
親が要介護3と認定されると、「どのくらい介護が必要になるの?」「自宅での生活は続けられる?」と不安になる方も多いでしょう。
要介護3は、立ち上がりや歩行、排せつ、入浴など、日常生活のさまざまな場面で介助が必要になる状態の目安です。ただし、同じ要介護3でも、できることや必要な介護には大きな個人差があります。
家族だけで介護を続けようとすると負担が大きくなるため、訪問介護や通所介護、ショートステイなどを組み合わせ、支援を分担することが大切です。
この記事では、要介護3の状態の目安、できること・難しくなること、利用できるサービス、在宅介護と施設を考えるポイントについてわかりやすく解説します。
要介護3とはどのような状態?
要介護3は、日常生活動作と、買い物や服薬管理などの手段的日常生活動作の両方が大きく低下し、生活の多くの場面で介護が必要となる状態の目安です。
たとえば、次のような場面で介助が必要になることがあります。
- 一人での立ち上がりや歩行が難しい
- 排せつや入浴、着替えに介助が必要になる
- 食事の準備や服薬管理を一人で行うことが難しい
- 体の状態によっては、食事にも見守りや介助が必要になる
ただし、要介護3だからといって、全員が同じ状態になるわけではありません。身体機能が大きく低下している方もいれば、身体は比較的動かせても認知症の症状によって常時の見守りが必要な方もいます。
要介護度だけで介護方法を決めず、本人ができることと、支援が必要なことを具体的に確認することが大切です。
要介護2と要介護3の違い
要介護2では日常生活の基本的な動作に部分的な介助が必要となるのに対し、要介護3では、日常生活動作と手段的日常生活動作の両方がさらに低下し、より多くの場面で介護が必要となる傾向があります。
たとえば、これまでは見守りや声かけでできていた立ち上がり、移動、排せつなどに、直接的な介助が必要になることがあります。
ただし、認知症の有無や症状の程度は、要介護度だけでは判断できません。要介護2と要介護3の違いを一律に線引きするのではなく、認定調査や主治医の意見、普段の生活状況をもとに考えます。
要介護2の生活については、こちらの記事も参考にしてください。
要介護3でできること・支援が必要なこと
要介護3でも、本人が自分でできることは残されています。すべてを家族や介護職が行うのではなく、安全にできることは本人に続けてもらうことも大切です。
本人ができる場合があること
- 支えや介助があれば立ち上がる
- 歩行器や車いすを使って移動する
- 準備された食事を自分で食べる
- 自分の希望や体調を言葉や表情で伝える
介助が必要になりやすいこと
- 入浴や着替え
- 排せつ後の衣服の上げ下げや清潔保持
- ベッドや車いすへの移乗
- 調理、掃除、洗濯などの家事
- 服薬や金銭の管理
できることは体調によって変わる場合があります。本人の力を生かしながら、転倒や事故につながる動作には必要な介助を加えましょう。
要介護3で利用できる主な介護サービス
要介護3では、本人の状態や家族の介護力に合わせて、複数のサービスを組み合わせることが大切です。
- 訪問介護:排せつ、入浴、着替えなどの身体介護や、日常生活に必要な生活援助
- 通所介護(デイサービス):食事や入浴、機能訓練、日中の見守り
- 短期入所生活介護(ショートステイ):短期間施設で過ごし、家族の休息や不在時の介護につなげる
- 訪問入浴介護:自宅の浴槽での入浴が難しい方に、専用の浴槽を使って入浴を支援する
- 福祉用具貸与:介護ベッドや車いす、手すりなどを利用して、移動や介助の負担を減らす
医療的な管理や処置が必要な場合は、主治医やケアマネジャーと相談し、訪問看護を利用できることもあります。
サービスを多く使えばよいというわけではありません。本人の生活リズムや家族の負担、支援が必要な時間帯を確認し、ケアマネジャーとケアプランを調整しましょう。
要介護3で利用できる介護保険の上限
要介護3の区分支給限度基準額は、1か月あたり27,048単位です。
これは27万480円が現金で支給されるという意味ではありません。在宅の介護サービスを介護保険の対象として利用できる上限の目安です。
介護サービスの費用は原則として1割から3割を本人が負担します。ただし、1単位あたりの金額は地域やサービスによって異なり、限度額を超えて利用した分は原則として全額自己負担になります。
また、次のような費用は介護保険の自己負担とは別にかかることがあります。
- デイサービスやショートステイの食費
- ショートステイの滞在費
- 紙おむつや日用品の費用
- 介護保険の対象外となる配食や家事代行などの費用
実際の負担額は、利用するサービスの種類や回数、所得による負担割合によって変わります。ケアマネジャーに月額の見込みを作成してもらい、無理のない範囲でサービスを組み合わせましょう。
認知症がある場合に確認したいこと
要介護3だからといって、必ず認知症があるわけではありません。ただし、認知症を併せ持つ場合は、身体介護だけでなく、見守りや安心できる声かけが必要になることがあります。
たとえば、次のような変化が見られることがあります。
- 時間や場所が分からなくなる
- 薬を飲んだことや食事をしたことを忘れる
- 不安が強くなり、同じことを何度も確認する
- 目的が分からないまま外へ出て、帰れなくなることがある
間違いを強く指摘したり、無理に行動を止めたりすると、不安が大きくなることがあります。本人の言葉をいったん受け止め、落ち着いて話せる環境を整えることが大切です。
急に会話がかみ合わなくなった、普段と様子が大きく違うといった場合は、認知症の進行と決めつけず、体調不良や薬の影響なども考えて医療機関へ相談しましょう。
要介護3の在宅介護を続けるポイント
要介護3でも在宅生活を続けられる場合はありますが、家族だけで24時間の介護を担うのは現実的ではありません。介護を長く続けるためには、支援を分担できる体制が必要です。
介護サービスを組み合わせる
訪問介護、デイサービス、ショートステイなどを組み合わせ、家族が介護をしない時間を確保します。夜間や早朝の対応が必要な場合も、利用できる地域サービスがないかケアマネジャーに確認しましょう。
住環境と福祉用具を見直す
介護ベッドや手すり、車いすなど、本人の状態に合う福祉用具を利用すると、本人の安全だけでなく介助する家族の負担も軽減できます。
福祉用具は自己判断で選ばず、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談してください。手すりの位置やベッドの高さが体に合わないと、かえって動きにくくなることがあります。
緊急時の対応を決めておく
転倒や発熱などが起きた場合に、誰へ連絡するかを家族や介護事業所で共有しておきます。主治医、ケアマネジャー、利用している事業所、家族の連絡先を一つにまとめておくと安心です。
介護する家族の休息を確保する
家族が疲れ切ってから支援を増やすのではなく、定期的に休める時間を先に確保することが大切です。ショートステイなども利用しながら、家族の生活や健康を守れる介護体制を整えましょう。
要介護3で施設を検討するタイミング
介護サービスを利用しても在宅生活の安全を保てない場合や、家族の負担を続けることが難しくなった場合は、施設への入居も選択肢になります。
次のような状況が重なったときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談してみましょう。
- 夜間も繰り返し介助が必要になっている
- 移乗や排せつ介助を家族だけで行うことが難しい
- 転倒や誤嚥など、安全上の不安が大きい
- 介護する家族の心身に不調が出ている
- 医療的な管理が増え、在宅での対応が難しい
特別養護老人ホームは、新規入所が原則として要介護3以上の方を対象としています。ただし、入所の必要性や待機状況などによって、すぐに入居できるとは限りません。
介護老人保健施設は、リハビリテーションや必要な医療・介護を受けながら、在宅復帰を目指す施設です。長期的な生活の場として特養と同じように考えるのではなく、本人の目的に合う施設かを確認する必要があります。
このほか、介護付き有料老人ホームや介護医療院などが選択肢になる場合もあります。本人の状態、必要な医療、費用、入居期間の考え方を整理して比較しましょう。
よくある質問
Q1. 要介護3でも一人暮らしはできますか?
A. 本人の状態や住環境、利用できるサービスによっては可能な場合もあります。ただし、移動や排せつ、食事、服薬、緊急時の対応などを一人で安全に行えるかを慎重に確認する必要があります。
Q2. 要介護3になると認知症も重いのでしょうか?
A. 要介護度と認知症の程度は同じものではありません。要介護3でも認知症がない方はいます。身体機能と認知機能をそれぞれ確認し、必要な支援を考えましょう。
Q3. 要介護3なら特養へ申し込めますか?
A. 特別養護老人ホームの新規入所は、原則として要介護3以上が対象です。ただし、申し込めばすぐに入居できるとは限りません。入所の必要性や施設の空き状況などを確認し、早めに情報を集めておきましょう。
Q4. 在宅介護が限界かどうか、誰に相談すればよいですか?
A. まずは担当のケアマネジャーへ、夜間の介助や家族の疲れなどを具体的に伝えてください。施設を含めて相談したい場合は、地域包括支援センターにも相談できます。
まとめ
要介護3は、立ち上がりや移動、排せつ、入浴など、日常生活の多くの場面で介助が必要になる状態の目安です。ただし、必要な介護や本人ができることには個人差があります。
在宅介護を続ける場合は、訪問介護やデイサービス、ショートステイ、福祉用具などを組み合わせ、家族だけで介護を抱え込まない体制を整えることが大切です。
サービスを利用しても安全を保てない場合や、家族の負担を続けることが難しい場合は、施設への入居も含めて住まいを見直しましょう。
本人の希望と家族の生活の両方を大切にしながら、ケアマネジャーや地域包括支援センターと一緒に、無理なく続けられる介護方法を考えていきましょう。
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