高齢者向け公的支援制度|申請で受けられる給付金と医療・介護費の軽減

高齢者と書類のやり取り

高齢になると、年金や医療費、介護費など、生活に関わる負担が少しずつ増えていきます。

こうした負担を軽くするために、国や自治体ではさまざまな公的支援制度を設けています。ただし、制度によっては対象になっていても、申請や請求の手続きをしなければ利用できないものがあります。

この記事では、高齢者本人や家族が確認しておきたい公的支援制度を、年金・医療・介護に分けてわかりやすく紹介します。

制度ごとに対象条件や申請方法が異なるため、「自分も対象になるかもしれない」と思ったときは、市区町村や年金事務所などの窓口で確認してみましょう。

※本記事は2026年10月3日時点で確認した公的情報をもとに更新しています。

年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入やその他の所得が一定基準以下の人に、年金へ上乗せして支給される制度です。

老齢年金生活者支援給付金の主な対象条件は、次のとおりです。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
  • 前年の年金収入とその他の所得の合計が、定められた基準以下である

2026年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、月額5,620円です。ただし、実際の支給額は国民年金保険料の納付済期間や免除期間などによって異なります。

新たに対象になる人には、日本年金機構から請求書類が届くことがあります。書類が届いた場合は内容を確認し、案内に沿って請求手続きを行いましょう。

すでに給付金を受け取っている人は、原則として毎年請求し直す必要はありません。ただし、所得や世帯の課税状況によって、支給額の変更や支給停止となる場合があります。

対象になるかわからない場合や書類が届いていない場合は、年金事務所または給付金専用ダイヤルへ確認してください。

働き続ける人は高年齢雇用継続給付も確認

高年齢雇用継続給付は、原則として雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の人を対象とする制度です。60歳到達時などと比べて賃金が75%未満に下がった状態で働き続ける場合に、一定の条件を満たすと支給されます。

支給率は、60歳に達した日を基準に分かれます。ただし、その時点で雇用保険の加入期間が5年に満たない人は、5年を満たした日が基準になります。

この基準日が2025年4月1日以降の場合は、各月に支払われた賃金の最大10%、2025年3月31日以前の場合は最大15%が支給されます。実際の支給額は、賃金の低下率や支給限度額などによって異なります。

申請は原則として勤務先を通じて行います。対象になるか、どの支給率が適用されるかは、勤務先の担当部署やハローワークへ確認しましょう。

公的支援制度を確認したい人

次のような場合は、利用できる制度がないか確認してみましょう。

  • 年金を中心に生活している
  • 世帯全員が住民税非課税である
  • 医療費や介護サービス費の負担が大きい
  • 介護施設の食費や居住費が負担になっている
  • 一人暮らしで、申請書類の確認が難しい

制度ごとに所得や年齢、世帯の状況などの条件があります。ひとつ当てはまるだけで必ず対象になるわけではありませんが、市区町村や地域包括支援センターへ相談するきっかけになります。

高齢者が確認したい主な公的支援制度

高齢者が利用できる制度は、現金が支給されるものだけではありません。医療費や介護費の自己負担を軽くする制度もあります。

年金生活者支援給付金

所得が一定基準以下の年金受給者に、年金へ上乗せして給付金が支給される制度です。対象条件や2026年度の支給額は、前の章で紹介したとおりです。

介護保険の要介護・要支援認定

介護や日常生活の支援が必要になったときは、市区町村へ要介護・要支援認定を申請します。認定は、介護保険のサービスを利用するための手続きであり、認定されるだけで現金が支給されるものではありません。

認定結果や本人の状態に応じて、介護サービスや介護予防サービスなどを利用できます。介護保険が適用されるサービスの自己負担は、原則1~3割です。ただし、食費・居住費などは別途かかり、在宅サービスには要介護度などに応じた支給限度額があります。

要支援1・2の人の訪問型・通所型サービスは、市区町村の「介護予防・日常生活支援総合事業」で提供されるものもあります。利用できるサービスや費用は、地域包括支援センターなどへ確認しましょう。

申請は本人や家族のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者などに代行を依頼できる場合があります。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、1か月に支払った介護保険サービスの自己負担額が、所得区分などに応じた上限額を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。同じ世帯に複数の利用者がいる場合は、対象となる自己負担額を合算します。所得区分によっては、個人の上限額もあります。

ただし、食費・居住費・日常生活費、福祉用具購入費、住宅改修費、支給限度額を超えて利用した分などは対象になりません。

支給を受けるには申請が必要です。初回の申請後に継続して振り込まれるなど、手続きの扱いは市区町村によって異なるため、介護保険担当窓口へ確認しましょう。

高額療養費制度

高額療養費制度は、同じ月の1日から末日までにかかった、保険診療の自己負担額が、年齢や所得に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。

入院時の食費・居住費、差額ベッド代、先進医療の技術料など、保険診療の自己負担とは別にかかる費用は対象になりません。

マイナ保険証で限度額情報を確認できる医療機関などでは、保険診療分について、窓口での支払いを上限額までに抑えられる場合があります。ただし、複数の医療機関で支払った費用を合算する場合などは、後日、払い戻しの手続きが必要になることがあります。

相談先は、加入している医療保険です。国民健康保険は市区町村の担当窓口、後期高齢者医療制度は市区町村の担当窓口や後期高齢者医療広域連合へ確認しましょう。

高額療養費制度は2026年8月診療分から自己負担上限額などが見直されています。利用する月や所得区分によって上限額が異なるため、加入先の医療保険で確認してください。

介護保険負担限度額認定

介護保険負担限度額認定は、住民税非課税世帯など一定の条件を満たす人が、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院や、対象となるショートステイを利用するときに、食費・居住費の負担を軽くする制度です。

判定には、本人や世帯の所得・課税状況だけでなく、預貯金などの資産も使われます。配偶者がいる場合は、住民票上の世帯が別でも、配偶者の課税状況や資産が確認されます。

市区町村への申請が必要で、認定証には有効期限があります。継続して利用する場合は、更新の時期も確認しましょう。

申請前に確認したいこと

公的支援制度の申請方法や必要書類は、制度によって異なります。最初からすべての書類をそろえようとせず、まず申請先へ確認すると無駄がありません。

  1. 利用できそうな制度を確認する
  2. 市区町村や年金事務所などへ相談する
  3. 対象条件と申請期限を確認する
  4. 案内された必要書類をそろえる
  5. 窓口・郵送・電子申請など指定された方法で申請する

本人確認書類、振込先がわかるもの、マイナンバー関係書類などを求められることがありますが、必要な書類は申請する制度によって違います。

家族が代理で手続きする場合は、委任状や本人と代理人それぞれの本人確認書類が必要になることもあります。事前に申請先へ確認しておきましょう。

申請するときの注意点

  • 対象条件を確認する:年齢だけでなく、所得や世帯の課税状況、資産などが判定に使われる制度があります。
  • 申請期限を確認する:期限を過ぎると、さかのぼって受け取れない場合があります。
  • 自治体独自制度も調べる:国の制度とは別に、市区町村独自の助成やサービスが用意されていることがあります。
  • 不審な案内に注意する:給付金の手続きを理由に、暗証番号や手数料の振り込みを求められることはありません。

どこへ相談すればよいかわからない場合は、市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターに相談してみましょう。

本人だけで難しいときは家族や相談窓口へ

申請書の記入や必要書類の準備が難しいときは、本人だけで抱え込む必要はありません。家族が書類を一緒に確認したり、窓口へ付き添ったりするだけでも負担を減らせます。

ただし、家族が本人に代わって申請する場合は、委任状などが必要になることがあります。本人の意思を確認しながら、申請先の案内に従って進めましょう。

身近に頼れる家族がいない場合は、地域包括支援センターや市区町村の相談窓口に相談できます。

よくある質問

Q.高齢者向けの支援制度は自動的に受けられますか?

制度によって異なります。対象者へ案内が届くものもありますが、請求書の提出や市区町村への申請が必要な制度もあります。通知が届いたときは、内容と期限を確認しましょう。

Q.申請すれば必ずお金を受け取れますか?

必ず受け取れるわけではありません。所得、年齢、世帯状況などの条件を満たしているか審査されます。また、現金給付ではなく、医療費や介護費の負担が軽減される制度もあります。

Q.家族が代わりに申請できますか?

家族による申請や代筆が認められる場合もありますが、制度によって手続きが異なります。委任状や本人確認書類が必要になることもあるため、申請先へ確認してください。

Q.どの制度が利用できるかわかりません

市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターへ相談してみましょう。年金に関する制度は年金事務所、医療費に関する制度は加入している健康保険が主な相談先です。

Q.自治体によって利用できる制度は違いますか?

はい。国の制度とは別に、自治体独自の助成や生活支援サービスがあります。おむつ代助成、配食サービス、移動支援など、地域によって内容や対象条件が異なります。

まとめ|申請できる制度がないか一度確認してみよう

高齢者向けの公的支援には、年金生活者支援給付金のように収入を補う制度だけでなく、医療費や介護費の負担を軽くする制度もあります。

ただし、申請が必要かどうか、家族が代理で手続きできるか、どのような書類が必要かは制度によって異なります。

「自分や親が対象になるかわからない」という段階でも、市区町村や地域包括支援センターに相談して構いません。特に、年金収入が少ない、医療費や介護費の負担が大きいという場合は、利用できる制度がないか一度確認してみましょう。

■参考資料・出典

※制度の内容は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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