家族介護慰労金とは?支給条件・金額・申請方法をわかりやすく解説

高齢者と書類のやり取り

在宅で家族を介護していると、紙おむつや介護用品、通院の交通費など、さまざまな負担がかかります。

こうした家族介護者を支える制度のひとつが「家族介護慰労金」です。

家族介護慰労金は、要介護4・5などの重度の高齢者を、介護保険サービスをほとんど利用せずに在宅で介護している家族へ、自治体が慰労金を支給する制度です。

ただし、すべての自治体で実施されているわけではありません。また、対象となる要介護度、所得、介護期間、介護サービスの利用状況なども地域によって異なります。

この記事では、家族介護慰労金の主な対象条件や支給額、申請方法、利用前に知っておきたい注意点を分かりやすく解説します。

※本記事は、厚生労働省および自治体の公開情報をもとに作成しています。実際の制度名や要件は、お住まいの市区町村でご確認ください。


家族介護慰労金とは?

家族介護慰労金とは、重度の要介護者を在宅で介護している家族に対し、介護の負担をねぎらう目的で支給されるお金です。

厚生労働省の地域支援事業では、介護保険サービスを利用していない中重度の要介護者を介護する家族への支援が示されています。ただし、実際に制度を実施するかどうかや、対象条件、支給額は市区町村によって異なります。

そのため、「要介護4・5なら必ず受け取れる」という制度ではありません。まずは、お住まいの自治体に家族介護慰労金の制度があるかを確認する必要があります。

制度の主な特徴

項目内容
支援の対象重度の要介護者を在宅で介護している家族
支給内容現金による慰労金
実施主体市区町村
主な条件要介護度、所得、在宅介護期間、介護サービスの利用状況など
申請原則として申請が必要
実施状況自治体によって異なる

支給対象となる主な条件

家族介護慰労金の対象条件は自治体によって異なりますが、一般的には次のような要件が設けられています。

  • 要介護4または要介護5などの認定を受けている
  • 要介護者を在宅で1年以上介護している
  • 一定期間、介護保険サービスを利用していない
  • 要介護者と介護者が市区町村民税非課税世帯に属している
  • 長期間の施設入所をしていない
  • 自治体内に一定期間住所がある
  • 現在も家族が在宅で介護している

たとえば、名古屋市や静岡市では、要介護4または5、非課税世帯、過去1年間に介護保険サービスを利用していないことなどが主な条件となっています。ただし、短期間のショートステイなど、一部のサービス利用が認められる自治体もあります。名古屋市「高齢者の家族の方への支援」静岡市「家族介護慰労金支給」

一方で、要介護3から対象になる自治体や、同居を必須としない自治体もあります。条件を自己判断せず、市区町村の担当窓口へ確認しましょう。

支給額はいくら?

家族介護慰労金の支給額は自治体によって異なりますが、年額10万円としている自治体が多く見られます。

たとえば、新宿区、名古屋市、静岡市では、条件を満たした場合に年額10万円が支給されます。新宿区「家族介護慰労金」

ただし、すべての自治体で同じ金額が支給されるわけではありません。制度そのものを実施していない自治体もあるため、最新の支給額と受付状況を確認してください。

利用前に確認したい注意点

家族介護慰労金は、条件を満たす家庭にとって経済的な支えになります。しかし、慰労金を受け取るために介護サービスの利用を控えることはおすすめできません。

申請前に、次の点を確認しておきましょう。

すべての自治体で実施されているわけではない

家族介護慰労金は、全国一律に支給されるものではありません。

制度を実施していない自治体もあれば、「家族介護慰労金」「在宅介護慰労金」など、異なる名称で実施している自治体もあります。

まずは、市区町村の公式ホームページや高齢福祉の担当窓口で、制度の有無を確認しましょう。

支給条件は自治体によって異なる

対象となる要介護度、所得、在宅介護の期間、同居の有無などは自治体によって異なります。

要介護4・5を対象とする自治体が多く見られますが、要介護3から対象となる地域もあります。また、介護者と要介護者が同居していることを条件とする自治体もあれば、別居でも対象になる自治体もあります。

インターネット上の一般的な情報だけで判断せず、お住まいの自治体の最新要件を確認してください。

介護保険サービスの利用が支給に影響する

多くの自治体では、過去1年間に介護保険サービスを利用していないことなどが条件になっています。

ただし、短期間のショートステイや居宅療養管理指導など、一部のサービス利用が認められることもあります。どのサービスが対象外になるかは自治体ごとに異なります。

すでに訪問介護やデイサービスなどを利用している場合も、自己判断で申請をあきらめず、自治体へ確認してみましょう。

家族介護慰労金の申請方法

申請窓口は、市区町村の高齢福祉課、介護保険課などです。自治体によっては、地域包括支援センターで制度について相談できる場合もあります。

まずは電話や公式ホームページで制度の有無と対象条件を確認してから、申請書を用意するとスムーズです。

申請の主な流れ

  1. 市区町村の高齢福祉担当窓口へ問い合わせる
  2. 対象条件と申請期限を確認する
  3. 申請書と必要書類を準備する
  4. 市区町村の窓口へ提出する
  5. 自治体による審査を受ける
  6. 支給が決定すると、指定口座へ振り込まれる

自治体によっては、介護サービスの利用状況や入院・施設入所の期間を確認するため、申請から支給決定まで時間がかかる場合があります。

申請時に確認される主な書類

必要書類は自治体によって異なりますが、一般的には次のようなものを求められます。

  • 自治体所定の申請書
  • 介護保険被保険者証
  • 申請者の本人確認書類
  • 振込先口座が分かるもの
  • 世帯の課税状況を確認できる書類
  • 介護状況を確認するための書類

課税状況や介護サービスの利用履歴を自治体が確認できる場合は、一部の書類が不要になることもあります。

必要書類を自分で判断して用意するより、最初に担当窓口へ問い合わせると安心です。

お住まいの自治体で制度を調べる方法

家族介護慰労金を実施しているかどうかは、市区町村の公式ホームページや担当窓口で確認できます。

インターネットで検索するときは、次のように自治体名と制度名を組み合わせてみましょう。

  • 「家族介護慰労金 ○○市」
  • 「在宅介護 慰労金 ○○区」
  • 「家族介護者 支援 ○○町」
  • 「高齢者福祉サービス ○○市」

検索結果には古いページが表示されることもあります。ページの更新日や対象年度を確認し、現在も申請を受け付けているかを確かめましょう。

見つからない場合は、次の窓口へ問い合わせます。

  • 市区町村の高齢福祉課
  • 市区町村の介護保険課
  • 地域包括支援センター
  • 担当のケアマネジャー

問い合わせるときは、次のように伝えるとスムーズです。

「要介護○の家族を自宅で介護しています。家族介護慰労金や、在宅介護者向けの給付制度はありますか」

家族介護慰労金を実施していない自治体でも、紙おむつの支給、介護用品購入費の助成、家族介護者向けの相談支援など、別の制度を案内してもらえる場合があります。

介護保険サービスとの違い

家族介護慰労金は、訪問介護やデイサービスのように介護そのものを提供する制度ではありません。

一定の条件を満たす家族介護者へ、自治体が現金を支給する制度です。

項目家族介護慰労金介護保険サービス
主な対象要介護者を在宅で介護する家族要介護・要支援認定を受けた本人
支援内容慰労金の支給訪問介護、通所介護、福祉用具など
実施状況自治体によって異なる全国共通の介護保険制度
利用条件所得や介護期間など自治体ごとに異なる要介護度などに応じて利用
申請・利用自治体へ申請するケアプランなどに基づいて利用する

家族介護慰労金は「介護サービスの代わりになるお金」ではありません。

介護者の負担が大きい場合は、慰労金の受給だけを優先せず、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの利用も含めて検討することが大切です。

慰労金を受け取るためにサービスを控えるべき?

家族介護慰労金について調べると、「介護保険サービスを利用していないこと」という条件を見て、サービスを使わないほうがよいのではないかと考える方もいるかもしれません。

しかし、慰労金を受け取るために、必要な訪問介護やデイサービスなどを我慢することはおすすめできません。

介護を家族だけで抱え込むと、次のような問題につながることがあります。

  • 介護者の心身が疲弊する
  • 介護者が仕事を続けられなくなる
  • 要介護者と介護者が孤立する
  • 転倒や介護事故の危険が高まる
  • 介護を続けること自体が難しくなる

年額10万円の慰労金よりも、家族が無理なく介護を続けられる体制を整えることが大切です。

サービスの利用と慰労金のどちらを優先すべきか迷った場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーへ相談しましょう。自治体によっては、短期間のショートステイなどを利用していても対象になる場合があります。

家族介護慰労金についてよくある質問

Q1.介護保険サービスを利用していても受給できますか?

自治体によって異なりますが、過去1年間に介護保険サービスを利用していないことを条件としている地域が多く見られます。

ただし、短期間のショートステイや居宅療養管理指導など、一部の利用を認めている自治体もあります。利用したサービスがある場合も、自己判断で対象外だと決めず、自治体へ確認してください。

Q2.要介護3でも対象になりますか?

要介護4または5を対象とする自治体が多いものの、要介護3から対象としている地域もあります。

対象となる要介護度は全国一律ではないため、お住まいの自治体の支給要件を確認しましょう。

Q3.同居していない家族でも申請できますか?

同居している家族に限る自治体もあれば、別居していても実際に介護を行っていれば対象になる自治体もあります。

住民票上の世帯だけでなく、実際の介護状況が確認される場合もあるため、担当窓口へ相談してください。

Q4.入院していた期間があっても対象になりますか?

長期入院の期間がある場合、対象期間の数え方は自治体によって異なります。

入院期間を除き、その前後の在宅介護期間を合算できる自治体もあります。入院していたから対象外とは限らないため、入院期間を伝えたうえで確認しましょう。

Q5.申請できるのは誰ですか?

一般的には、要介護者を在宅で介護している家族が申請します。

ただし、自治体によって申請者の範囲や同居要件が異なります。要介護者本人が申請者になる場合もあるため、申請書の案内を確認してください。

Q6.家族介護慰労金は毎年受け取れますか?

毎年自動的に支給されるものではありません。

継続して受給する場合も、対象期間ごとに条件を満たしているか確認され、あらためて申請が必要になることがあります。申請時期や受付期間を自治体へ確認しましょう。

Q7.制度がない自治体では、ほかの支援を受けられますか?

家族介護慰労金を実施していなくても、紙おむつや介護用品の支給、配食、緊急通報、家族介護者向けの相談など、別の支援制度を利用できる場合があります。

市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターで、「在宅介護者が利用できる支援はありますか」と相談してみましょう。

まとめ

家族介護慰労金は、重度の要介護者を在宅で介護している家族へ、自治体が慰労金を支給する制度です。

主なポイントを整理すると、次のようになります。

確認すること内容
実施の有無すべての自治体にあるわけではない
主な対象要介護4・5などの人を在宅で介護する家族
所得条件市区町村民税非課税世帯などの条件がある
サービス利用過去1年間の利用状況が確認されることが多い
支給額年額10万円としている自治体が多い
手続き原則として自治体への申請が必要

制度名、対象となる要介護度、支給額、介護サービスの利用条件は自治体によって異なります。

該当する可能性がある場合は、「家族介護慰労金 ○○市」などで検索するか、市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターへ問い合わせてみましょう。

ただし、慰労金を受け取るために、必要な介護サービスを我慢することはおすすめできません。介護者と要介護者が無理なく生活を続けられることを優先し、サービスの利用も含めて相談することが大切です。

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