「あれ?うちの親、こんなだったっけ……?」
ある日ふと、そんな違和感がよぎります。
物忘れが増えた気がする。
今まで平気だった段差で、ちょっとつまずいていた。
会話の内容が、少しずつかみ合わなくなってきたような気がする。
それでも、すぐに「介護が必要だ」と結びつけるのは難しいものです。
だって、私の親は今までずーっと元気だったから。
子どものころから、頼もしくて、いつも家族を守ってくれていた存在でした。
そんな親が「老いていく」という現実に、なかなか心が追いつかないのは、当たり前のことです。
「介護」って、どこからが“スタート”なの?
介護の始まりは、ある日突然やってくる…というより、
「もしかしてこれがそうなのかな?」という違和感から静かに始まることがほとんどです。

私も母を長年介護してきましたが、ゆっくり進行していく症状に『気づけない』というより、信じたくない気持ちが大きかったです。
そして、多くの人がこんなふうに感じます。
- 「最近、親が疲れやすくなった気がする」
- 「同じ話を繰り返すようになった」
- 「一緒に暮らしていないから細かい変化が見えにくい」
この時点ではまだ、介護サービスが必要かどうかすら分からないんですよね。
でも、本当は“気づいた今”がスタートラインなのです。
「気づけたこと」が大きな第一歩とも言えます。
ここからは焦らず、小さな準備を始めていきましょう。
まずやるべきこと①:親と自然に話をしてみる
介護といっても、すぐにおむつを替えたり、施設を探したりする話ではありません。
もっと大事なのは、親との関係を見直すこと。
- 「最近どう?疲れてない?」
- 「なにか困ってることある?」
ほんのひとことの声かけから、親がぽろっと悩みをこぼすこともあります。

私の親は、根気よく話しかけていると、ある日の夜突然
「助けて!自分が何か変になってる」
と泣き出しました。そう・・母は認知症だったのです。
なかには「大丈夫、大丈夫」と強がる方も多いですが、
その裏には「迷惑をかけたくない」「まだ元気でいたい」という気持ちがあるのです。
否定せず、さりげなく気にかける。
それだけでも、これからの介護をスムーズにする大事な土台になります。
まずやるべきこと②:地域包括支援センターを知る

「介護のこと、誰に聞けばいいか分からない」
これは、多くの人がぶつかる最初の壁です。
そんなとき、ぜひ知っておいてほしいのが
「地域包括支援センター」という存在です。
お住まいの市区町村に必ず設置されていて、
・介護保険の申請方法
・要介護認定の流れ
・ケアマネジャーの選び方
・在宅介護サービスの内容
などを無料で相談できます。
しかも、親本人が行かなくても、子どもが代わりに相談することも可能です。
(私も最初は、私だけが相談に行きました)
「とりあえず話だけ聞いてみる」でも全然OK!
地域包括支援センターは、介護の“はじめの一歩”を支えてくれる場所なんです。
まずやるべきこと③:自分ひとりで抱え込まないと決める
「自分だけで抱え込まない」
これは何よりも大事なことです。
介護を「家族の責任」としてすべて抱え込もうとすると、
心も体もすり減ってしまいます。
- 兄弟や親戚と小さな情報共有をする
- 地域の支援や訪問サービスを調べる
- 時には「他人の手」を借りる勇気を持つ
これらは、とても大事な選択です。
介護は長期戦になることも多いので、無理をしないことが最善の道でもあります。

人に頼っていても、疲れるものです。
専門の人はいろんな知識を持っています。
どんどん質問して、最善の方法を探しましょう!
まずは「気づくこと」から始まる介護
親の介護は、
「いよいよ介護が必要です」とはっきり始まるわけではありません。
静かに始まり、
ふとした違和感から少しずつ進んでいくものです。
その最初の気づきに立ち止まったあなたは、
すでに介護への第一歩を踏み出しています。

何から始めればいいのか分からなくても大丈夫。
今日、この記事を読んで「知ろう」と思った時点で、
もうあなたは大きく前進しています。
そしてこの「やさしい介護room」でも、同じように悩む方へ向けて、少しずつ情報を発信していきます。
経験者の声、制度のこと、などなど・・
「ひとりじゃない」と感じられる場所を目指して、これから丁寧に届けていきます。