若者が介護をしている現実|“ヤングケアラー”が使える支援制度と心の支え

「どうして自分だけが…」と悩んでいるあなたへ

夜中に何度も起きて、親のトイレを手伝う。

朝、眠たいまま学校に行って、居眠りして先生に注意される。

でも、「昨夜、介護をしていた」とは、なかなか言い出せない。

これは、実際にあった声です。

「学校で居眠りしてしまって、先生に怒られた。でも、夜中に親の介護があったなんて言えなかった。」

「友達と旅行に行く計画があったけど、家のことが心配で断ってしまった。だんだん誘われなくなって、寂しい。」

「将来の夢を諦めそうになったけど、地域包括支援センターの人が話を聞いてくれて、少し前向きになれた。」

あなたが感じているその“重さ”は、決して一人だけのものではありません。

同じような日々を送っている若者たちが、実は全国にたくさんいるのです。

「ヤングケアラー」とは?

「ヤングケアラー」とは、家族に対して日常的な介護や世話をしている18歳未満の子どもや、20代前半の若者のことを指します。

厚生労働省の調査によれば、中高生の約17人に1人が「家族のケアを担っている」とされています。

これは、「育児」や「掃除のお手伝い」とは違い、次のような内容を含むものです。

  • 認知症の祖父母の見守り
  • 車いす利用者の介助
  • 入浴・排せつの手伝い
  • 家族の食事を作る
  • 兄弟の世話をする
  • 家計管理を手伝う(収入や生活費の管理など)

こうした負担を、本人が「普通」と思っているケースも多く、「誰かに相談していい」と気づかないまま時間が過ぎてしまうことがあります。

なぜ誰にも気づかれないの?

ヤングケアラーの多くは、「親が病気だから自分がやるしかない」と考えています。

また、「誰かに相談したら家族が責められるかも」と思い、口を閉ざしてしまうこともあります。

しかし、本当に苦しいのは、

「相談する場所がわからない」

「誰にも話せない」

という環境そのものです。

若者が介護を担う現実を表現したイラスト。悩みを抱える少年が高齢の祖母のことを介護している図

「学校や職場に理解を求めるには?」

「ヤングケアラー」は、外からはなかなか気づかれにくい存在です。学校やアルバイト先でも、事情を話せず我慢してしまうことが多いですが、最近では教職員向けにヤングケアラーの理解を促す研修が広がってきています。

たとえば、

  • 担任やスクールカウンセラーに「家庭の事情で疲れやすいことがある」と伝える
  • 学校の相談室に「ヤングケアラーかもしれない」と申し出る

といった小さな一歩でも、状況が大きく変わることがあります。言葉にするのは勇気がいりますが、自分を守る行動として大切な選択です。

頼れる大人がいないときは?

もし、親や先生にも相談しづらいと感じたら、24時間対応の相談窓口や、SNSでの相談窓口もあります。

  • 【チャイルドライン】0120-99-7777(18歳まで)
  • 【ヤングケアラーLINE相談】※一部地域で実施(市区町村名+LINE相談で検索)

誰にも話せない気持ちを、「まずは文字にする」ことからでもいいのです。つながることで、少しでも孤独がやわらぎます。

大切な若者の夢や人生

介護が必要な家族のことを大事に思う気持ちは、本当に尊いものです。けれど、それが「人生すべて」になる必要はありません。

自身が笑うこと、夢を見ること、外に出ること、友達と過ごすこと。それも、大切なことです。

相談できる制度・使える支援は他にもあります

ヤングケアラーに向けた支援は、少しずつ広がっています。

特別な手続きをしなくても、先ほどの電話・LINE相談以外にも、あなたの声を聴いてくれる人がいます。

たとえば…

  • 地域包括支援センター
     ⇒ 介護に関する総合相談窓口。家族の介護や生活の悩みを無料で相談できます。
  • 市区町村の福祉課・ヤングケアラー支援担当窓口
     ⇒ お住まいの自治体によっては、専用の相談員が配置されています。
  • 教育委員会・学校のスクールカウンセラー
     ⇒ 学校での対応に理解を示してくれる大人がいます。
ヤングケアラーの男の子が教師に相談しているイラスト

でも、自分のことや、家族のことは、なかなか相談しづらいですよね。

それでも、みんなあなたからの声を待っているんです。

もしかしたら、電話もつながりにくいかも知れません。

それは、同じ悩みを抱えた同士が、頑張って話をする勇気を出したからです。

だから、少しだけ時間をおいて、また電話してくださいね。

あなたからの電話を待っています。

どこに相談すればいいか分からなかったら?

まずは住んでいる市区町村のホームページを見てみてください。

『ヤングケアラー支援』や『地域包括支援センター』で検索すると、相談窓口が見つかるはずです。

電話で相談する際も、匿名で構いません。

まずは話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなったり

自分に合う支援を受けられる方法を知れたりします。

「自分が知らないことを、知っている人に教えてもらう」

という気持ちで話してみて欲しいのです。

うまく話する必要なんて全くなくて

自分の口から溢れてくる、素直な言葉だけあれば大丈夫です!

あなたの人生を、諦めないで

それと・・

介護の毎日があるからといって、夢を捨てないでくださいね。

今、苦しいのは「あなたが真剣に家族と向き合っている」証拠です。

でも、その優しさが、自分自身を追い込んでしまっているのなら

「誰かに頼る」という強さを思い出してください。

助けを求めることは、弱さではありません。

それは、「自分の人生を大切にしたい」という強い気持ちでもあります。

最後に

いまこの記事を読んでいるあなたが、「自分のことかもしれない」と感じたなら、

それだけでも、何かを変える一歩になるはずです。

一人ではありません。

どうか、声をあげてください。あなたの未来は、まだ始まったばかりです。

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