必要になるケースもあります。
通院付き添いが続くと「介護離職」も現実に…
介護と仕事の両立に限界を感じ、「もう辞めるしかない」と思いつめる人もいます。
特に、週に何度も通院がある場合や、親の認知症が進んで意思疎通が難しい場合、精神的な負担が限界に達する人も少なくありません。
実際に、年間10万人以上が「介護離職」しているという統計もあり、国も企業も今ようやくその深刻さに気づき始めています。
とはいえ、収入を失うことは家計にも影響しますし、介護自体も持続困難になります。
だからこそ、「全部自分でやる」ではなく「頼れる仕組みを活用する」ことが、家族を守る第一歩なのです。
職場に理解されにくい「通院介護」という現実
介護のための早退や休暇といえば、「入院」「施設探し」「危篤状態」などを思い浮かべがちです。
しかし実際は、日常的な通院介助こそ、もっとも頻繁で労力のかかる介護です。
問題は、この「通院付き添い」は、職場から“軽視されがち”ということなのです。
たとえば、
- 「ただの通院でしょう?」と言われてしまう
- 「病院ならタクシーで行けるのでは?」と誤解される
- 「何度も休むのは困る」といった空気感がある
というように、通院付き添い=軽い用事という誤解が根強く残っています。
だからこそ、公的な証明や制度の利用を通じて、職場にも正式に伝える手段を持つことが大切です。
実際に使っている人の声(事例紹介)
● 会社員・40代女性(都内在住)
週に1回、父の通院付き添いが必要になりました。
最初は毎回半日有休を取っていましたが、限界に…。
介護タクシーを検討したところ、病院内まで付き添ってくれる業者さんを見つけ、
今は「午前だけお願いして、午後からは私が合流する」という形に落ち着いています。
料金はかかりますが、精神的な負担は本当に減りました。
● 自営業・50代男性(地方在住)
デイサービスに通っている母の通院日がちょうど重なったので、
ケアマネさんに相談したら「デイの中で対応できますよ」と言われて驚きました。
そのまま病院へ送迎→診察後にデイへ戻る流れにしてもらい、私は店を休まずに済んでいます。
家族会やSNSでつながる選択肢も
通院付き添いの悩みは、自分一人で抱えていると「誰にもわかってもらえない」と感じがちです。
しかし、同じ悩みを抱えている人は全国にたくさんいます。
地域の家族介護会や、SNSでの交流グループ、介護者カフェなどを通じて、
「うちはこうしてるよ」
「これ使えるよ」
といった実践的なアイデアをもらえることも多いようです。
一歩だけ外に出てみるのもおすすめです。
現実的な「代行サービス」や「介護保険内サービス」もある
実は、家族が付き添わなくても通院できる仕組みが少しずつ整ってきています。
1. 【訪問介護(通院等乗降介助)】
介護保険の「訪問介護」では、通院時の乗り降りの介助が受けられます。
※ただし、医療機関内の付き添いは対象外なので注意!
→《おすすめの使い方》
家から病院までの移動・受付だけをサポートしてもらい、診察後に家族と合流する形も◎
2. 【移送サービス付きの民間介護タクシー】
通院付き添いに特化した有料サービスも多数存在します。
例:介護タクシー+付き添いスタッフが同乗してくれるプラン
(地域により対応の有無が異なるため、事前確認が必要です)
→「月に1回だけお願いする」「職場を休めない日のみ利用」など、部分的に使うのがコツ。
3. 【デイサービス利用日との併用】
デイサービスの一部では、通院日の送迎対応や、看護師による同行が可能な場合もあります。
→「午前中に通院して、そのままデイサービスへ」など、時間を有効活用できます。
市区町村によっては【通院支援】を行っているところも
地域によっては、高齢者の通院支援として、
- 送迎バスの運行
- 通院サポートのボランティア制度
などを設けている自治体もあります。
→市役所や地域包括支援センターに問い合わせてみると、意外と利用できる制度が見つかることも。
それでも無理なときは「在宅診療」や「オンライン診療」という選択も
- 在宅診療(訪問医)を利用すれば、医師が自宅まで来てくれるため、移動の手間が不要です。
- 最近は、オンライン診療に対応するクリニックも増えてきました。
→病院によっては、家族が代理で問診に参加することも可能です。
まとめ:無理に1人で背負わないで
介護中の通院付き添い問題は、
「なんとか頑張ればできる」ではなく、
「できないときは頼っていい問題」です。
介護保険、地域サービス、民間サービスをうまく組み合わせて、
あなたの生活も大切にしてください。
「仕事を休めない=介護を諦める」ではなく、
「頼れる仕組みを知る=介護を続けられる」という選択が、必ずあります。
💡補足:相談先
- 地域包括支援センター(市区町村に1つはある拠点)
- 担当のケアマネジャー(すでに介護認定が出ている方)
- 福祉課・高齢者支援課(自治体の福祉窓口)
など、で実際お住まいの住所で受けられる支援を、ご相談くださいね。