
高齢になると、年金や医療費、介護費など、生活に関わる負担が少しずつ増えていきます。
こうした負担を軽くするために、国や自治体ではさまざまな公的支援制度を設けています。ただし、制度によっては対象になっていても、申請や請求の手続きをしなければ利用できないものがあります。
この記事では、高齢者本人や家族が確認しておきたい公的支援制度を、年金・医療・介護に分けてわかりやすく紹介します。
制度ごとに対象条件や申請方法が異なるため、「自分も対象になるかもしれない」と思ったときは、市区町村や年金事務所などの窓口で確認してみましょう。
※本記事は2026年8月時点の公的情報をもとに作成しています。
年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入やその他の所得が一定基準以下の人に、年金へ上乗せして支給される制度です。
老齢年金生活者支援給付金の主な対象条件は、次のとおりです。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の年金収入とその他の所得の合計が、定められた基準以下である
2026年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、月額5,620円です。ただし、実際の支給額は国民年金保険料の納付済期間や免除期間などによって異なります。
新たに対象になる人には、日本年金機構から請求書類が届くことがあります。書類が届いた場合は内容を確認し、案内に沿って請求手続きを行いましょう。
すでに給付金を受け取っている人は、原則として毎年請求し直す必要はありません。ただし、所得や世帯の課税状況によって、支給額の変更や支給停止となる場合があります。
対象になるかわからない場合や書類が届いていない場合は、年金事務所または給付金専用ダイヤルへ確認してください。
働き続ける人は高年齢雇用継続給付も確認
高年齢雇用継続給付は、60歳以降も働き続け、60歳時点と比べて賃金が75%未満に下がった一定の人を対象とする雇用保険の給付です。
2025年4月1日以降に60歳となった人などは、各月の賃金の最大10%が支給されます。2025年3月31日以前に受給資格を満たした人には、最大15%の従来の支給率が適用されます。
申請は原則として事業主を通じて行いますが、本人が申請を希望する場合は自分で手続きできる場合もあります。まずは勤務先の担当部署またはハローワークに確認しましょう。
公的支援制度を確認したい人
次のような場合は、利用できる制度がないか確認してみましょう。
- 年金を中心に生活している
- 世帯全員が住民税非課税である
- 医療費や介護サービス費の負担が大きい
- 介護施設の食費や居住費が負担になっている
- 一人暮らしで、申請書類の確認が難しい
制度ごとに所得や年齢、世帯の状況などの条件があります。ひとつ当てはまるだけで必ず対象になるわけではありませんが、市区町村や地域包括支援センターへ相談するきっかけになります。
高齢者が確認したい主な公的支援制度
高齢者が利用できる制度は、現金が支給されるものだけではありません。医療費や介護費の自己負担を軽くする制度もあります。
年金生活者支援給付金
所得が一定基準以下の年金受給者に、年金へ上乗せして給付金が支給される制度です。対象条件や2026年度の支給額は、前の章で紹介したとおりです。
介護保険の要介護・要支援認定
介護が必要になったときは、市区町村へ要介護・要支援認定を申請します。認定を受けると、訪問介護、デイサービス、福祉用具の貸与などを、原則1~3割の自己負担で利用できます。
申請は本人や家族のほか、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者などに代行を依頼できる場合があります。
高額介護サービス費
1か月に支払った介護保険サービスの利用者負担額が、所得区分ごとの上限額を超えた場合、超過分が支給される制度です。
食費、居住費、日常生活費、福祉用具購入費など、対象にならない費用もあります。申請方法は市区町村へ確認しましょう。
高額療養費制度
1か月の医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じた上限額を超えた場合、超過分が支給される制度です。
マイナ保険証を利用すると、対応する医療機関では限度額を超える分を窓口で支払わずに済む場合があります。払い戻しが必要な場合の申請先は、加入している健康保険です。
なお、高額療養費制度は2026年8月から自己負担上限額などが見直されています。利用するときは、加入先の健康保険や厚生労働省の最新情報を確認してください。
介護保険負担限度額認定
住民税非課税世帯など一定の条件を満たす人は、介護保険施設やショートステイを利用したときの食費・居住費が軽減される場合があります。
原則として市区町村への申請が必要で、所得のほか預貯金などの資産要件もあります。認定証には有効期限があるため、継続して利用する場合は更新手続きも確認しましょう。
このほかにも、自治体独自のおむつ代助成、配食サービス、タクシー券、住宅改修費の助成などが用意されていることがあります。内容や対象条件は自治体によって異なります。
申請前に確認したいこと
公的支援制度の申請方法や必要書類は、制度によって異なります。最初からすべての書類をそろえようとせず、まず申請先へ確認すると無駄がありません。
- 利用できそうな制度を確認する
- 市区町村や年金事務所などへ相談する
- 対象条件と申請期限を確認する
- 案内された必要書類をそろえる
- 窓口・郵送・電子申請など指定された方法で申請する
本人確認書類、振込先がわかるもの、マイナンバー関係書類などを求められることがありますが、必要な書類は申請する制度によって違います。
家族が代理で手続きする場合は、委任状や本人と代理人それぞれの本人確認書類が必要になることもあります。事前に申請先へ確認しておきましょう。
申請するときの注意点
- 対象条件を確認する:年齢だけでなく、所得や世帯の課税状況、資産などが判定に使われる制度があります。
- 申請期限を確認する:期限を過ぎると、さかのぼって受け取れない場合があります。
- 自治体独自制度も調べる:国の制度とは別に、市区町村独自の助成やサービスが用意されていることがあります。
- 不審な案内に注意する:給付金の手続きを理由に、暗証番号や手数料の振り込みを求められることはありません。
どこへ相談すればよいかわからない場合は、市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターに相談してみましょう。
本人だけで難しいときは家族や相談窓口へ
申請書の記入や必要書類の準備が難しいときは、本人だけで抱え込む必要はありません。家族が書類を一緒に確認したり、窓口へ付き添ったりするだけでも負担を減らせます。
ただし、家族が本人に代わって申請する場合は、委任状などが必要になることがあります。本人の意思を確認しながら、申請先の案内に従って進めましょう。
身近に頼れる家族がいない場合は、地域包括支援センターや市区町村の相談窓口に相談できます。
よくある質問
Q.高齢者向けの支援制度は自動的に受けられますか?
制度によって異なります。対象者へ案内が届くものもありますが、請求書の提出や市区町村への申請が必要な制度もあります。通知が届いたときは、内容と期限を確認しましょう。
Q.申請すれば必ずお金を受け取れますか?
必ず受け取れるわけではありません。所得、年齢、世帯状況などの条件を満たしているか審査されます。また、現金給付ではなく、医療費や介護費の負担が軽減される制度もあります。
Q.家族が代わりに申請できますか?
家族による申請や代筆が認められる場合もありますが、制度によって手続きが異なります。委任状や本人確認書類が必要になることもあるため、申請先へ確認してください。
Q.どの制度が利用できるかわかりません
市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターへ相談してみましょう。年金に関する制度は年金事務所、医療費に関する制度は加入している健康保険が主な相談先です。
Q.自治体によって利用できる制度は違いますか?
はい。国の制度とは別に、自治体独自の助成や生活支援サービスがあります。おむつ代助成、配食サービス、移動支援など、地域によって内容や対象条件が異なります。
まとめ|申請できる制度がないか一度確認してみよう
高齢者向けの公的支援には、年金生活者支援給付金のように収入を補う制度だけでなく、医療費や介護費の負担を軽くする制度もあります。
ただし、申請が必要かどうか、家族が代理で手続きできるか、どのような書類が必要かは制度によって異なります。
「自分や親が対象になるかわからない」という段階でも、市区町村や地域包括支援センターに相談して構いません。特に、年金収入が少ない、医療費や介護費の負担が大きいという場合は、利用できる制度がないか一度確認してみましょう。
■参考資料・出典
- 厚生労働省|年金生活者支援給付金制度
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/ - 日本年金機構|年金生活者支援給付金
https://www.nenkin.go.jp/ - 厚生労働省|高年齢雇用継続給付
https://www.mhlw.go.jp/ - ハローワークインターネットサービス
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
※制度の内容は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトをご確認ください。


