
「知らない番号から、何度も電話がかかってくる」
「役所の人だと言っていたけれど、本当かな」
「親が一人で対応して、だまされないか心配」
離れて暮らす親や、一人で過ごす時間の多い親を思うと、不審な電話が気になりますよね。
ただ、「絶対に電話に出ないで」「どうして信じたの」と強く伝えるだけでは、親が困ったときに相談しづらくなることもあります。
大切なのは、親だけに見分ける力を求めず、迷ったときにいったん電話を切り、家族や相談窓口に確認できるようにしておくことです。
この記事では、不審な電話への備えと、親の気持ちを大切にしながら家族で決めておきたい対応を紹介します。
不審な電話は、その場で本物か見分けようとしなくて大丈夫
相手が役所や警察、銀行、家族を名乗ると、「きちんと対応しなければ」と思うかもしれません。
しかし、電話口の説明や、画面に表示された番号だけで、本物だと判断するのは危険です。警察庁は、実在する警察署などの電話番号を偽装して表示させる手口についても注意を呼びかけています。
例えば、次のような話が出たときは、手続きを進めず、いったん電話を切りましょう。
- 「今日中に手続きしないと、お金が戻りません」
- 「あなたの口座が犯罪に使われています」
- 「確認のため、お金を振り込んでください」
- 「家族には話さないでください」
- 「キャッシュカードを預かりに行きます」
不安な相手と話し続けて、納得できる説明を探す必要はありません。
まずは「一度切って、確認します」と伝えて電話を切りましょう。その後、家族や相談窓口に確認してください。
確認するときは、相手が教えた番号にはかけ直さず、公式サイトや手元の正式な書類で調べた窓口に連絡します。家族を名乗る電話なら、以前から知っている家族の番号にかけて確かめましょう。
家族で決めておきたい、3つの約束
細かな手口をたくさん覚えてもらうよりも、迷ったときの行動を短く決めておくと、思い出しやすくなります。
① お金やカードの話が出たら、いったん切る
電話でお金を動かすように言われたら、その場では対応しないことを約束しておきましょう。
振り込みだけでなく、ATMの操作、現金やカードの受け渡し、暗証番号を伝えることも含みます。
「役所からの電話でも、お金の手続きは一度確認しようね」と、具体的に話しておくとよいでしょう。
② 急がされても、家族や相談窓口に確認する
「今日まで」「すぐに」と言われても、相手のペースで動く必要はありません。
「急ぎの話ほど、一度切って相談する」と決めておきます。
家族が仕事中で出られない場合に備えて、別の家族や相談窓口も書いておくと安心です。連絡がつかない間に、振り込みや受け渡しを進めないことも伝えておきましょう。
③ 電話に出ても、話しても、責めない
家族が伝えておきたいのは、注意事項だけではありません。
「電話に出ちゃっても、途中まで話してしまっても大丈夫。気になったら教えてね」
このひと言も、家族の約束にしておきませんか。
相談してくれたときは、「話してくれてありがとう」「ここから一緒に確認しよう」と受け止めましょう。
電話のそばに、短いメモを置いておく
とっさの場面では、普段なら覚えている連絡先や約束を思い出せないこともあります。
固定電話のそばに、文字の大きなメモを置いておく方法もあります。
お金の話は、いったん電話を切る
・振り込まない
・カードを渡さない
・暗証番号を教えない
・迷ったら、一人で決めずに相談する家族の連絡先:______
別の連絡先:______
警察への相談:#9110
消費者トラブルの相談:188
緊急の事件・事故:110
メモは、本人と一緒に内容や置き場所を決めましょう。「ここなら見やすいね」と相談しながら用意すると、使いやすい備えになります。
留守番電話や防犯機能で、直接話す機会を減らす
警察庁は、特殊詐欺の対策として、犯人と直接話さないための電話対策を案内しています。
在宅中も留守番電話に設定する、通話録音や迷惑電話防止機能を利用するなど、電話の環境を見直してみましょう。
ただし、親御さんには病院や介護サービスから電話が来ることもあります。設定を変えるときは、必要な連絡を受け取れる方法も一緒に考えましょう。
- 家族や利用中の事業所の番号を登録する
- 留守番電話の聞き方を一緒に確認する
- 知らない番号からの着信は、家族と確認する
- 本人の了承を得て、病院や事業所と連絡方法を相談する
番号を登録していても、表示された番号だけで相手を信用しないことは大切です。
機能を増やすことより、本人が無理なく使える方法を選びましょう。
親の様子が気になるときは、問い詰めずに聞く
「最近、電話のあとに落ち着かない様子がある」
「急にまとまったお金が必要だと言い始めた」
「誰かに口止めされているように感じる」
こうした変化があっても、それだけで詐欺だと決めつけることはできません。ただ、話を聞くきっかけにはなります。
「変な電話、来てない?」
「最近、何か困っていることはある?」
「急ぎのお金の話があったら、一緒に確認しようか」
普段の会話の中で、答えやすい聞き方をしてみましょう。
心配だからといって、本人に黙って通帳やスマートフォンを見ると、信頼関係を傷つけることがあります。まずは気になる理由を伝え、本人と一緒に確認することを基本にしましょう。
介護サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーに見守り方を相談することもできます。ただし、詐欺が疑われるときは、警察や消費生活センターへの相談を先延ばしにしないことが大切です。
詐欺かもしれないと思ったら、家族だけで抱え込まない
「まだお金を渡していないから」
「本当に詐欺か分からないから」
そんな段階でも、相談してかまいません。
| 状況 | 連絡先 |
|---|---|
| 不審な電話や詐欺の疑いを警察に相談したい | 警察相談専用電話「#9110」または最寄りの警察署 |
| 不審な契約・請求などの消費者トラブルを相談したい | 消費者ホットライン「188」 |
| 相手が家に来ている、身の危険があるなど、緊急の事件・事故 | 「110」 |
| 詐欺の疑いがある相手にお金を振り込んだ | 警察に連絡し、速やかに振込先の金融機関にも連絡 |
※#9110や188の受付時間・対応は地域や窓口によって異なります。つながらない場合は、最寄りの警察署や自治体の消費生活センターの連絡先を確認してください。
振り込んでしまった場合は、家族で話し合いを続けるよりも、まず連絡を急ぎましょう。お金が必ず戻るとは限りませんが、早く知らせることが重要です。
相手の電話番号、通話やメッセージの内容、振込記録などは、残っている範囲で保存してください。記録をそろえるために、相談を遅らせる必要はありません。
よくある質問
親が「自分はだまされない」と言います。どう伝えればよいですか?
「だまされるかどうか」で言い争うよりも、「私にも分からない電話があるから、家族みんなで一度確認することにしよう」と伝えてみましょう。
親だけに特別なルールを設けるより、家族共通の約束として話す方法もあります。
不審な電話で、名前や住所を話してしまったら?
それ以上の情報や、お金、カード、暗証番号を渡さず、いったん電話を切りましょう。
何を話したか整理し、不安がある場合は警察に相談してください。名前や住所を伝えたことだけで被害が起きると決まったわけではありませんが、その後の連絡にも注意が必要です。
毎日連絡できないと、見守りは難しいでしょうか?
毎日連絡することだけが見守りではありません。
定期的な会話と、「困ったときに連絡してよい」という約束を組み合わせましょう。連絡先のメモや電話の設定も、家族がそばにいない時間の備えになります。
まとめ|「気をつけて」だけでなく、相談できる備えを
高齢の親への詐欺対策では、手口を知ることに加えて、迷ったときの行動を家族で決めておくことが大切です。
- お金やカードの話が出たら、いったん電話を切る
- 急がされても、その場で決めない
- 家族や相談窓口の連絡先を、見やすい場所に置く
- 電話の設定を、本人と一緒に見直す
- 相談してくれたら、責めずに受け止める
「絶対にだまされないで」よりも、「何かあったら、一緒に確認しよう」。
そんな言葉を日頃から伝えておくことも、親が安心して暮らすための備えになるのではないでしょうか。
家族のメールやアカウントの対策も気になる方へ
電話への備えとあわせて、家族が使うメールやインターネットの安全対策も確認しておきたい方へ。
私が運営する別サイトでは、情報漏洩が心配なときに確認したいセキュリティ対策を紹介しています。
※情報漏洩と電話による詐欺は同じものではありません。こちらは、メールやアカウントの安全対策を補足する記事です。
参考リンク
- 警察庁:ニセ警察詐欺に注意!
- 警察庁:留守電や録音機で
- 国民生活センター:「見守り」と「気づき」で高齢者の被害を防ごう
- 政府広報オンライン:電話でお金の話は詐欺!親子のコミュニケーションで注意喚起を!
- 金融庁:振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ
※相談先・対策は2026年10月7日時点で確認した公式情報を参考にしています。


