親の介護、誰がする?|家族で揉めないために知っておきたい現実と対策【2025年版】

「そろそろ親の介護が必要かもしれない」

そう感じ始めたとき、まず多くの家庭で出てくるのがこの疑問です。

「親の介護って、誰がするの?」

兄弟がいれば「どっちがやるのか」、ひとりっ子であれば「全部自分がやるのか」、遠方に住んでいれば「どうやって関われるのか」。

介護の現場では、この「誰が介護を担うか」で家族の関係がぎくしゃくすることも少なくありません。

今回は、親の介護を巡る家族内の分担と現実、そして揉めずに話し合いを進めるための知識とヒントをお伝えします。

なぜ「誰がやるか」で揉めるのか?現場でよくある3つのパターン

1. 長女が“なんとなく”全部やってしまう

昔ながらの価値観から、「娘だから」「一番近くに住んでいるから」といった理由で、長女にすべてが集中するケースがよくあります。

→ これにより、介護疲れや兄弟間の不満が蓄積されてしまうリスクがあります。

2. 遠方の兄弟が「手伝えないけど口は出す」

実際の介護はしないものの、「お金の使い方」「施設の選び方」などに口を出すだけで、介護している側との温度差やストレスが生じやすいです。

3. お金は出すが、手は出さないという兄弟

「お金を出しているから、あとは任せる」となると、介護を担っている側にとっては精神的にも時間的にも不公平感が強くなることがあります。

家族で話し合うべき「介護の4つの役割分担」

介護といっても、ひとりがすべてを担う必要はありません。実は、以下のように分担できるのです。

役割内容の例
主介護者日常の見守り、通院の付き添い、買い物や食事の用意など
経済的支援介護用品の購入費用や、施設入居時の一時金・毎月の費用の援助
手続き担当介護保険の申請、ケアマネージャーとの連絡、行政書類の提出など
心の支援電話や訪問で励ます、介護者のメンタルケア、話を聞くなど

すべての役割が必要というわけではなく、家族の状況や強みに応じて組み合わせることが大切です。

実際、誰がやっている?統計データから見る現実

親の介護を誰が担うか悩む家族の様子を描いたイラスト。車椅子の高齢女性と介助する娘、考え込む息子の横には兄弟姉妹の顔が浮かぶ吹き出しがあり、「親の介護、誰がする?」という文字が表示されている。

厚生労働省「介護者の実態調査(令和2年度)」によると、親の介護をしている人の約70%が女性(娘・嫁)です。

さらに、介護をしている人のうち、約60%は働きながら介護をしているという報告もあります。

つまり、「働きながら介護をしている娘」が最も多いというのが現実です。

ですが、これは決して理想的な形ではありません。今後は家族全体でどう支え合えるかがカギになります。

揉めずに話し合うためのコツ5つ

① 最初の話し合いは「元気なうちに」

介護が必要になってからではなく、親が元気なうちに意向や希望を聞いておくと安心です。

② 感情ではなく「役割」で整理する

「私ばっかり」「あの人は何もしてくれない」といった感情論より、

「それぞれができることを分担しよう」という視点に立つことが重要です。

③ 一度で決めなくていい

介護は長期戦です。最初にすべて決めようとせず、「2ヶ月ごとに見直そう」とすることで柔軟に対応できます。

④ 第三者を入れて話し合う

地域包括支援センターやケアマネージャーを交えることで、中立的な視点で現実的な提案を受けられます。

⑤ 話し合いは“お金の話”もセットで

感情的になりやすいからこそ、誰がどこまで費用負担するかを明確にすることで、後のトラブルを防げます。

ひとりで抱えないで|「手伝って」と言える勇気を持とう

介護の現場では、「家族だから頑張らなきゃ」と自分を追い込みすぎてしまう人が本当に多くいます。

でも、介護は長く続くものです。無理をすれば、共倒れになります。

「親のことだから自分が全部やらなきゃいけない」と思わずに、

「これはお願いしたい」「ここは手伝ってほしい」と声に出して伝えることが大切です。

介護は“突然”やってくる

親が元気なうちは「まだ大丈夫」「介護なんてずっと先の話」と思いがちです。

しかし、転倒による骨折や脳梗塞など、ある日突然、介護が始まるというケースは非常に多くあります。

そんなとき、何も準備ができていないと、誰が面倒を見るのか、どこに連絡すればいいのか、何を買えばいいのか…すべてが手探りになります。

そして、その混乱のなかで**最も揉めやすいのが「誰がやるのか問題」**です。

親の意志も聞いておこう。「してほしいこと」「してほしくないこと」

介護について話し合うとき、親の気持ちを尊重することも大切です。

例えば、

  • 自宅で最後まで過ごしたいのか
  • 施設に入ることをどう考えているか
  • 息子と娘、どちらに頼りたいと思っているか

こうした話は、元気なうちにしかできません。

「親がそう望んでいたから」という軸があると、子ども同士の不満や責任感のズレを避けやすくなります。

地域とのつながりも、介護の大事な味方になる

「家族だけでなんとかしよう」と思い込まなくても大丈夫です。

地域包括支援センターやケアマネジャー、行政の福祉課など、支援してくれる第三者はたくさんいます。

介護は、社会全体で支え合うべき問題です。

「誰がやるのか」と家族内で責任の押し付け合いになるより、

「どう支援を受けながら協力するか」

という視点に立つことで、精神的にも経済的にもぐっと楽になります。

介護はチーム戦。ひとりで抱え込まずに

親の介護は、思っている以上に体力・時間・お金がかかります。

ですが、話し合いをして分担すること、支援を受けることで、その負担は分散できます。

「誰がやるか」で揉める前に、「どうやったらみんなで支えられるか」を考えてみませんか?

今すぐすべてを決めなくても大丈夫。

まずは一歩、話し合うことから始めてみましょう。

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